[生成AI体験談] 消えた財布を探せ
MicrosoftのCopilotが無償提供されるようになったので、本格的にChatGPTなどで話題となっている生成AIを使うようになって来た。あん饅と肉まんの見分け方などで子供を吃驚させているだけでは面白くないので、行方不明になった母親の財布を探すことに使ってみた。現時点での生成AIはプログラム開発支援を得意としているけれども、アイデア発見にも役立ってくれることが多い。その応用として、行方不明になった母親の財布の捜索場所を考えるアイデア作成というアプローチを考えてみた訳である。
結論から言うと名探偵Copilotは財布を見つけることはできなかったけれども、財布を見つけ出すことには成功した。今回はどうやって発見することができたのかという体験談を紹介させて頂くことにした。
背景
「冒頭画像には一体なんの意味があるのだろうか」と思われた方も多いかもしれない。
これは八十歳を超えて体力や認知力が低下した我が母親の冷蔵庫で発見したものである。何やら介護付き高齢者マンション(老人ホーム)内のクジ引きで当たったらしい。もう台所で本格的な料理はできないので訪問介護の人などに差し上げたら良いと思うのだけれども、なぜか冷蔵庫に保管されていた。
私だけではなくて人間ならば経験したことはあると思うけれども、自分がいつもと違う場所にカギや財布を保管して、行方不明になってしまって困ったことはないだろうか。八十歳を超えたマイ・マザーは訪問するたびに何かを行方不明にしているような状況になってきた。
問題はそれだけならば「あら困ったわね、どうしましょ」で済むけれども、認知力が低下する一方で、なんだか妙に猜疑心が強くなってしまった。挙句の果てには「部屋は出入り自由だから、スタッフの誰かが持ち去った」と言い始めてしまった。今までの紛失物は全て私が部屋の中で見つけ出した。今回は介護サービスの人が所持している可能性はあるものの、もしそうだとしても意図的なものではなくて事故である。なぜなら白内障の術後のケアで眼科医へ通院している状況で、事故防止のために車椅子を一時的に利用している。タクシーに乗る時には折りたたむので、大変だからと介護サービスの人が財布を一時的に預かることもあるかもしれない。そして騒いでいたのは日曜日である。
スタッフにまで財布の紛失を騒いだので、ちょっとした騒動になってしまった。そこで今回は、Copilotに質問してみることにした。
最初の問い合わせ
まずは手始めとして次のように問い合わせて、箇条書きで回答して貰った。残念ながら名探偵のようにビシっとした回答は出て来なかったので、次は名探偵Copilotさんに対して箇条書きという条件は付けずに質問してみた。
名探偵Copilotに質問
今度はそこそこ名探偵らしく怪盗……じゃなくて回答してくれたけれども、私がざっと探しても見つからなかった。今回は偶然にも介護サービスの人が同伴した際にカバンに入っているかもしれないと思い、私は捜索を諦めることにした。
事件解決
さてこれで迷宮入りではないものの月曜日を待つことにしようと思った矢先、事件はアッサリと解決してしまった。
実はこの日曜日に母親を訪問していたのはお兄ちゃんだけではなかったのである……そう、私が「うーん」とCopilotの回答を見直そうとした時、彼も興味本位で一緒に推理内容を読んだのである。
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私:「うーん」
弟:「あっ」
何やら母親の寝室の方へ赴き、待つこと一分。
弟:「あったよー」
私:「えっ」
意外にアッサリと見つかったことに呆然とする私。
弟:「えへへ」
私:「どこにあったの?」
弟:「仏壇の下にある引き出しの一番上だよ」
私:「仏壇?」
これまた意外な場所に、吃驚する私。
弟:「ほら、一週間前くらいに電話したことは覚えている?」
私:「ああ、スマホをスマホ用充電器&スタンドのところに置いても構わないかという問い合わせね」
弟:「そう」
実は一週間前の木曜日に白内障の手術をして、その時には私が眼科に車椅子で連れて行った。そして何かあった時のために歩行補助具の上に、日頃はスタンドに設置しているスマホを歩行補助具のトレイ上に置いて帰ったのだ。過去に偶然かもしれないけど頑張ってスマホを使って電話をかけて来て、いきなり会議中に私のスマホが鳴り響くという事態もあったので。
(日頃はこちらからかけて電話を取ってもらうだけなのでスタンドに常置)
弟:「いやね、あの時なんだけど、実は仏壇の上にスマホが置かれていたんだ。それでお母さんの行動範囲って、お兄ちゃんが探したところよりも広いんじゃないか……もしかしたら書かれていたように、日頃は行くことのない仏壇あたりまで遠征したんじゃないかって」
私:「なるほど……」
つまり何故か急に財布のことを心配するようになった小野谷静のご母堂は、がんばって盗難防止のために財布を仏壇の下の引き出しに隠したのであった。そして今までと同じく自分が隠したことをキレイさっぱりと気持ちよく忘れてしまい、「財布が行方不明になった!」と大騒ぎしたという訳である。
ちなみに財布の中にはクレジットカードなどは一切なく、外出先で意識不明になったりした時のためにマンションが住民向けに配布している連絡先カードと、我が家のお嬢様がプレゼントした折り鶴と、現金数千円だけしか入っていなかった。
弟:「予想通り何も入っていなかったよ。カードを一時的に利用停止にするとかしなくて正解だったね」
私:「そうだねー」
しめくくり
実は介護付き高齢者向けマンションのスタッフに財布が見つかったことを報告したところ、今回は「部屋に誰かが入って来て財布を持っていってしまった」と出会ったスタッフに言い、スタッフ一同は微妙に緊張した状態にあったらしい。恐くて確認しなかったけれども、なんとなく介護サービスの関係者へも確認連絡が行った可能性がある。つまり私の想像以上に、状況は宜しく無かった訳である。
我が愛すべき弟とCopilot氏には感謝しても仕切れない次第である。何しろ "普段は財布を置かない場所でも一時的に置かれている可能性があります" が事件解決の糸口になったのだから。
そんな訳で名探偵Copilot氏が直接事件は解決しなかったけれども、Copilot氏の回答のおかげで弟がアイデアを得ることによって、事件は速やかな解決を見ることになった。
さて次なる問題は、これを「めでたし、めでたし」と言って終わってしまって良いのかどうか……これもCopilot氏に相談してみることにしようか。
それでは今回は、この辺で。ではまた。
記事作成:小野谷静(オノセー)
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