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聖女BATTLE!/第4話「開催」(後編)

「……私、間違ってるのかなぁ」

 マオミーはポツリとつぶやくが、誰も答えてはくれなかった。

第4話 「開催」後編

小説:ぷよつー
原案:聖女BATTLE!制作委員会

 

会場が一瞬真っ暗になる。すると突如大音量のBGMにスポットライト、そして宮川さくらが躍り出る。

 さくらが舞台に上がりダンスをするとお客さんは盛り上がり、中にはコアなファンもいるのだろう、ペンライトを降っているものもいる。

「さくらちゃんすごい……」

 さくらが動くたびにふわりふわりとチュールスカートが美しく舞う。足を高く上げ、バレエのように回転し、その姿は美しい。

 ミュージカルのワンシーンを見ているようで、観客は盛り上がっている。

 だが必死なのか顔にはテンプレートのような笑顔しか浮かべておらず、マオミーには何かがひっかかった。

(何か見せ付けられているような気がする……何ていうか……楽しそうじゃないよ、さくらちゃん)

 それは、自分のためだけのダンス。私を見て! 私こそがアイドルに相応しいの!! と叫んでいるようだった。

「マオミー、行って来るね!」

 一分が経ち、ミーミーが舞台に踊り出る。ミーミーは笑顔を浮かべて音楽にあわせて踊りだす。

 ミーミーにもコアなファンがいるようで、腰を振る場面では指笛を吹いている人たちがいた。だが、ミーミーは嫌な顔などせず、ずっと笑顔を絶やさなかった。

 舞台の上のミーミーはさくらには劣るが、楽しそうで見ているとつい一緒にリズムをとりたくなる。

「よーし、私も!」

 一分が経ち、マオミーが舞台に踊り出る。ミーミーよりアクロバティックなダンスに観客はさらに興奮をする。

 体の軽さ、そして運動神経を生かし全身で踊るマオミーに観客達も引き込まれていく。途中でバク転が決まった瞬間大きな歓声が沸き起こった。

(楽しい……!! お客さんと一緒に楽しもうって思って踊ってたらめっちゃくちゃ楽しい……!!)

 その気持ちがマオミーのダンスをさらに輝かせる。

 一分が経ち、マオミーが舞台の袖にはけるとミーミーがタオルを渡してくれた。舞台ではさくらが踊っている。

「ねぇ、おねえ。私気づいちゃった。お客さんと一緒に楽しんで踊るってめっちゃくちゃ楽しいし気持ちいい!」

「わかる!! 私もよ。だから、ね? どんな結果になっても私達はお客さんと一緒に楽しくなろ? 今はイヤな事を忘れて笑おう! っていう気持ちで踊ろうよ!」

「賛成!!」

「可☆愛のお二人出番です!!」

 スタッフに促され、二人で舞台に飛び出した。

 熱を帯びる客席、ライトが輝く舞台。全てが二人にとって初めてだった。もしかしたら、自分達の考えは間違ってるかもしれない。

 でも、自分の考えを曲げてまで突き進むのはイヤだった。それに、どうせやるなら楽しんだ勝ちでしょ!!

