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直近の医師国家試験:整形外科

解剖 ☆☆

115E12
関節可動域で内旋および外旋を測定する関節はどれか。
a 肩関節
b 肘関節
c 手関節
d 膝関節
e 足関節

正解はaです。腕を組む動きです。

94A50に以下の問題があります。

腕を組んだ肢位は肩関節内旋位である。⇨○

113F10
骨格筋の器質的な短縮によって生じるのはどれか
a 強剛
b 強直
c 痙縮
d 拘縮
e 振戦

正解はdです。拘縮(contracture)は関節周囲の構造の異常によって関節可動域が制限される病態です。
a:Parkinson病などで見られます。関節を動かそうとすると筋収縮のために抵抗があるという所見。
b:関節の石灰化などによって関節可動域が制限される状態。
c:ALSや脳梗塞などの上位MN障害で筋緊張が亢進している状態。
e:不随意運動の1つで、甲状腺機能亢進症などで見られます。

参考:Dupuytren拘縮
・手掌把腱膜の線維化による拘縮。
・50代以上の男性に多く、第3、4、5指に多い。
・家族歴があることも。
・飲酒や糖尿病がリスクファクター。
・進行すると屈筋腱に沿った結節を触れます。

骨折 ☆

・開放骨折は感染リスクが高いため可及的速やかにデブリドマン、創洗浄、創外固定が必要です(汚染が軽度なら内固定も可能)。
・骨折の合併症
(A) 出血:骨盤骨折は1L以上の出血を起こすため特に注意が必要です。
(B) 脂肪塞栓症候群:脂肪滴が塞栓となります。DICの合併、呼吸不全などによって致死的。
(C) コンパートメント症候群:筋区画の内圧上昇による動脈、神経損傷(後述)。
(D) Volkmann拘縮:前腕屈筋群の壊死による拘縮。コンパートメント症候群がリスクです。手関節は屈曲、回内して指は屈曲する(後述)。
(E) 偽関節:骨癒合が途中でストップした状態。舟状骨、大腿骨頸部、脛骨中下1/3の骨折で見られやすいです。
(F) 骨化性筋炎:骨折後に筋肉内に溜まった血腫が骨化する病態。

115A59
47 歳の男性。右下腿の痛みを主訴に来院した。5 週前にバイク事故で右脛骨の開放骨折を起こし、受傷 6 時間後に洗浄、デブリドマン及び創外固定術を受けた。受傷後 1 週で創外固定を抜去し、プレートによる内固定術を受けた。内固定術後は右下肢免荷で歩行していた。昨日、右下腿内側に安静時痛と腫脹が出現したため受診した。体温 38.8°C。脈拍 80/分、整。血圧 144/62mmHg。右下腿に発赤、熱感および腫脹があり、手術創が一部離開している。
血液所見:赤血球 422 万、 Hb 12.4g/dL、白血球 19,200。
血液生化学所見:総蛋白 6.8g/dL、アルブミン 3.6g/dL、総ビリルビン0.9mg/dL、直接ビリルビン 0.2mg/dL、AST 24U/L、 ALT 18U/L、LD 182U/L(基準 120~245)、ALP 334U/L(基準 115~359)、尿素窒素 17mg/dL、クレアチニン 0.4mg/dL、血糖 112mg/dL、HbA1c 5.3%(基準 4.6~ 6.2)、Na 141mEq/L、K 3.8mEq/L、Cl 98mEq/L。CRP 21mg/dL。
右下腿の写真(A) 及び右下腿エックス線写真(B)を示す。
治療として適切なのはどれか。
a 下腿切断
b ギプス固定
c 足関節固定術
d デブリドマン
e 骨折部への人工骨移植

正解はdです。
・開放骨折から6時間経っているため感染リスクは高いです(golden periodは4.5時間)。さらに内固定も感染リスクです。
・創部は発赤、腫脹、疼痛が見られ急性炎症が示唆されます。
・X線では脛骨遠位部に骨膜反応(もやもや)があり、骨髄炎に至っている可能性があります。
・対応は創部を切開開放し、膿が溜まっていればドレナージ、壊死組織はデブリドマンが必要です。

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