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脳動脈瘤発見で検査入院をした回(1)

タイトルの通りです。脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)が出来てました。いやーびっくりしちゃった。

脳動脈瘤。正式名称はもっと長い。略しても四字熟語になる。略称の時点で強いし画数も多い。もう開幕から圧がすごい。

(まじめにざっくり言うと、脳の内外を走る血管の一部が瘤状に膨れて血管の壁が薄くなった状態。これが破けると脳出血やくも膜下出血にジョブチェンするためハチャメチャに怖いが、無症状かつ破けもせず何も起こらないことも非常に多い。とのこと)

病名自体知ってはいたが、もっとこう、煙草プカプカお酒グイグイ血圧ギューンなおじさんがなるようなものだろうという偏ったイメージがあったよね。実際そういった人は血管がもろくなるリスクが高く、イメージも間違いではないらしいが、何故そうした瘤が出来るのかはわかっていない部分もまだまだ多いそうだ。

で。

喫煙もしない、飲酒もたまにたしなむ程度、血圧も低め安定、血液検査の結果もむしろ年々貧血が改善されるなど何も問題なかった私がどういう経緯でそれを見つける検査に至ったか、検査結果をどう受け止めたか、今後どうしたいのか、今の気持ちと共に覚書程度で記しておこうと思いました。

以下、免責事項として念のため。
ためになることはあまり書かれてないと思います。喉元過ぎればなんとやらの気楽な性格をしているもので、自分がもう一度羹を飲まなければイカンとなった時に読み返すためのものだと思っていただければ幸いです。

入院までのあらすじ

①元々気圧の影響や眼精疲労で軽い頭痛を感じることが多かったのが、この春先くらいから目も開かないような頭痛に見舞われることが二、三度ほど起こる

②頭痛についてかかりつけの婦人科で相談。冷え対策で飲んでるいつもの漢方のほかに呉茱萸湯(※1)を処方されるも効果なし。市販の鎮痛剤で様子見を継続

③8月上旬に①のような強い頭痛と発熱が3日ほど続く

④熱は微熱になったものの平熱には戻らず、頭痛も続くため内科を受診したところ髄膜炎を疑われ血液検査

⑤血液に炎症反応なし、髄膜炎フラグは折れる。じゃあこの頭痛はなんなのかという話になりMRI撮影を勧められ脳神経外科を受診

⑥MRI撮影。「視神経近くの血管に瘤が出来てるっぽいからでかい病院紹介するわ」「アッハイ」

あらすじからして長くてごめんな。こうして見ると③以降の期間がすごく短くて濃いね。

検査を受けるまでの心境の変化

まず、あらすじ⑥の時点ですぐ紹介状(※2)を持って大きい病院を受診出来たわけではない。検査には3〜4日ほど入院が必要であることや、その前に入院先の病院で外来受診をするための予約を取らなくてはならず、専門医の先生も毎日外来を受け持てるわけではないからどうしても時間がかかる。という段取りを説明されたはいいのだが。

「なるほど〜〜……(とりあえず夫に伝えねば。さていったい何日会社を休めば足りるんだろう有休何日残ってたっけ検査結果次第では即手術もありうるし社保の傷病手当とあーーそうか検査とはいえ入院だしワンチャン入院給付金あるから生命保険の担当さんに連絡だ月末のライブ行けんのかこれ!?!?)」

と、前述の説明はすぐ飲み込めたし、やらなければいけないことや目下の心配は脳内でこのようにさっさとピックアップ出来たのに、更なる検査を受けるか受けないか、というシンプルな判断がなぜかまっっっったく出来なかった。思考が止まるというのはこういう感覚のことを言うのだなあとやけに他人事のように思えた。

そんなわけで職場に休みの相談をするという名目で紹介状の発行を一度保留にしてもらい、真っ先に連絡したのは職場……じゃなく生命保険の担当さん(以下、担当さん)だったのが私らしいといえばらしい。もらえる金の勘定は大事なのだ。後述すると思うけどほんとに大事です生命保険。

折良くというかなんというか、ちょうど年に一度ある生命保険契約内容の説明確認時期が迫っており、あらすじ⑤と⑥の間に担当さん側から連絡をいただいていたのがあったおかげで入院給付金のことを思い出せたのだと思う。病名+疑いという肩書きが乗っかってると今後の保険料更新や保障内容にも関わってくるので伝えないといけなかったし、びっくりするほど渡りに船。なお、この時点でもまだ、更なる検査を受けるかどうかはうだうだと決めかねていた。

