「2023年度前期セラピスト資格取得研修会の事前動画のまとめ」#書く習慣146
日々の診療お疲れ様です。TROT(トロット)です。
今日はこの間受けたセラピスト研修会の事前動画のまとめを記載していきます。
第1章 運動器リハとは?
・運動器:骨、関節、筋肉、神経の総称
・運動器リハとは運動器疾患を持つ患者の心身機能と生活の活動性向上を図る治療
・高齢者は65歳から、後期高齢者は75歳から
・日本はすでに超高齢化社会(現在29.1%/21%〜超高齢化社会)
・平均寿命 男81.47年、女87.57年:R2より短縮
・高齢者の平均余命は平均寿命よりも長い
・高齢者は基本的ADLが困難なため、完治は目指さず、QOLの維持を目指す
・健康寿命の指標①ADLに制限ない期間②健康だと自覚している期間③ADLが自立している期間
・健康寿命が終わると要支援などに切り替わる(健康寿命は女性の方が長い)
・有訴者数(65歳以上)の1位は男女ともに腰痛
・通院者数の第4位は腰痛、女性は5位に骨粗鬆症
・要介護になる原因の1位は認知症だが、運動器疾患由来の方が合わせると多くなる
(脳血管障害から認知症に変わったので特に女性が要介護となりやすい)
・要介護の原因として運動器疾患は20%以上(女性では25%以上)
・要支援1、2では、運動器疾患がふえ、要介護3-5では認知症や脳血管障害が半分を増える
・高齢者に多い運動器疾患
①LSCS;男におおい、580万人
②膝OA;2400万人、内反膝が多い
・骨粗鬆症をベースに①大腿近位部骨折②脊椎骨折③上腕骨近位部骨折④手関節骨折
(①②は生命予後に影響を及ぼす)
・ロコモ;運動器障害により、ADLの自立度が低下し要介護支援になる恐れがある状態(現在は移動機能が低下している状態という意味合いで使われることが多い)
・患者評価はWHO国際障害分類
①機能障害(切断)②能力低下(歩行障害)③社会的不利(階段が使えない)
・現在は国際生活機能分類(ICF)ベースに評価されている
・ICFの7つの要素
①健康↔︎病気 ②心身機能↔︎機能障害 ③身体構造↔︎構造障害 ④活動↔︎活動制限
⑤参加↔︎参加制約 ⑥個人因子↔︎ ⑦環境因子↔︎
・バランス機能(開眼片脚起立時間が15秒未満で運動器不安定症)
・ADLの評価;バーセルインデックス(10項目/100点満点)、FIM
・バーセルインデックスの10項目
①食事 ②移乗 ③整容 ④トイレ ⑤入浴 ⑥歩行 ⑦階段昇降 ⑧着替え ⑨排尿 ⑩排便
第2章 運動器リハのプロセス
・チーム医療とリハビリテーションカンファレンス(目標設定)が重要
・リハ計画書「開始時および3ヶ月に1回以上内容を説明し、カルテに記載すること」
・ROM訓練の禁忌 ①全身状態が悪い ②局所の急性炎症 ③ 感覚障害がある ④骨性強直
・右肩麻痺患者の他動ROMで上腕骨骨折を起こさせてしまう(自動なら良い)
・ハインリッヒの法則 1:29:300/それ以下はヒヤリハット体験
・ヒヤリハット報告の必要性(重複事故の予防)
・事故が起こった際の法的責任(民事責任、刑事責任、行政処分)
・説明責任:予想された事故を回避できなかったのか、しっかりとリスクを説明したのか?
・転倒のリスクは完全には防げないことを説明し記録する(インフォームドコンセント)
・事故が起こった場合の対応 → まずは患者さんの治療
その後… ①説明(初期対応のまずさについて) ②カルテ説明(分単位での記録)
・算定条件①セラピストと患者が1対1 ②時間は20分 ③1単位 ④発症から150日以内
第3症 運動器疾患対策の社会との関わり
・150日ルール、介護保険優先が前提!
