『七人の妖』スタッフ雑記①


「お前さ、『声優男子』やってくんない?」

今から1年くらい前、コロナ騒動なんて1ミリも想像してなかった2019年9月頃。上司のそんな一言から僕にとっての『7人の妖』プロジェクトは始まりました。

年1の面談で突然言われ、「え?俺?」と思ったのを未だに鮮明に覚えています。



始めまして。東北新社という会社で働く小柳と申します。『声優男子の!七人の妖ドラマCDプロジェクト』の担当をしています。

当時の僕は、それまで担当していた番組(声優モノではなく全く違うジャンルです)が一旦落ち着き、「次はどんな事やろうかな?」とネタ収集をしていた時期でした。

今回のプロジェクトの元となっている番組『声優男子ですが・・・?』を立ち上げた企画プロデューサーのSさんは当時の僕の隣のデスク。日々忙しそうにロケの仕込みなどをしていたのを覚えてます。

僕らの部署はそれぞれが単独で番組企画を抱えていて、部署と言いながらもやっている事はバラバラ。お互い番組の名前や存在は知っていても具体的な内容は一切把握していません。Sさんと話す時も仕事と関係ない雑談ばかり。『声優男子ですが・・・?』について話す事は勿論0、逆にSさんも僕の担当番組については知らない状況でした。

そんな中、Sさんが退社する事になったのです。番組自体はシーズン4を終えていて「さて次はどうするか?」という今後の方向性を模索している時期。

※誤解無いように言うとSさんの退社と番組の事は一切関係ありません。Sさんは今でも番組を見てくれてますしコッソリ相談に乗ってもらってます。

また、その少し後に同番組の映画化企画が立ち上がり、Sさんがいない中で残ったスタッフ達が進行。その間、僕は違う番組でそこそこ忙しくしており「劇場版」の事はうっすら知っているくらいでした。

そしてSさんが退社してからさらに8カ月くらい経った頃、数週間後には劇場版の撮影という時期に、冒頭のセリフを上司から言われたという流れです。

※ちとややこしいいので時系列にまとめるとこんな感じ。
2018年12月   Sさん退社
2019年2月   映画版企画立ち上げ
2019年9月  映画ロケ→この数週間前に言われる。


「お前さ、『声優男子』やってくんない?」

改めて最初聞いた時に思ったのは「え、俺?」です。この番組をご覧になった事が無い方も(もしかしたら)読んでいるかもしれないので概要をご説明しますと、

●7名の男性声優さん(※以下、敬省略  上村祐翔、梅原裕一郎、河本啓佑、小林裕介、白井悠介、本城雄太郎、山本和臣)が出演するバラエティ番組

●7人が声優業以外の事に挑戦し、普段は表に出さない「素」の部分を番組を通して見せていく。

●番組は2014年にスタート。詳しくは公式サイトをチェック


です。

番組を見た事がない僕でも、この番組のメイン視聴者は間違いなく女性で、かつ声優さんのファンであるという事は分かっていました。でも僕は男です。しかも今までの人生において「声優」という文化にほとんど触れてこなかった人間・・・。

この番組は、Sさんありきだと思っています。何故ならSさんはアニメや声優に愛があり詳しい。そのため視聴者側の目線に立てます。さらに番組企画のイロハも持っているので、「視聴者ニーズ」と「番組として面白いもの」の2つが丁度重なる部分を見つける事が出来ました。だから5年も続けられたのです。

番組企画で一番大切なのはこの2つのバランスです。どちらか一方が大きくなると偏ってしまう。「視聴者ニーズ」側に偏るとファン以外は楽しめない内容になってしまうし(ファン以外も楽しいと感じる内容であればファンはより楽しめる)、「番組として面白いもの」側に偏ると声優ファンにはズレたものに見えてしまう。

そのため僕らは、企画の題材となるものを熱狂的に愛す人格と、「これのどこが面白いんだろう?」という冷めた人格を行ったり来たりして最適解を探す作業をしたりしています。

それで言うと、僕には「視聴者ニーズ」は皆無です。全く分からない世界でした。もちろん担当になって色々見て触れて学べばいい話ですが、Sさんという巨大な存在がいた案件を受け取るなんて自信がない。しかも別でやりたい企画あったし。なので僕は「嫌です」と答えました。

そしたらその上司が「Mを助けるつもりでさ、頼むよ」と言いました。

MとはSさんの下で番組の宣伝を手伝っていた後輩です。Sさんが退社してから劇場版の進行をSさんの代わりに悪戦苦闘しながらやっていたのです。

「Mはこれから映画の宣伝に追われて新しい事が出来なくなる。だから新シーズンの展開を考える奴がいない。そこでお前がMの手伝いをしつつ、新シーズンの企画をやってくれ。そんじゃ宜しくな」

そう言って上司は僕の「ちょっと待ってくださいよ」という声をガン無視して陽気に歌いながら会議室を出ていったのです。この人の性格上、一度言ったことは絶対に取り下げません。もう諦めてやるしかありませんでした・・・。


その後、デスクの席替えがあり僕の隣にMが。

『劇場版 声優男子ですが・・・?』のロケを1週間後に控え、Mは猛烈にバタついている。その隣でため息をこぼす僕。そんな残暑の厳しい約1年前の2019年9月から始まったのです。

(多分続く)


声優男子の皆さんが考案したオリジナル妖怪キャラクター『七人の妖』のドラマCDを作ってます。番組連動なので是非。

■プロジェクト概要

■ドラマCD企画会議

■天狗の聖地ロケ①

■天狗の聖地ロケ②

■天狗の聖地ロケ③


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