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鳥取森田株式会社(気高郡青谷町青谷)

昭和52年2月の創刊時から連載されていた、山陰の事業所を紹介する『事業所めぐり』をnoteで順次紹介。今回は昭和52年11月5日号より、鳥取森田株式会社の記事をご紹介します。
※地名、会社名など各種名称、役員、事業内容・方針、広告内容等記載内容は掲載当時のものです。



【事業所めぐり53】鳥取森田株式会社(気高郡青谷町青谷)


問屋からの委託を受けて、メリヤス生地を染色整理加工している全国でも数少ない企業の一つ。敷地面積約2万平方㍍に十数棟のエ場を持ち、原反整理から精錬―漂白―染色―乾燥―仕上げまで全工程に機械を導入、加工技術の優秀さで多くの問屋から信頼を得ている。

昭和42年、大阪市にある森田洋晒㈱の分工場的な企業として鳥取県と青谷町が誘致。従業員28人を地元で採用、普通のメリヤス生地とは異なる混紡(織り物状)生地など、特殊なものを染色する合繊用機械設備を工場一棟に設置し、資本金1000万円でスタートした。

以来、素人の従業員にメリヤスの扱い方など商品知識から教育を始め「一人前になるのに5~6年、ある程度仕事がこなせるようになるにも1年はかかる」という染色の技術をみっちり指導。需要に応じて、交編生地の染色も手がけるようになり、工場を新築するなど設備も年々整備されていった。

今では、生地一反の中に色の濃淡の差が生じるような不良品を加工する恐れは一切ないほか、問屋から預かった原反をムダなく染色しロスを出さないなど、大阪を中心とする同業者の中でも、染色加工技術はトップクラスに入るまでに向上、米国のバイヤーが特に同社を指定して染色を注文してくるほどになっている。

このため、厳しい環境にある業界にあっても、同社は相変わらず100%近い操業率を維持しており、昨年の加工量実績は前年比27%増の300㌧、加工賃実績で8億4000万円を超えた。西村常務は「当初、技術指導などなかなか苦労したが、今となれば、みな全くの素人だったから技術的にも変な癖がなく、思うように教育指導できたのが良かった。10年間積み重ねてきた実績が、ようやく実ってきたようだ」と語る。

しかし、ことしは円高欠損が生じることもあり「昨年加工賃実績をとにかく下げないよう加工量を増やしていくとともに、より付加価値の高い製品の加工を追求していき、この不況を脱出してさらに大きく成長するよう努力していく。そのためには、自らはもちろん従業員に対しても厳しさを要求していく」と意欲的な姿勢。(昭和52年11月5日号)



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