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交絡因子

ピアノを習っている子は学校の成績がよいという相関関係がありそうです。

では、ピアノを練習すれば数学ができるようになるかといえば、直接的な因果関係はないでしょう。数学は、数学の勉強をしないとよい成績は取れません。

ピアノを習っている子は、裕福な家庭環境だから成績もよくなるのではないか、と言われることがあります。ピアノ学習と学校の成績の相関に対して裕福な家庭環境のことを「交絡因子」と呼びます。

私的な考察

私が今まで見聴きしてきた範囲でいえば、ピアノを習っている子がことさら裕福なご家庭ということはありません。昭和時代のイメージではないかと思います。

コンクールに参加するような子の場合は、親が練習を見守ってくれたり、コンクール会場まで一緒に付いてきてくれたりするので教育熱心なご家庭が多いのは確かかもしれません。「ピアノを習っている」⇔「学校の成績が良い」という相関は、「親が教育熱心」→「学校の成績が良い」という因果関係に成り立っているのは間違いないでしょう。

でも、やっぱり言いたい。毎日こつこつ練習しないといけないピアノ学習は、勤勉な子を育てると。これも、勤勉な子がピアノを止めないだけでしょ、「生存者バイアス」なんじゃないと言われれば、そうかもしれないと言わざるを得ません。

さらに食い下がりたい。コンクールなど精神的に厳しい環境を経験してきた人が一様に言うのは、「ピアノは本番に何があるか分からないのでたいへんだけど、学校の勉強はやっただけの成績が出せるから簡単。」と。ピアノというもっと大変なこととの対比で学校の勉強が簡単に見えてくる効果はありそうです。

大学でスポーツをやってきた学生は就活で有利に働く傾向があります。「スポーツの競技力」→「企業での業務遂行能力」の直接的な因果関係はありませんが、「結果を求めて努力する力」といった交絡因子が企業に入って活躍させるのでしょう。企業の採用担当者は、それを経験的に知っているから体育会系人材を採用したがるのではないでしょうか。

ピアノ教育業界としては、いつかランダム化比較実験でピアノを習うとこんな能力が高まると科学的に立証してみたいと思いました。ちなみに弊社の採用では、経験的にピアノコンクールでよい実績を取っている人は入社してからよく学び成長していくことを知っているので、いわゆる高学歴として加点評価します。

※SDM研究科「心と社会を理解するための実証研究法」の授業を受けて。


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