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ハンガリー語のちょい面倒な特徴

 ハンガリー語(マジャール語)の綴りについて書いている途中だけど、綴りの話が続いてもつまらないので、今回は目立った特徴について書いてみたい。
 なお、ここで「目立った特徴」というのは英独仏などのヨーロッパ語を基準にしている。ハンガリー語はウラル語族に属し、印欧語ではないため、ヨーロッパ語(とくに西欧語)に見られない特徴が散見される。
 では、さっそく始めたい。

  1.  母音調和

 トルコ語などに見られる母音調和という現象がハンガリー語にも見られる。これは、接尾辞などを付けるときに、付ける接尾辞が単語の最後の母音に応じて変わる現象をいう。
 たとえば、語幹の最後の音節にaがあるときは-banが付き、eがあるときは-benが付く、という具合だ。
 母音調和においては、
 ①母音を2つのグループに分け、それに応じて2つの接尾辞を使い分ける
 ②母音を3つのグループに分け、それに応じて3つの接尾辞を使い分ける
という2つのパターンがある。
 理屈は簡単だが覚えることが増えるのはやはり厄介だ。

2. 定活用と不定活用

 ヨーロッパ語には基本的にない概念だと思うので、慣れるのに時間がかかりそうだ。ハンガリー語では、動詞の目的語が特定のものかどうかで活用が変わる。
 目的語が特定のもの(たとえば定冠詞が付いた名詞)の場合は定活用の語尾を付け、不特定のもの(たとえば不定冠詞が付いた名詞)の場合、あるいは自動詞などそもそも目的語を取らない動詞の場合には不定活用の語尾を付ける。
 定活用:目的語が特定
 不定活用:目的語が不特定、また自動詞など目的語を取らない動詞

3. 所有表現

 英独仏語では「私は〜を持つ」など、所有者を主語とし、「持つ」という動詞を使って所有を表す。I have a pen.のように。
 ハンガリー語では「私には〜がある」という言い方をする。これは日本語に近いので日本人にはわかりやすいだろう。
 たとえば、店でDo you have …?と聞くときは
 Van önöknek …?となる。
 (van:ある、3人称単数現在)
 (önöknek:あなたがたのもとに)
「あなたがたのところには〜がありますか?」という表現になる。
※実際にこんな丁寧な言い方をするのか知らないが、とりあえず文法説明として見ていただきたい。
 ちなみに、「私には〜がある」という言い方はロシア語も同様だ。

物が主語になることのひとつの利点は主格で言えることだ。仮に物を目的語にするのであれば、いちいち対格語尾を付けないといけなくなる💦

 西欧語には見られないハンガリー語の特徴を駆け足でざっと見てきた。予備知識として知っていれば、ハンガリー語の敷居は多少は下がる……かもしれない。

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