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米子瓦斯株式会社(米子市東町)

昭和52年2月の創刊時から連載されていた、山陰の事業所を紹介する『事業所めぐり』をnoteで順次紹介。今回は昭和52年10月25日号より、米子瓦斯株式会社の記事をご紹介します。
※地名、会社名など各種名称、役員、事業内容・方針、広告内容等記載内容は掲載当時のものです。



【事業所めぐり52】米子瓦斯株式会社(米子市東町)


ガス利用の目覚しい普及で、着実に上昇を続けてきたガス業界だが、石油ショック後のインフレ、不況の影響で全国的に都市ガス需要は急激に鈍化、50年度の伸び率は約6%と前年度の半分にも満たない状態だった。こうした業界の現状にあって同社は、ここ数年、5~7%前後の伸び率を示しており、まずは安定経常といえそう。

創業は昭和5年。広島県呉市の実業家、竹内隆造氏が現在地に興したもので、戦争末期に一時、工場閉鎖という最悪の事態を迎えたが、戦後間もなく元衆議院議員の赤沢正道氏が中心になって再建に努力した。そのかいあってか、ガス利用の普及と重なって着実に伸びつつ現在に至っている。しかし、石油ショック当時は“大口”の皆生の旅館街が不振で、閉店休業のところが続出、同社の伸びも鈍化したが、最近になってようやく持ち直し傾向にある。

ガス工事の一番の難問は、導管を道路に埋め込める作業。交通問題に頭を痛めるわけだが、いったん埋めた管がユンボなど大型車のためにヒビ割れ現象を起こし、ガス漏れの危険を呼ぶため工事は慎重このうえない。また近年は造成団地が各地で急増しているが、これらのガス工事は先行投資の形で施工してしまうが、入居者がなかなか決まらない場合、その間の金利負担に苦しむことになる。

現在、旗ケ崎の工業団地に1万6500平方㍍の用地を確保しており、社屋・工場の全面移転を準備中だ。既にボーリング調査を終え、近いうちにも工事にかかりたいとしており、来年中には工場だけでも移転させたい考えだ。50年度の総需要量は736万2000立方㍍、また51年度は764万5000立方㍍と微増ではあったが52年度は10%の伸びを期待しており、新工場設立によって供給能力がさらに強化されると見られる。

安定経営とはいえ原料のコスト高、低成長に伴う消費者の節約ムードと、同社を取り巻く環境は厳しく同社は“減量経営”で乗り切ろうとしている。来春の新卒者の採用はゼロということで、人員合理化による省力化の方向を打ち出している。また、ガス料金は昨年57円84銭に値上げされたばかりだが、移転後も据え置くのが望ましいが、現状ではなかなかむずかしいようだということで移転後の値上も考えられている。(昭和52年10月25日号)



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