 二人は最高の笑顔を浮かべてダンスをする。するとお客さんの方もさらに乗ってきて会場はさらに熱を帯びていく。

「さぁぁぁぁ!! 最後は三人でダンスバトルだーーーーー!!」

 MCの言葉に宮川さくらが舞台に飛び出る。BGMが変わった。

 スポットライトに照らされた三人はこのためにずっと練習してきた全てをぶつけた。

 さくらは自分のために。マオミーとミーミーは会場のファンとこれからの自分達のために。

 さくらはソロで難易度の高い技を繰り広げるたびに会場から歓声が沸き起こる。二人も負けじと同時に動きをあわせる。

 会場のボルテージとマオミーとミーミーのテンションがクライマックスに達した時、二人は目と目で合図しあい、二人同時に激しいダンスを繰り広げる。

「おおーと! 可☆愛ここでルーティンだ!!」

 会場と一体になってマオミーとミーミーは輝く汗を流しながら一心不乱に、でも楽しそうに踊る。お客さんも二人の雰囲気に飲まれ、楽しそうに応援している。

 音楽が終わり、三人とも決めポーズを決めて舞台は真っ暗になる。その間にはけないといけないのだが、マオミーは興奮しすぎたせいかふらっとしゃがみこんでしまう。

「マオミー!? 大丈夫?」

 小さい声でミーミーが助け起こそうとする。だがミーミーも疲れ果てて助け起こすほど体力は残っていない。

 スタッフに助けを呼ぼうとも忙しそうで呼べそうに無い。どうしようと困っていると、マオミーの傍にさくらが来た。

「何やってるのよ……! ほら、そっちもって」

「あ、はい!」

 さくらとミーミー二人でマオミーを抱えて舞台袖にはける。

 何とか舞台袖についた頃に舞台にライトが照らされた。

「いやぁ、すごいダンスでしたねー! 三人ともやりきったという感じでした!!」

 MCが舞台で喋っている間に三人は座れる場所へ移動する。椅子にマオミーを座らせて、ミーミーは水の入ったペットボトルを探しに行った。

「……はぁ、終わっちゃったね」

「そうね。これぐらいでヘタれこむなんて、まだまだね」

「えへへ~さくらちゃんすごかったね」

「まぁね……マオミー達も、すごかったわ」

 さくらにほめてもらえるとは思わなくて、マオミーは嬉しくて笑顔を浮かべた。

「勘違いしないでよね。私は自分に自信があるの。私こそアイドルに相応しい、私だけを見てって思いながらここまで這い上がってきたんだから」

「さくらちゃん……」

「……でも、マオミーのダンスの姿勢も、嫌いじゃなかったわ」

 ふっと笑ってさくらはマオミーから離れた。そして近くのパイプ椅子を持ってきて、マオミーの横に座る。

「マオミー、お水持ってきたよ! さくらちゃんもどうぞ」

「おねえ、ありがとー!」

「え? いいの?」 

「ん? いいよ」

 ミーミーは何で? という顔をしている。戸惑っていたさくらだが、ありがとうと素直にペットボトルを受け取った。

「どこにあったの?」

「何かスタッフ用に配ってるんだって。水分不足で倒れたらいけないからって」

「ふ~ん……」

 三人は同時にペットボトルの蓋を開けて、口をつける。

 ごくごくと喉を流れる水が冷たくて気持ちが良かった。

「っぷはぁ。生き返るね!」

「マオミーおじさんみたい……」

「だってー」

 ケラケラ笑うと、ミーミーが心配そうに顔を覗き込んできた。

「マオミー、もう大丈夫?」

「大丈夫だよ、ありがとうおねえ!」

 耳をぴんと立てて、元気な様子を見せる。

「そろそろ袖に戻りましょう。おそらくジャッジメントが舞台に現れる頃よ」

 さくらの言葉に二人はごくりと喉を鳴らす。

 正体不明の謎のジャッジメントとは、一体どんな人物なのだろう?