幸い、うちの担当さんは仕事もレスポンスも早く、コミュ障な私の拙い話を的確に汲み取ってくださり、今の私に本当に必要なサービスと保障を考えてくださる出来たお方である。そのおかげで検査入院に際しての金銭的な不安はほぼ無くなった。のだけど、ここでも検査を受けるかどうか、まーだうじうじと迷っていた。あべこべだねえ、給付金の請求がどうこうなんて、あくまで検査を受けてからのことでしょうが。自分でそう突っ込めるくらい余裕綽々だと思っていたのに。

「怖いですよね、急に」

担当さんが、きっと本当に何気なく、相槌のようにかけてくれた言葉で、涙がダバーーッと流れてしまったのだ。

そこでようやく、自分が怖くて検査に踏み切れないでいることを言葉に出来た。そうか、怖かったのか。

MRI撮影を勧めてくれた内科医の先生からは「髄膜炎という怖い病気ではなくて良かったです。さらに怖い病気でないことを確かめるため、安心するために撮影してみましょう」そんな風に提案があったこともあり、MRIの時点で安心する気満々だったところへのコブ出来とるやんけ宣告だったので、反動のぶんだけショックが大きかったのだろうと今ならわかる。

自分の身体で、静かに、取り返しのつかない何かが起こりかけていて、こうしている間にも火がつき燃え広がる可能性が充分にある、それを知ってしまったのがただ怖かったのだ。

MRIを受けなければ、ただの無知で気楽な偏頭痛持ちでいられたのだ。もちろん、それがどんなにおっかないことかを正しく理解した今だからこそ言えることだ。

ここまで読んでくれた人はきっと、自分や近しい人の病気やその疑いについて何かしらの怖さや不安を感じたことがあるのだろう。怖さが先に立ってしまうと、大切な判断が出来なくなってしまう。当たり前のことです。大丈夫です。私がつい先月通ってきたばかりの道です。それはここに書き記しておきたい。大丈夫です。

・金銭的な怖さ(所得が減る、出費がかさむなど)
・症状の怖さ(痛みや合併症の危険など)
・治療リスクの怖さ(再発、後遺症によるQOLの低下、体質などで受けられない検査法や治療法があるなど)

こんな風に自分が何に怖がっているのかを分割することが出来れば、それを解消するためのコースが絞られて、やるべきことが整理出来る。

困難は分割せよ

ってデカルトも言ってるからたぶん合ってる。金銭のことは職場や保険屋さん、症状のことはお医者さん、今後の生活のことは家族や福祉といったように(ちょっとざっくりすぎる分け方だけど)。病気を抱えるのは自分ひとりだとしても、そこに生まれる怖さや不安を抱えるのはひとりではまず無理なのだ。無理だけど分割は出来る。分割し、名前をつけて、それぞれ得意な人に持つのを手伝ってもらうのだ。

私の場合、怖い、というのを言語化出来た途端にするすると検査の段取りやら職場への報告やらをひとりで進めることが出来たので、得体が知れず怖さばかりが募るのなら得体を知ってバラしてやらあ、をやってやるのは本当に大事だなと痛感した次第。幽霊の正体見たり枯れ尾花。

それにしても、怖いと打ち明けてボロボロ泣いていたときに黙ってお冷やを足しておしぼりをくれたコ○ダのおねいさんと、紹介状を書いてもらうために病院へ電話するのを見守っててくださった保険屋の担当さんにはまっこと頭が上がらないのだなあ。

(長くなったのでいったん切ります。)


※1
http://www.kracie.co.jp/ph/k-therapy/prescription/goshuyuto.html

※2
正式名称は診療情報提供書。提供元の医師がどんな治療や薬剤の処方をしているか、患者本人からの主訴、提供元の医師の所見などが書かれた書類のこと。これに加えて直近の検査結果がセットになっていることが多いです。私の場合はMRI画像のCD-ROMが添付されていました。封緘した状態で患者に渡されるけど、開けたらメッです。高度医療を受ける・大きい病院を受診するときはこの書類がないと選定療養費が加算される。結構高い。5000円くらいしたと思う。詳しくはぐぐってね。

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