・人口はピラミッド型→釣鐘型に移行
・第2号被保険者(40〜65歳)は16種の特定疾患であれば介護可能
・16種の特定疾患 ①RA ②OPLL ③骨粗鬆症(Fxあり)④LSCS ⑤両膝又は股のOA
・ADL自立度はJ(自立)>A(純寝たきり)>B(寝たきり)>C
・デイケアはリハビリ可能、デイサービスは体操
・要介護3では月額27万円必要
・現在脳卒中は減っているが、認知症は増えている
第4章 運動の仕組み
・脊柱全体で2つのS(頚椎、腰椎の前弯/胸椎、仙椎の後弯)からなる
・椎間板の後方に後縦靱帯>黄色靱帯が存在する
・脊柱は3関節複合体として存在する
・脊髄の中央は灰白質(神経細胞)、周囲に白質(神経線維)が存在する
・神経回路は上行性(求心性:感覚神経)と下行性(遠心性:運動神経)の2つが存在する
・運動:C5は肩外転、C6・7は手関節の背屈に関与、L4・5は足関節背屈
・知覚:C6は母指、T4は乳頭、T10は臍部、L1は鼠蹊部、L5は下腿外側から足背
・ヘルニア:L4/5で第5神経根の障害:足背から下腿外側の痺れ痛み
・筋肉は骨格筋(横/随意)、平滑筋(不随)、心筋(横/不随)からなる
・筋単位:筋束>筋線維>筋原線維(アクチン、ミオシン)
・等張性収縮(筋収縮力は一定で関節は動く)
・等尺性収縮(筋長は一定で関節は動かない):初期リハで行う
→setting、デローム法(10回が最大になるように:10RM)
・筋トレで面積は増えるが、繊維の数は増えない
・長管骨の断面の中央は海綿骨(骨髄、血管造成)、周囲は皮質骨となる
・骨端線(成長軟骨)は縦に伸び、骨膜は横に伸びる
・膝OAは内反膝(O脚)
・関節液は滑膜で産生される
・立位バランスは1分間、閉眼開眼で確認する
・歩行周期の片脚支持は80%
・バランス訓練にはフレンケル体操(臥位にて行う)
・運動中に心疾患の発生があれば中止
・徐脈があれば心筋梗塞、狭心症が考えられる
・運動中の顔面紅潮は問題ない
・ピンサーメカニズム:頚椎伸展で後縦靱帯がめくれて挟まれること
・椎間板圧は前屈、座位で圧が強くなる
・座位や前屈で重心が前方化してしまう
・LSCSは神経原性関節性は跛行を生じる
・骨折:骨膜からは膜性骨化、骨髄からは内軟骨性骨化
・手術は主に随内釘(骨髄内)とプレート固定(骨皮質外)に分けられる
・小児にはピン固定を行うこともある(軟骨損傷予防)
・指の伸筋腱断裂は手術(アキレス腱は保存で良い)
・長期臥床で①褥瘡と②筋量減少(1Wで10%減少)
第5章 運動生活機能の評価
・痛みの評価:VAS、NRS、フェイススケール
・可動域の評価:回内回外は肩の運動ではない
・脚関節捻挫は内返し捻挫が多い
・バランス評価:開眼片脚起立時間(15秒)
・体力の指標:6分間歩行距離(ROM、MMT、ロンベルグ、起立時間は関係ない)
・運動器不安定症の評価:3M time up&go(TUG)
→ 11秒以上で不安定症→ 歩行能力の検査
・10M歩行テスト:最速歩行と通常歩行の両方を計測
・有酸素能力を高めるのはWalking
・運動位不安定症の機能評価基準
①ADL自立度 JかAに相当
②開眼起立時間 15秒未満
③3M TUGテスト 11秒以上
・運動器不安定症の対象疾患に片麻痺は含まれない
第6章 認知症と運動器リハビリテーション
・認知症はアルツハイマーが一番多い
・認知症は妄想や幻覚を伴う
・良性老人健忘症はあとで思い出す
・認知症のリハビリは①早期から単純で楽しいリハビリ②のんびり遅れても良い
・ADLにADLや手段(家事、洗濯)は入るが、筋力や外出は含まれない
・BI:介助なしにできる10項目の代表的動作
・介護度の認定には以下の複数の項目で認定される(1つではダメ)
①身体機能起居動作、②生活機能、③認知機能、④精神行動障害、⑤社会生活への適応
