短歌人2018年4月号 同人2欄(1)

ややきつき靴はきたれば背筋のびいざ行かむ冬の風に向かひて
「冬」/小出千歳

みづからの「死の哲学」ゆゑ冬川に入りにし人をおもひて眠る
「若鮎のをめ」/岩崎堯子

加湿器にみづの減りつづける音がつづくあひだを夜の量の減る
「冬の量」/角山諭

内にあればころっと本音出てしまう「戦力」を「実力」と言い直す
「本音」/謝花秀子

ネヴァ川は凍てついており 宮殿の窓から見ている真白き川面
「願い」/金二順

広辞苑第七版のひきぞめにジョージア引けばグルジアと出づ
「ユンボ」/会田美奈子

続柄の欄に何度も「妹」と 確かにわれはあなたの妹
「妹」/蜂須賀裕子

つきたての餅を転がす女(ひと)の手があんこやきなこに覆われてゆく
「少年」/木村悦子

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