 ペットボトルを片手に三人は舞台袖に移動する。

「はい、それではね。今回のジャッジメントに登場していただきましょう!!」

 会場の拍手を受け、スポットライトに照らされて30代くらいの男が現れる。

 黒い髪をオールバックにし、足がスラリと長くスーツ姿が美しい。白い顔に切れ長の一重だが、流し目のセクシーな男性だった。

「え? 普通にかっこいいじゃん……」

「うん……もっとお腹の出た成金みたいなおじさんと思ってた……」

「まぁ、ジャッジメントにも色々あるから……」

 素直に感想を言う二人にさくらは少々呆れ気味だ。

「今回のジャッジメントは今をときめく議員、寿修二郎さんです!!!」

 俳優やモデルと言われても疑いようのない美貌を持った議員がにこやかに手を振る。

「では、寿さん。ジャッジをお願いします!!」

 ダラララララとドラムの音が流れる。三人は下唇を噛んで舞台の寿を見つめる。

 シンと静まり返った会場にドラムの音だけが流れ、会場の緊張感はさらに高まっていく。

「優勝は可☆愛の二人です」

 ダン! というドラムの大きな音が止むと同時に寿が張りのある声で発表した。

「なんと! 優勝は可☆愛のお二人です!!!」

 MCの言葉に観客がうをぉぉぉぉ!! と声をあげる。と同時にさくらのファンが非難の声を上げる。

「はいはい、お静かに!! 寿さん、ジャッジの理由を教えてください」

 MCにマイクを渡され、寿がマイクのスイッチを入れると会場は再び静まり返る。

「ジャッジの理由は、可☆愛のお二人はファンと一体型になって踊っていたから、ですかね。見ていてすごく楽しかった。

初めて彼女達を見ましたが、まだまだちょっと技術不足なところがありました。ですがこんなに楽しいライブなら、また見たいと思えました」

「宮川さくらさんについてはどう思われますか?」  

「彼女の技術はすばらしかった。ですが、まるで発表会を見せられているような気分になりました。心から楽しめていない、自分の事しか考えていない」

「なるほど、見ている側のことを考えて楽しいダンスをしてくれた可☆愛に票が入ったわけですね?」

「その通りです、今日で彼女達のファンになりました。応援してます」

「では、可☆愛のお二人に登場してもらいましょう!!」

 MCの言葉に、マオミーははっとわれに返った。そして横に立つさくらを見た。

「さくらちゃん……」

 さくらは声も出さずに、目尻から涙を流して寿をじっと見ていた。様々な感情が今、さくらの中で渦巻いているだろう。きっと泣いている事に気づいていないのだ。

「マオミー、いくよ!」

「え、あ、はい!」

 どう声をかけたらいいのだろう、とオロオロしているとミーミーに促される。スタッフにペットボトルを渡して二人は舞台に出た。

 二人が出るとスポットライトが照らされ、会場からは歓声と指笛が鳴り響く。それに気圧されて舞台の真ん中で固まっていると寿が手を差し伸べてきた。

「優勝おめでとう。君達は技術不足ながらすばらしかった。君のネコのような可愛らしいが激しいアクロバティックは最高だったよ」

「あ、ありがとうございます!!」

 マオミーが手をぎゅっと握り返すと、寿は次にミーミーに手を差し伸べた。

「最後のルーティンはすばらしかった。前半のダンスから、まさかあんな激しい動きができるとは誰も思いもしなかっただろう。おめでとう」

「ありがとうございます!!」

 ミーミーが手を握り返すと、寿は爽やかな笑顔を浮かべてMCの隣へ戻った。

「さて、最後は可☆愛のお二人にメッセージをいただいて終わりましょうか!」

 MCにマイクを渡され、二人は焦る。一応メモに優勝した時の言葉を考えて書いていたのだが、一文字も思い出せない。

「え、えっと、皆でサイコーの舞台にできて楽しかったにゃー!」

 とっさに思いついた言葉を言うと、客席からマオミーちゃん可愛いー! という声が上がる。

「サイコーの舞台にできたのは皆のおかげです!! ありがとうございました!!」

 二人の言葉に客席から大きな拍手が起こった。

「では、これにて聖女バトルの終了です!! ありがとうございました!! MCは秋田武でお送りしました!!」

 熱気覚めやらぬ客席を後に、マオミーとミーミーは手を振りながら舞台袖にはけていった。

 試合が終わり、かずみの車で家まで送ってもらう。

 本当は歩いて帰るつもりだったのだが、押しかけてきたファンにもみくちゃにされ、動けなくなっていた二人を救い出してくれたかずみのお言葉に甘えることにした。

「二人ともすごくよかったわよ。今度御褒美に何かおごってあげる」

「本当!? えー何がいいかなぁ、迷うー」

「私はウサバの新作がいいなぁ」

 車内で三人で試合について話し合う。二人には課題がまだまだある。だが、ファンを思い試合を盛り上げたことはすばらしいとかずみは評価してくれた。

「じゃぁね、おやすみなさい」

「おやすみー」

「おやすみなさい」

 去っていくかずみの車に手を振りながら、二人はどちらともなくはぁとため息をついた。

 そして鍵でドアを開け、家の中へ入る。

「おかえりなさい、疲れたでしょう? お風呂入りなさい」

 家に入ると母親が出迎えてくれた。

「マオミー、先に入って」

「いいの?」

「うん、何だかしんどそうだし」

 着替えを取りに二階の自室へ入る。下着を取り出そうとして、ついベッドに寝転がってしまった。

(さくらちゃん、泣いてたな)