・要介護になった原因は男性が脳血管障害、女性は認知症が一位
・女性には関節疾患が多い
第7章 物理療法の実施法及び適応と禁忌
・温熱療法:パラフィン浴
・温熱後の効果 ①平滑筋が弛緩し、血管拡張し血流量増加 ②組織治癒の促進
・温熱療法の禁忌:①血栓性静脈炎(手術や外傷後の特に下肢に多い)
②温痛覚が鈍い人には注意する
・寒冷療法の禁忌:クリオグロブリン血症、レイノー病
・超音波の効果
①温熱効果:代謝の促通
②非温熱効果:難治性骨折の治療
・超音波の禁忌:悪性腫瘍、妊婦
・低出力レーザーの禁忌:①眼、②放射線治療後6ヶ月以内、③出血部
・電磁波療法の禁忌:小児の骨端軟骨
・電気療法の禁忌:デマンド型心臓ペースメーカー、血栓系
・筋力強化に対してはEMSを用いる
・牽引療法は現在は間欠型が多いが、治療効果は明らかでない
・腰痛牽引:体重の1/3〜12/程度、膝は軽度屈曲位
・頚椎牽引:体重の1/7〜1/5程度、頚椎は中間位、軽度前屈位
第8章 肢体不自由(運動器と神経疾患)の運動療法
・運動器リハの起算日は、リハビリを始めた日ではなく診断がついた日
・維持期、生活期のリハは介護保険へと移行になった
・介護保険使用であれば150日経過後は適応されない
・リハビリのゴールを設定して患者さんの理解を得ながら行う
・運動強度:Mets(メッツ)、Borg(ボルグ)
・運動負荷量は最大心拍数(HR max=220ー年齢)の60〜80%で行う
・スクワットで大四Mは立ち上がりで求心性、しゃがみで遠心性収縮を行う
・中高年の筋トレの目安は20〜30RMの負荷で10〜15回行う
・T字杖は原則健側で持つ
第9章 ロコモと運動器不安定症
・平均余命(⚪︎歳の人が後どの位生きられるか?)
・平均寿命(何歳まで生きられるか?)
・85歳まで生きた人はあと6年生きれる
・2040年には10%の人が85歳を超えていくと言われる
・健康寿命(自立して生活できる期間:介護に依存しない)
・女性の平均寿命は87.1(健康寿命は74.2)、男性の寿命は80.7(健康寿命は71.9)
・健康寿命①介護不要 ②健康の自覚 ③ADL制限なし ④健康 ⑤ADL自立
・要介護となる原因の1/4は運動器の障害となっている
・脳血管障害は減少しているが、転倒骨折の患者さんは横ばいとなっている
・ロコモ:運動器障害により移動機能の低下して状態(病名ではない)
・7つのチェックで一つでも当てはまればロコモの可能性(運動機能の低下)
・ロコモの生理的機能障害のひとつに痛みを訴えることもある
・ロコモチェック+立ち上がりテスト+2ステップテストにて判定
・ロコチェック(+)で転倒の可能性が高くなる
・立ち上がりテスト:片脚、両足で立てるか?
・2ステップ値=歩幅÷身長(歩幅の減少=速度の低下):0.8〜2(高いほど良い)
・ロコモ25(1問4点で100点):重症度と関連
・ロコモ度1:立上り(片脚40cm不可)+2ステ(1.3)+ロコモ25(7)
→移動機能の低下が始まる:運動の習慣付け
・ロコモ度2:立上り(両足20cm不可)+2ステ(1.1)+ロコモ25(16)
→移動機能の低下が進行している状態:自立できなくなる可能性が高い
→ 一つでも該当すればロコモと判断できる
・運動器不安定症は病名(保険適応)
・診断基準:11の運動器疾患+
①ADLの自立度はJかAランク ②開眼片脚起立15秒未満 ③TUGテスト11秒未満
第10章 アスリハ
・アスリハはスポーツ競技復帰を目的とする
・外傷:一度の大きな外力で生じたもの
・障害:オーバーユース系、治りにくい、慢性化しやすい
・スポーツ外傷・障害の定義:受傷後初日の練習に1日以上参加できなかったもの
・発生因子の内的要因にダイナミックアライメントが存在し、リハの対象となる
・外的要因はリハでは改善が困難なものが含まれる
