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タイタニック号のDNAを受け継ぐモノとは

 モノの価値というのはじつに不思議なものである。例えば私の手元は”Blood On The Dance Floor"(1997年)というマイケル・ジャクソンのアメリカ版CD音楽アルバムあるが、ファンにとっては垂涎ものだという。なぜならそのジャケットにはマイケル直筆のサインがあるからだ。

 きっかけは、ずいぶん前のことになるが、私が理事を務めていた環境NPOのチャリティイベントにマイケルがビデオメッセージを送ってくれることになったことからだった。そのスピーチ原稿を米メディアの記者だった私に書いて欲しいという依頼が舞い込んだのだ。もちろん二つ返事で引き受けた。

 当日、都内某ホテルの大広間のステージ上に設置された大型モニターにお馴染みのサングラス姿のマイケルが登手に汗を手に汗を握りながら見ていたら、私の書いた原稿を一言一句変えずに話してくれた。感激で鳥肌が立った瞬間だった。その後、彼のサインが付されたスピーチ原稿のコピーと、大ファンの娘のためにサイン入りCDが送られてきたのである。どちらも我が家の宝ものになっている。

 モノの価値の不思議さの例としては、あの有名なタイタニック号にまつわる物語が私は好きだ。まずはタイタニック号の悲劇について思い出していただきたい。

 1912年4月10日、英国のウウサンプトン港から処女航海に出航した豪華客船タイタニック号は、乗員乗客合わせて2200人余りを乗せてニューヨークに向かって順調に航行を続けていた。

 しかし、悲劇は4月14日の深夜に起きた。北大西洋のニューファンドランド沖に達したところで目の前に現れた氷山と衝突、轟音とともに船体はふたつに大きく割れて深海に沈没してしまったのである。何度か映画にもなったからご記憶の方も多いだろう。

 英国商務省の調査によれば、この事故で1513人が犠牲になった。沈没の原因は未だに謎の部分が多く、中に運んできたミイラの呪いだったというまことしやかな説さえある。そのミイラは海底に沈んだタイタニック号から回収され大英博物館に収蔵されている。

 さて、この世紀の海難事故から近年になってどんな価値が生れたのか。それは船体部分の○○にあった。

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