政策の失敗に負けない自治体総合計画の作り方 その5 PDCAサイクルからの脱出

その5からは基本計画(五年間)の作り方を議論していきます。ちなみにその1〜4は基本構想でした。

まず、基本的スタンスの確認です。まず、PDCAサイクルからの脱却です。ミ民間・行政ともに組織運営の基本はPDCAサイクルといわれます。それは、一旦、計画もしくは戦略が立ち上がって運用する時の話。計画を作る時の思考は別。

おすすめは、C-A-P-Dです。チェックから入ることがキモ。もっというと、観察-分析-試行-実践のプロセスを毎年の決算審査→予算編成に入れ込むことが重要になります。今回は行政の総合計画の立案を中心に考えるときには、必須かと。前年度の成果と反省を踏まえて、新年度の計画をつくるという当たり前のことがうまくいっている自治体はそれほど多くないかと。

では、まず。何をすべきなのか。観察です。これまでどんな事務事業(プロジェクト)が走っていて、どれくらいコスト(人件費込み)を使い、単年度ごとでどんな成果を出し、そして、施策(プログラム)、政策(ポリシー)それぞれの目標達成にどれくらい貢献したのかを一事業一事業ごとに確認します。

行政関係ではない経営コンサルの方だったから、単位当たりのコスト、成果などを議論すればいいのではないか・・と思うかと思います。実は、ここに行政を専門とするコンサルの存在意義があります。

まず。行政を経営体としてみた場合の特性は4つあります。

(1)サービス提供から土木工事まで多様なサービスラインがあります。つまり、成果の単位が多様です。社会福祉での評価と道路整備での評価内容を同じように扱うのは難があります。成果の数値が難しいもの、そもそも、成果をとることが無理なのがあります。しかし、予算編成に評価を使おうとすると、比較せざろうえないのが実情。
(2)行政評価の担当の担当者の数に対して、事業の数が相対的に多い。財政規模が小さい自治体でも大中小あわせて1,000-2,000はあるかと思います。しかし、担当者は1から2名なことがほとんどかと思います。物理的に分析が不可能なことが実態。
(3)財政規模が小さい自治体ほど都道府県からの補助金・助成金が大きな位置を占めます。ただもらうだけ、支援してもらうだけなら問題はありません。しかし、ほとんどの補助金・助成金には紐(政策上の目的)が設定されています。つまり、補助金・助成金が紐づいた事業を評価をして、仮に廃止というのは現実的には難しいことになります。
(4)指標設定の妥当性にばらつきがある。投入量→成果→効果と、いわゆるインプット・アウトプット・アウトカムを設定すればいいのでは・・ということは簡単です。上記の状況の中で、的確にインプット・アウトプット・アウトカムを設定できている事業は決して多くありません。体感では妥当性チェックでOKな事業比率は40%くらいでしょうか。

つまり、事業評価を取りまとめるだけでは、議論は進展しません。適切に観察をするには、三つのステップが必要です。

(1)事業の予算は、すくなくとも、自分の自治体の予算の比率が50%以上かどうかの確認です。
(2)設定している指標は妥当かどうかです。かりに指標が達成したとしても、指標の設定が妥当ではない場合、もう一度指標を取り直すことが必要になります。そこでもう一つの課題が発生すること多です。それは、人事です。計画を作った時の担当は基本的にいません、そして、文章の整備はちゃんとしていればいいのですが・・。つまり、どうしてその指標を設定したのかを後追いすることは基本的に不可能と思うことしばしばです。
(3)取り扱う事業の予算感の妥当性です。10万円の事業と1億円の事業を同じに扱っていのかです。

今回はこれくらいで。その上で、どうやって、施策・事業の現状を分析するのかをリアルに検討していきます。(了)


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