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図工の時間

図工の絵の具の時間、
一瞬、長い髪の毛がパレットについて、
そのまま画用紙に絵の具が付いた。
画用紙には孔雀の羽のような、
人間の毛細血管のような、
繊細な葉脈のような、
それが合わさったような、
何とも言えないものが表われてしまったので、
完全に心奪われてしまったので、
描かなきゃいけないテーマが描けなくなり、
鉛筆の下絵も、筆も使えなくなり、
こっそり髪の毛をカットして、
さっきの出来事をしばらく試した。
でも、何回やってもできない。
偶然できた、さっきのような表現は、やろうと思ってもできなかった。

先生はそんな自分を見て、びっくりして固まった表情をしていたけど、
黙って私を見て、そのまま何も言わずに行ってしまった。

私はすぐに画用紙を裏返して、慌ててみんなの絵を見回して、写生大会の続きを描いた。
今までの、どれにも当てはまらない不思議な気持ちと、不思議な私に出会えた思い出。

きっと、もっとそんな素敵な瞬間を、いっぱい体験してきてるんだと思う。
とっても一瞬の出来事で、忘れてしまって、
思い出せないだけで。

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