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直近の医師国家試験:精神科

検査 ☆☆

113F28
ある心理テストで用いられる図版の一部を別に示す。 この心理テストについて正しいのはどれか。
a 無彩色と有彩色の図版からなる。
b テスト全体には 5 分程度を要する。
c テスト全体は 4 枚の図版からなる。
d 被験者は自ら質問紙に回答を記入する。
e 精神疾患のスクリーニングが目的である。

正解はaです。ロールシャッハテストは色付きもあります。
bc:10セット行い、結構な時間がかかります。
d:被験者が口頭で答えて検査者が記入します。
e:人格検査はスクリーニングには用いません。

112F8
自記式の心理学的検査はどれか。
a Rorschach テスト
b 津守・稲毛式発達検査
c 状態特性不安検査〈STAI〉
d Mini-Mental State Examination〈MMSE〉
e 簡易精神症状評価尺度[Brief Psychiatric Rating Scale〈BPRS〉]

正解はcです。アンケート式で答えます。

☆過去10年の精神科検査の出題
・113F28、112F8、111G9、110B1、109E51、108E34、107B25、107E57、106E36(直接の出題部位は黒文字。他は選択肢にあるもの。)
・状態特性不安検査〈STAI〉:自記式。アンケート式で被験者が答えていきます。
・津守・稲毛式発達検査:保護者が答え、検査者が記入
・田中・Binet式知能検査:児に行動させて評価
・Wechsler児童用知能検査〈WISCR-III〉:5歳以上16歳未満適応。3歳児にはNG。
・Rorschach:決められた10枚の図版を順番に提示。被験者に何に見えるか答えさせ、検査者が記入。無彩色と有彩色の図版がそれぞれ5枚ずつ。1枚1枚について答えさせるため時間がかかります。
・MMSE:被験者に質問して検査者が記入。認知症の検査(not 統合失調症)
・簡易精神症状評価尺度(BPRS):被験者に質問して検査者が記入。統合失調症に有用。
・Minnesota多面人格検査〈MMPI〉:自記式。被験者がアンケート式で答えていきます。
・ベック〈Beck〉のうつ病自己評価尺度:自記式(自己評価だし)。
・Hamiltonうつ病評価尺度:被験者に質問して検査者が記入
・ウィスコンシンカードソーティングテスト〈WCST〉:前頭葉機能の評価(⇨遂行機能障害などの評価)

電気けいれん療法(ECT:electroconvulsive therapy) ☆☆

・現在では静脈麻酔と筋弛緩薬を併用した修正型ECTがメインです。麻酔科医の立ち合いが必要で、主に手術室で行われます。
大うつ病、躁病、統合失調症に適応があります(他にもありますが国試的にはこれでいいと考えます)。他にもParkinson病やASDなどにも有効との報告があります。
自殺の危険がある場合や、栄養不良の場合など迅速な介入が必要なケースや、高齢者妊婦など他の治療の危険性がある場合では一次治療として行われます。
・頭蓋内占拠性病変や、最近の心筋梗塞や頭部外傷、脳出血、麻酔が危険な状態ではECTは非推奨とされます。
アトロピン(抗コリン薬)の前投与が必要です(電気刺激で一過性の徐脈になります)。
・副作用として骨折、頭痛、嘔気、健忘(前向性と逆向性)が挙げられます。
・男性、高齢、一部の薬(ベンゾジアゼピン系薬、バルビツール酸、プロポフォールなど)は発作の閾値を上げ、ECTの効果減弱の可能性があります。

115C23
精神科における治療時の写真を示す。
この治療が有効な疾患はどれか。
a てんかん
b 強迫性障害
c 緊張型頭痛
d うつ病性障害
e 注意欠陥多動性障害〈ADHD〉

正解はdです。画像は電気けいれん療法です。

113D2
けいれん療法について正しいのはどれか。
a 65 歳以上は適応にならない。
b 重症うつ病は適応疾患である。
c 副作用として筋強剛がみられる。
d 脳外科医の立ち会いが必要である。
e 患者やその保護者の同意なしに実施できる。

正解はbです。
a:薬物療法を行いにくい高齢者では良い適応です。
c:強剛はありません。
d:麻酔科医が必要です。
e:同意は必要です。

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