115回医師国家試験をとことん深追いしました(B)

115B1:n-3系多価不飽和脂肪酸

リスクファクターと疾患の組合せで正しいのはどれか.
a 飲酒 ー 食道癌
b 低体重 ー 睡眠時無呼吸症候群
c 体重増加 ー フレイル
d 食物繊維の摂取 ー 糖尿病
e n-3系多価不飽和脂肪酸摂取 ー 虚血性心疾患

正解はaです。食道癌のリスクファクターとして以下のものがよく出ています。

・飲酒 特にフラッシャーはリスク大(115D62で出題)
・喫煙
・加齢

気になった部分として、n-3系多価不飽和脂肪酸摂取が出た点です。詳細は以下の記事にありますが、3年連続でn-3系多価不飽和脂肪酸についての問題が出ています。看護の方ではドコサヘキサエン酸の名称を選ぶ問題もあったため知っておきたいなと考えます。

115B4:関節リウマチの関節外症状

関節リウマチの関節外症状としてみられないのはどれか。
a 皮下結節
b 皮膚潰瘍
c 心外膜炎
d 間質性肺炎
e 後腹膜線維症

正解はeです。後腹膜線維症はIgG4関連疾患で、後腹膜による軟部組織増生で尿管の圧迫、閉鎖による腎後性腎不全をきたします。112E17に出題ありです。

113B20に以下の問題があります。これを除いて関節外症状を直接問う問題は初です。

113B20 
関節リウマチの関節外病変はどれか.
a 外陰部潰瘍
b 間質性肺炎
c 後腹膜線維症
d 虚血性視神経症
e 大動脈弁閉鎖不全症

正解はbです。115B4のeの選択肢も含まれるため、この問題を覚えていれば得点可能でした。ただし正答率は72%のため、巷で言われる「過去問3年分きちんと」の意味を考えさせられます。

☆関節リウマチの関節外症状とその周辺知識

・皮下結節:硬く圧痛なしの結節です。好発部位は肘関節伸側や後頭部です。
・間質性肺炎:関節リウマチによるものか、薬剤性(メトトレキサート肺炎)か、感染症(ニューモシスチス肺炎など)か、あるいは両者の共存かの鑑別が必要になる。
・胸膜炎:胸水を伴うことも。胸水がある場合はメトトレキサートを使えないため注意。
・腎障害(間質性腎炎、アミロイドーシスなど)
・心外膜炎、心アミロイドーシス
・消化管:アミロイドーシスで下痢や下血
・血管炎:皮疹、末梢神経障害など(以下参照)

☆115A12の再掲 リウマトイド性血管炎(rheumatoid vasculitis) 
・悪性関節リウマチとほぼイコール(全く同じという先生もいるし違うものだと言う先生もいます)
・RA経過中に見られる血管炎。喫煙男性で疾患コントロール不良の場合やFelty症候群ではリスクが高い。
・血管炎症状として皮疹(下肢優位。紫斑や進行すると潰瘍や壊死を伴う)が最多。
・他にも末梢神経障害や心筋炎、胸膜炎、上強膜炎や虹彩毛様体炎や角膜炎など多彩。
・治療はRAの治療に加え、ステロイドやシクロフォスファミドなどを使う。

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