・リハの段階的プログラム
運動距離(近い→ 遠い) / 運動方法(OKC → CKC)
収縮様式(等尺性→求心性→遠心性) / 攻守(オフェンス→ディフェンス)
・競技復帰前のチェック項目 ①患部外の運動機能 ②ダイナミックアライメント
・幹部の回復や運動機能などのパフォーマンステストも行う
・右下の状態でのドローインで下側(右)の腹斜筋の筋活動が増大
・復帰前の運動では骨盤中間位の維持、アライメントの乱れを観察する
第11章 上肢のリハビリ
・SABは炎症が起きると前方に移動する
・関節包も萎縮してくる(造影剤撮影で)
・Codman振り子運動(回内回外):肩のリハビリ
・麻痺手:橈骨神経(下垂手)、正中神経(猿手)、尺骨神経(鷲手)
第12章 下肢のリハビリ
股関節
①大腿骨頚部骨折
・GardenⅠ、Ⅱは非転位型(観血的接合術)
・GardenⅢ、Ⅳは転位型(人工骨頭置換術)
・転子部骨折では関節包外で血流が良いため骨接合術が選択される
②Hip-OA
・反応性の骨増殖を特徴とする
・原因不明の一次性と、何らかの原因がある二次性が存在する
・日本では二次性が圧倒的に多い(臼蓋形成不全等)
・末期OAではTHAをすることが多い
・THA術後脱臼予防指導:
伸展、外旋、内転で前方脱臼の可能性がある
屈曲、内旋、内転で後方脱臼の可能性がある
③大体骨頭壊死症
・MRI T1にて帯状効果像を認める
④RA
・多発性の関節炎を主症状とする原因不明の自己免疫疾患
・発熱を伴うことは少ない
・女性に多い
膝関節
①TKA
②OA
・原因不明の一次性/外傷、炎症に続発する二次性が存在する
・内反変形(O脚)が多い
③半月板損傷
・半月板が嵌頓していれば完全伸展が不能となる
・切除術よりも縫合術が望ましい(OA化しづらい)
④靭帯損傷
・ACL再建術ではST腱を移植して行うことが多い
第13章 脊椎のリハビリ
①頚椎
・Jackson testは頸椎が不安定な患者に行わない(呼吸中枢への障害:死)
・デルマトーム:C6(母指示指)、T4(乳頭)、T7(剣状突起)、T10(臍)
・巧緻障害:Grasp &Release(グーパー10秒で25回)、箸が使えるか
・歩行障害:つぎ足歩行(脊髄症状)
・反射:上二M(C5)、腕橈骨筋(C6)上三M反射(C7)
・MMT:0〜5まで6段階、上腕二頭筋(C5、6)
・神経根症状:責任高位と対応する部分での上肢の痺れ
・脊髄症状:四肢の痺れ、麻痺、巧緻障害、歩行障害。膀胱直腸障害。不可逆性。
・頚椎症性神経根症の原因は①骨棘②椎間板ヘルニア
・OPLL:胸腰椎にも骨化。術中出血が多い。
・脊髄損傷:異所性骨化に注意する
②胸椎
・側弯症:神経線維症、マルファン症候群
・一旦発症した側弯は矯正されない
・装具はミルウォーキー、アンダーアームを25度以上の患者に装着
・圧迫骨折:骨粗鬆症で骨折するのは第5胸椎くらいまで
・MRI:T1でLow、STIRでHighに映る
・痛みが長く続く時に手術することもあるが、9割は手術をしなくても治る
・装具は硬性コルセット>ジュエット>ダーメンで固定力が落ちる
・骨折の1〜4ヶ月後に再骨折のピークが来る
③腰椎
・下肢の痺れはないか?夜間痛はないか?
・Patrick sign:股関節、仙腸関節の問題
・PTR(膝蓋腱反射):亢進で頸胸椎の問題を疑う
・LSCSはヘルニア+黄色靱帯の肥厚で3方から狭窄を受ける
第14章 切断、装具、杖、車いす
・切断:四肢の一部が切離された場合
・離断:関節の部分で切離された場合
・外傷による若年者の切断は減少、循環障害による高齢者切断は増加
・下腿遠位1/3は断端を覆う筋肉がないため、切断すべきでない
・頚椎装具:ハローベストはピンを刺入し、胸郭から頭蓋を支持する装具
・ネジの緩みや、皮膚障害について注意しながら行う