 試合が終わり、舞台袖に戻るとさくらの姿はなかった。それから探してみたがどうしても見つからない。

(やっぱり、友達には戻れないのかな)

 明日は土日だから休みだ。二日開けての月曜日が憂鬱になりそうだ。

 どっと疲れが出たのか、マオミーは起き上がることなくそのまま眠ってしまった。

 朝起きると、ミーミーが風呂上りなのか髪の毛をドライヤーで乾かしていた。

「おねえも寝ちゃったの?」

「えへへ。マオミーも?」

「うん、これから入ろうと思って」

「そっか。私これからウサバのバイトがあるから」

 お風呂に入り、その日はスマホのゲームをして一日中ぼぉっとして過ごした。

 夕方になり、ミーミーが疲れきった顔をして帰ってきた。

「お帰りおねえってどうしたの!?」

「ふみゅ~、うさばに昨日のネット配信見た人たちが来て大変だった……」

 おそらく、にわかファンというのがミーミーがアルバイトをしているという情報を掴んで会いにきたのだろう。

「え? じゃぁ売り上げ上がってよかったんじゃ……」

「それが……握手してくださいとか応援してますとか言ってずっと話しかけてきて……恥ずかしかったし、皆に迷惑かけちゃった……」

「そっか……」

 マオミーが頭をよしよしとなでるとミーミーはえへへと笑った。

 日曜日は二人とも予定がなくて、宿題を終わらせると一日中ゴロゴロしていた。

 部活から帰ってきた弟が何かおねえちゃんは在宅ですか? って知らない人に聞かれたと言ってきて、これから先に二人は不安になった。

 朝になり、二人は学校へ向かった。すると突然ビデオカメラを持った人たちに取り囲まれる。

「おはようございまーす! 聖女バトル優勝おめでとう!」

「え? え?」

 突然の事に二人はおびえた。

「ミーミーちゃんかわいいねー! Fカップだっけ? グラビアとか興味ない?」

「え? な、何ですか急に」

「ちょっと、おねえに触らないで!」

 マイクを胸に当てられ、顔を真っ赤にして固まるミーミーの前にマオミーは遮るように割り込む。

「ちょっとぐらいいいじゃん、減るもんじゃないし」

「なっ!?」

 どうしよう、このままではまたもみくちゃにされる。そのときだった。

「失礼!」

 車が一台止まり、中からかずみが出てきた。そして人を押しのけ、二人の前に立つ。

「誰ですか、あなた」

「マネージャーの高橋です。彼女達はアイドル候補生であってまだ一般女子高生です。ですから、こういったことはやめていただきたい」

「優勝したからってお高く止まってるんですか? 感じ悪いですよ?」

「とにかく、彼女達が高校生活に害が及んではいけないんです。それに、こういったインタビューは事務所を通じてお願いします」

 キッパリとかずみが言うと男達はしり込みをして顔を見合わせる。

「それができないんであれば、訴えますよ」

「ひぇ、怖っ」

 男達はへらっと笑うと撤収していった。

「か、かずみ~ん!!」

「怖かった……」

 二人でかずみに思わず抱きつく。

「マネージャーとして当然のことをしたまでよ。二人も、これからは事務所を通して下さいって言いなさいね。皆そう言ってるんだから」

「はーい」

「ありがとう、かずみん」

「さ、学校へ行ってらっしゃい!」

 かずみに送り出され、二人は学校へと向かった。

 

