シミュレーションで期待値の収束について検証してみた【パチンコスロットと大数の法則】
どうも、ヲ猿です。
今回はパチンコ・スロットにおける『期待値の収束』と『大数の法則』についての話です。
(+後半でオマケ)
以前、youtubeに動画でアップした内容を文字に起こした記事となっています。
↓その動画はこちら
https://www.youtube.com/watch?v=cIdXgTF0gdc
動画よりも文字でササッと読みたいという方、まとめでおさらししたいという方向けの記事となっています。
以下、本題に移ります。
*
■大数の法則』と『期待値の収束』の厳密な意味
まずは、『大数の法則』と『期待値の収束』の厳密な意味について。
そもそもここの意味を勘違いしている人がかな多いように思います、
専業でやっている人でもです。
(特にスロット専業の人に多い印象)
まずはそこの認識を再確認したいと思います。
おそらくですが、一定数の人がこう勘違いしているのではないでしょうか?
・期待値を積めば積むほどトータル収支がトータル期待値に近づく
と。
しかし、これは残念なことに大間違いです。
実は大数の法則に、期待値を積めば積むほど(試行回数を増やすほど)トータル収支がトータル期待値に近づく、というような性質はありません。
大数の法則とはそういう法則ではないし、そのような現象は存在しません。
では、大数の法則は何か。
大数の法則が説明している正しい法則とは以下のようなものです。
・試行回数を増やすほど、試行1回あたりの平均結果が、理論上の平均(期待値)に近づいていく
というもの。
え?1回あたりの平均が期待値に近づくなら、トータルも期待値に近づくんじゃないの?
と感覚的に思う方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、それは事実ではありません。
実はそこに因果関係はなく、現実ではその直感とまるで反する結果になるのです。
それどころか現実ではむしろ逆で、
・期待値を積めば積むほどトータル収支とトータル期待値の差は広がっていく
(大きく余剰欠損している可能性がどんどん高くなっていく)
というのが正しいです。
これは僕の想像とかではなく、理論的にも、実験的にも正しい事実です。
人の直観に反する内容なので、言葉で説明しても分かりにくいかもしれません。
そこで、実際のシミュレーション結果を見て視覚的に理解していきたいと思います。
*
■実際にシミュレーションしてみた
今回、エクセルで同じ期待値の同じスペックの台を、『100回』、『1000回』、『5000回』試行した収支の推移を乱数を使ってシミュレートし、グラフに表してみました。
以下のような台を打った場合を想定してシミュレートしています。
また同じグラフに5人分の収支を同時に表示しています。
(全員、個別に乱数で計算されたもの。同じ期待値の同じ台を同じ回数打った人が5人いたらそれぞれがどうなったかみたいな感じのグラフです。)
以上のような仕様のスペックでシミュレートした結果が以下の通り。
計3回のシミュレートを行い、それぞれの100回、1000回、5000回までのグラフをそれぞれ抜き出しました。
(どれも100回までの部分、1000回までの部分は全く同じです)
まずは、シミュレート①。
最初に『100回試行』から。
次に『1000回』。
最後に『5000回』。
見てもらうと、ぱっと見だと試行回数が少ないほど荒れ、試行回数が多いほど安定して、期待値に近づいて行っているように見えます。
これは確かに、1回あたりの平均収支は期待値に近づいていっています。
(平均は大数の法則通りになっている)
しかし、トータルの額をよーく見てみてください。
(グラフの右端の最終結果です)
一番勝っている人と、一番勝てていない人の収支を比較してみて欲しいのです。
すると、
『最終収支』の開きが『100回』試行では『約45万』です。
これが『1000回』試行では『約140万』です。
かなり差が広がっていますね。
そして『5000回』試行では『約400万』です。
さらに広がっています。
グラフの形状をぱっと見るとだんだんまとまっていって差が縮まっているように見えますが、全く逆で実際はどんどん差が広がっています。
これは僕が仕込んだ訳でも何でもなく、先に定義したようなスペックで完全に乱数に任せて試行したらこうなったというものです。
シミュレート1回ではたまたまかもしれませんので、再度別個にシミュレーションしてみましょう。
