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ハンドリングのすゝめの設立趣意書

これは私が思い描いていた理学療法士の姿じゃない

理学療法士になった10数年前、私が思い描いていた理学療法士はもっと感覚が優れており、手で患者さんに触れることでいろんなことがわかり、人間の手一つで状態を改善させることようなスキルを持つ人たちでした。

学生時代からの目標だった整形外科への入職を果たしいざ臨床に出てみると、私の思い描いた世界とは少し違ていました。EBM(Ebidene Based Medicine)が全盛で、根拠を持った治療をしようと言うことでデータや論文から、「こんな介入をするべきだ」という観念が定着して、誰を見ても同じような介入しかしていない、と言う世界線だったのです。

私は別にEBMを否定はしていません。むしろデータや根拠は必要であり、数値から物事を判断していくことは重要です。しかし、臨床的にさまざまな経験を積んでいくと、私の中でたくさんの問いや疑問が生まれてきました。

【ハンドリングのすゝめ】は、その問いや疑問に対する私なりの挑戦です。

私が考えるハンドリングとは、セラピストの身体をセンターとして、患者さんの身体(主に骨や関節、筋肉といった運動器)の情報を受け取り、介入し、改善に繋げることを指します。人間の状態によっては、改善が難しい場合もあり、その場合は、状態の維持や悪化防止、代償動作の獲得を目標する場合も合います。

セラピストは自身の身体を大きなセンサーとして捉えることが重要です。評価や治療の結果を数値だけで判断しきれないことがたくさんあります。可動域を考えても、カルテ記載の数値をみると「調子いい」ように感じるが、実際に患者さんの身体に触れてみると、「どうにかこうにかその角度までたどり着いている」ことも少なくりません。この状態が全て悪とは言いませんが、数値と患者さんの主観のギャップが意味するものを考えるあたり、ハンドリングの考え方やスキルがかなり重要になります。この小さな変化を捉えることで状態改善のヒントを得ることが少なくないからです。

また、セラピストが患者さんに触れることは、患者さんの身体に多大なる影響を及ぼすことも軽んじられやすいです。セラピストの関節の動かし方一つで痛みやスムーズさが変わるし、痛みの原因や可動域制限の原因がセラピストの操作の方法によるものであることも多いように思います。

ハンドリングには一般的に言われるエビデンスというものはあまりありません。言ってしまえば感覚的な世界です。EBMが叫ばれる昨今にはあまり好まれない傾向があるもの事実でしょう。データは重要です。しかし、研究というマクロ的な視点をセラピストの患者というミクロの極みに無理やり押し込んで、あたかもそれが真実のように語られるもの危険に思うのです。

私は、臨床的にハンドリングと感覚を磨くことで、より身体の情報を正確にキャッチするように研鑽してきました。このハンドリングのすゝめは、8年以上研鑽してきて、「やっぱりハンドリングは重要だ」という確信を得たために運営を決意しました。ハンドリングは常にアップデートしていくものです。今の段階で全てを理解できたとは当然に思っていません。このnoteと言うデジタルの特性を活かし、常に情報をアップデートしていく予定です。

ハンドリングのすゝめ立ち上げの目的

  • 私自身が普段の臨床で行うハンドリングをアウトプットする場である

  • ハンドリングの感覚的な部分をなるべくわかりやすく言語化して伝達する

  • EBMも重要であるが、セラピストが持つ感覚を最大限位に生かすことの重要性を伝える

  • ハンドリングと言うスキルの学習で最もわかりやすく結果につながるものを目指す

ハンドリングのすゝめの大まかな内容

  • 私は本メディアにおいて、ハンドリングを2つの要素に分解している

  • 1つはOS(基本ソフト)としての要素、もう一つはアプリとしての要素

  • ハンドリングのすゝめ【Basic Knowledge】ではOS的な視点を解説している

  • 【Shoulder】や【core】などで部位別の個別的なスキルをつまりアプリ的な要素として解説している

  • 一般的にハンドリングに関する研修や勉強会もあるが、その多くのはいきなりアプリ的な視点をインプットしようとする流れが多い。講師の方が基礎ができることが多いため、無意識的にOS的な知見があり、それをベースに各手技を伝達するが、受講側がOSの重要性に気づかずその学習をしないままアプリのインストールしようとするために、結果「なんかよくわからない」で終わってしまうことが多い

  • 私は、この個別的なスキルをインプットする前のベースとなる知識を「OS」と呼ぶ、ハンドリングのすゝめでは、あまり語られないOS的な知識を言語化して伝えることを実施している

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