空港でのアップグレードの秘密

以前国際空港で働いていた経験があるのですが、衝撃的な事実を当時知ったのを今でもはっきりと覚えています。

時折空港の国際線チェックインカウンターや搭乗口で、「ビジネスクラスへの無償アップグレード」が行われることがあります。私も旅行者として何回かそのアップグレードにお世話になったことがあるのですが、てっきりそのアップグレードは、比較的高い運賃の航空券だったか、ANA のダイヤモンド、プラチナ、JALのダイヤモンド、サファイア、DLのダイヤモンドメダリオンなどのステータスを持っていたからかなぁと勝手に考えていました。

ところが、航空会社の旅客サービス、つまりチェックインカウンターで仕事をし始めた頃、衝撃定な事実を知ってしまいました。

実は航空会社のアップグレードや席の確保は、その会社の社員が最優先なんです。しかも、仕事以外の旅行、自分で社割で購入したものだけではなく、例えば航空会社で働くと、一定以上のクラスの社員は、年に一度は好きな行き先の航空券をもらえるのですが、その場合、最優先でビジネスクラスへ行けるのです。まさかと思いますが、結構毎回、誰かしらは航空会社の社員が乗っていました。

搭乗客のことは、航空会社はもちろん搭乗当日以前から把握していますが、社員やその家族の場合、最優先で席が確保されるのです。しかも、アップグレードは最上級のマイレージメンバーなどお構いなしに最優先に航空会社社員。（キャビンアテンダントやパイロットが仕事の移動のために他の空港へ移動する時を除く）

また、航空会社にもよりますが、満席の場合は、たとえ予約があって空港に来ても「今日は乗れないよ」といって断る場合もあります。大概LCCです。

ワンワのエメラルドであろうと、スタアラのゴールドであろうと、一切関係ないのです。ですから、団体旅行客（団体運賃は最も安い運賃で乗っているのでいちばん不要な乗客です）でアップグレードというのは、よほど誰も航空会社の人がおらず、ANAのプラチナカード（クレジットカード）を持っていた人しか対象になったことがないと思います。

どんなにカウンターでごねようとも、ダメです。なぜかといえば、チェックインのシステムに入れられないのです。入らない。だから、お気に入りの人や自分の友達が来たって、アップグレードはしてあげられません、当たり前ですが。
そもそも、無償アップグレードには、それに見合うお客様か否かが重要です。もしゴネようものなら、「留意点」というところにそのお客様の威圧的な態度の内容を入力され、クルーに知れ渡り、恥ずかしい状態で飛行機に乗るくらいしかないでしょう。その記録はずっと残ります。

今カスハラが話題になるようになりましたが、私は自己中なお客様は問答無用に留意点 REMARKS に入力していました。そしていつか、そのお客様が未来永劫その航空会社に乗れなくなることを祈りつつ。