2回目の結果がこちら。
シミュレート②
シミュレート②『100回』
シミュレート②『1000回』
シミュレート②『5000回』
今度も似たような結果になりました。
試行回数を増やすほど、一番の上触れと一番の下振れの差が、
約55万⇒約200万⇒約450万と広がってます。
もう1度だけやってみます。
シミュレート③
シミュレート③『100回』
シミュレート③『1000回』
シミュレート③『5000回』
今回も差が、
約80万⇒約250万⇒約800万とだんだん広がっています。
このように額の違いはあれど、
試行回数を増やすほど『トータル結果のブレ』は大きくなるという一貫した傾向が表れています。
このように、トータル結果はトータル期待値には近づきません。
大数の法則とはそういう意味ではないのです。
しかし、これらのシミュレート①~③はすべて、
1回あたりの平均収支は、1回あたりの理論平均(期待値)に近づいている
のです。
こちらが正しい大数の法則の意味です。
正しい意味の大数の法則を理解していた人は、当たり前だろ、となるかもしれませんが、
トータル結果がトータル期待値に近づくと勘違いしていた人は直感と反する結果になったのではないでしょうか。
(※上記の比較では視覚的に分かりやすいように、一番の上振れと一番の下振れを比較していますが、最も上振れor下振れした人と期待値とを比較しても、『試行回数を増やすほどトータルのブレが大きくなる』という事実は変わりません。全く同じ説明が成り立ちます。)
大数の法則でよく説明されがちな『短期的な上振れ下振れは長い目で見れば小さい』というものがありますが、これは大間違い。
正確には、『長期グラフにすると【視覚的に小さいと錯覚する】だけてあって、長い目で見た方が上振れ下振れは大きくなる』が正しいです。
これは理論上でも、シミュレート結果からも分かる『事実』です。
直感とは反するかもしれませんが、人の直感の方が間違いで、理論上でも現実でも正しいのは上記です。
*
■オマケ:逆正弦定理
今回の本題は以上ですが、
先程のグラフを見てみるともう1つ面白い法則が見てとれます。
それは、
『一度大きく上振れ(下振れ)た人はずっと期待値を超えることなく上振れ(下振れ)域のままである可能性が高い』
という法則です。
5000回試行近くにもなると途中で上振れと下振れが逆転している人がほぼいなくなっているのが分かります。
これはたまたまではなく、きちっとした理論上の法則に基づいた動きなのです。
このように試行回数が増えるほど、ずっと上振れ(下振れ)のままでいく可能性が高くなっていき、
そのような法則を、
逆正弦定理
といいます。
(正しくは、『逆正弦定理によって説明できる現象』)
逆正弦定理に基づくと、
『上振れと下振れを等しく経験している人』が最も少なくなります。
これは試行回数が増えれば増えるほどその傾向が強くなり、試行回数を増えるほどどちらかに偏る可能性が高くなっていき、その方よりも大きくなっていきます。
よく、
・先月下振れているから、今月は上振れるはず
・下振れする時もあれば上振れする時もある
・下振れ続けている人は期待値が間違っている
といった声をよく聞きますが、これはすべて間違いです。
もし、専業とかで長期的に稼働している人で、自身の経験上から上記のことを言っているのであれば、その人は『たまたま上振れと下振れを等しく経験できている滅茶苦茶レアな人』ということです。
ほとんどの人は(生涯トータル収支という意味では)一方的に下振れたままか、一方的に上振れたままに終わり、また下振れ上振れ額は拡大していくという結果になります。
これも人によっては直感に反する結果になっているでしょうが、事実です。
*
■おわりに
以上、大数の法則と期待値の収束、オマケで逆正弦定理について書きました。
分かっている人は分かっている内容でしょうが、ふんわりとしか認識できていなかった人、あるいは全く勘違いしていた人にとっては面白い事実が分かったのではないでしょうか。
これらの大数の法則に関する知識を何に生かすのかと言われたら特に何もないですが、
トータル結果がトータル期待値に近づくはずだというのを稼働のモチベーションにしていた人は期待値稼働への見方が少し変わってくるのかなと思います。
以上、パチンコ・スロットにおける『期待値の収束』と『大数の法則』についての話でした。
それでは今回はこの辺で。
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