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習総書記の「先祖返り」でどうなるテック企業と恒大集団

「21世紀は1979年から始まった(1979 and the birth of the 21st century)」
そう指摘したのは私が米「TIME」誌の特派員だった頃のライバルだった「Newsweek」誌の東京支局長も務めたこともあるジャーナリストのクリスチャン・カリルだった。

 いったいどういう意味なのかと思い彼の著書『STRANGE REBELS』(邦題 「すべては1979年から始まった」)を読んで納得した。なぜなら、同年に立て続けに起きた大きな出来事は私たちが生きている21世紀を方向づけたからである。

 振り返ってみれば、その年の1月に米国と中国が国交を樹立している。そして4月にはイランでホメイニ師によるイスラム革命が起きて世界でのイスラム教の影響力が拡大していった。5月には「鉄の女」と呼ばれたマーガレット・サッチャー女史が英首相に就任し、現在の大きな経済格差を生む結果となった新自由主義経済を推進した。

 さらには、6月のヨハネ・パウロ2世教皇のポーランド訪問はその後の共産主義体制崩壊のきっかけをつくった。一方、中国では最高指導者だった鄧小平が「白い猫でも黒い猫でもネズミを捕ってくるのがいい猫だ」という発言で知られた「改革開放政策」に着手。それがやがて同国を世界第2位の経済大国に押し上げていった。

 つまり、1979年は社会主義体制が衰退し、宗教の政治化が始まり、自由主義市場経済が台頭した画期的な年だったのである。21世紀を方向づけたというのも合点がいく。

 ところが、中国共産党政権の初代の最高指導者毛沢東主席を崇拝する習近平総書記は明らかにその流れに逆行する道を選んだようだ。共産主義への「先祖返り」が急ピッチで進行しているのだ。

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