115回医師国家試験をとことん深追いしました(C)

115C4:酸素投与器具

酸素投与器具と流量の組合せで適切なのはどれか。
 a 鼻カニューラ 1L/分
b 鼻カニューラ 7L/分
c フェイスマスク 1L/分
d フェイスマスク 3L/分
e リザーバー付マスク 4L/分

正解はaです。

☆自発呼吸のある人への酸素投与方法
⓪デバイスの選択
・FIO2(流した気体に含まれる酸素の割合)によって変えます。
鼻カニューラは0.2〜0.4
フェイスマスクは0.35〜0.6
リザーバー付きマスクは0.6以上

です。
鼻カニューラは1L/分酸素流量を増やすと、FIO2は+4%となります。
マスクは1L/分酸素流量を増やすと、FIO2は+10%となります。
≪注≫ただし上記はあくまで「目安」です。患者の呼吸状態や、デバイスの装着性によって大いに変わります。
①鼻カニューラ(nasal  cannula)
・鼻腔に浅く入れた管から酸素を流します。
・口呼吸の場合は効果が減弱します。
高流量(特に6L/分以上)を流すと粘膜が刺激され鼻腔が痛むため行いません
≪注≫投与する酸素は乾燥酸素です。湿気があれば酸素ボンベの中が錆びてしまいます。湿気がないため鼻粘膜が乾燥し痛みます。
≪注≫高流量酸素を経鼻的に投与する方法にネーザルハイフローがあります。高流量(30〜60L/分)を流せ、FIO2を21%〜100%に調節できます。加温加湿した酸素を流し鼻粘膜への刺激を少なくしています。高流量を流し込むため、鼻腔内の空気を一気に流して死腔を減らし呼吸補助を行います。また、口を塞がないため会話、食事、酸素を流しつつの気管挿管が可能です。注意点としては高流量のため酸素中毒、ハイコストであることが挙げられます。
②フェイスマスク
・顔にフィットさせたマスクから酸素を流します。
・吐いた息がマスク内に満たされてそれを再度吸ってしまう可能性があります。そのためにある程度高流量の酸素を流してマスク内の空気をウォッシュアウトする必要があります。ゆえに低流量では使えません
・ただし我々は生理的な呼気再吸収を行なっているため、再吸収そのものが問題というよりも、COPDなどの二酸化炭素が貯留する病態を悪化させうることが問題です。
③リザーバー付きマスク
・リザーバーとは文字通り酸素を蓄える場所を意味します。
・患者が息を吐くときに、マスク内のリザーバーに酸素が蓄えられ、息を吸うときにリザーバー内の酸素+ボンベからの酸素が患者へと送られます。
・リザーバー構造がない場合は、息を吐くときにも常に患者へと酸素が送られ、その酸素は呼気とともにマスク外に出る(=無駄になる)ため非効率です。
・マスクであるため、②と同様の理由で低流量では使えません

参考:112B11
酸素投与法,酸素流量と想定される吸入酸素濃度の組合せで正しいのはどれか.
a 鼻カニューラ2L/分 - 20%
b 鼻カニューラ4L/分 - 50%
c マスク6L/分 - 80%
d リザーバー付きマスク7L/分 - 50%
e リザーバー付きマスク10L/分 - 90%以上

正解はeです。
a:20%では大気の酸素濃度と変わりません。
b:鼻カニューラではFIO2は0.2〜0.4です。
c:50%ほどです。
d:70%ほどです。
e:正しいのですが、あくまでこれは理想的な場合です。マスクフィットが完全でない場合は室内の空気を吸うためこの通りではありません。

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