 歩いていると何人かが「可☆愛だー」と指を指してくれる。二人を見て昨日の感想を言い合ったり、勝手にこっそり写メを撮るものもいた。

 ミーミーと下駄箱で別れ、教室へ向かう。廊下から中を伺うとさくらと他の候補生達はもう教室にいた。

(さくらちゃん、顔あわせづらいな……でも、隣同士だしなぁ)

 教室で入ろうか入らまいか逡巡していると、クラスメイトの一人がマオミーに気づいた。

「マオミーじゃん!! 昨日の見たよ!! すごかったね!!」

「わー! 何か毎日見てるのに昨日の見てから何か違う人に見えるー」

「え、えへへ」

 クラス中がマオミーに声をかけると、ガタンッと音を立てて立ち上がるものがいた。

「さくらちゃん……」

「…………」

 さくらはマオミーを一度だけ見ると、廊下へ出て行ってしまった。周りの子達も慌ててついていく。

 薫だけはにっと笑って、マオミーの肩を軽く叩いて出て行った。

「何あれ、感じわるー」

「仕方ないよ、だって……」

「そりゃそうか……」

 さくらが出て行ったのを見て、皆口々にヒソヒソと話し出す。そして少ししてから日常に戻っていった。

 マオミーも教室に入り、自分の席につく。

(さくらちゃんとは、ずっとこのままなのかな)

 隣の席のさくらがとても遠くの人のように思えた。

 その日さくらは授業のチャイムが鳴っても帰ってくることはなかった。

 バトルが終わったからといって、気を抜いていられない。いつまたバトルに選ばれるかわからないからだ。

 それに、マオミーはライブというファンと一体になって歌い踊る楽しみを知ってしまった。

 今まで聖女様になりたいのにアイドルか……と思っていた所があったが、今ではまたあの快感を味わいたいと思っているようだ。

 授業が終わり、体操服に着替えて校舎裏に行く。ラジカセからの音楽に合わせて踊りだすと、何人かが見物に来ていた。

「な、何か恥ずかしいね」

「仕方ないよ、昨日の今日だから」

 二人でえへへと顔を見合わせて練習を始める。練習に必死になりだすと、周りが見えなくなり二人汗をかきながら一心不乱に踊る。

 一曲踊り終えると、見ていた人から拍手が送られた。

「あ、ありがとー」

 笑顔でお礼を言ってから、また練習を再開する。これが毎日続くのだろうか? 少しだけ困ったなぁと思う二人であった。

 二週間が経ち、段々見物の人は増えたり減ったり。さすがに雨の日は誰もいなかった。

 小雨が降りしきる中、二人は歌いながら必死にダンスを踊る。ダンスに意識が集中すると歌がおろそかになるし、歌に集中するとダンスを間違える。

 駆け出しの二人にはまだまだやることが山積だった。

 家に帰り、シャワーを浴びて部屋に戻る。ベッドにどすんと倒れこむと、スマホを開いた。

 あのバトル終了の日からフォロワーさんが一気に増えた。嬉しい事を書いてくれる人が大多数だが、たまに嫌味を書いてくる人もいる。

 それも含めてのSNSだとわりきってはいるが、少しいい気はしない。

「有名になるって、大変だったんだなぁ」

 ツイッターのリプを返していき、ふと宮川さくらのページにアクセスしてみる。するとこのアカウントは鍵アカウントです。と表示されていた。

「え? うそ、さくらちゃんブロック解除してる?」

 試しにフォロー申請をしてみる。すると数分後、承諾されさくらからもフォローされた。

「え? え? うそ、本当に? さくらちゃん私の事嫌いになったんじゃないの?」

 あの日泣いて姿を消したさくら。もう友達には戻れないと思っていた。

 

『フォロー許可ありがとにゃ^w^』

 ドキドキしながらツイートを送る。すると返信はないがいいね返しだけはあった。

 今はまだ前のような友達には戻れないかもしれない。だが、時間をかければお互いを競い合う良きライバルにはなれるかもしれない。

 さくらの心の傷が癒えるまで、マオミーは待ち続けよう、そう思ったのだった。

 

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