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究められた手仕事と遊び心! “型紙”に秘められた魅力とは?

5月初旬に弊社から刊行予定のビジュアル文庫『ニッポンの型紙図鑑』。
著者は、型紙の持つ奥深さに取り憑かれて10年来、この研究を続けている加茂瑞穂さん。
制作過程や型紙の魅力について、この機会に熱く語っていただきました!

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画像:「桜に霞」

おもに布地を染めるために使われた「道具」である型紙は、和紙に柿渋を塗布しているため、一見すると地味に見えます。しかし、そこには究められた手仕事と遊び心が詰まっているのです。
 私が型紙に出会ったのは10年ほど前。大学院の指導教員に声を掛けられたことがきっかけで、研究資料として型紙を取り上げることに。しかし、待ち受けていたのは18,000枚もの資料群! そして、それを立命館大学アート・リサーチセンター(立命館ARC)でデジタル・アーカイブ化するという一大プロジェクトでした。こうして知識がまったくない状態から、型紙と向き合うことになったのです。

 撮影に2年、周囲の方々から助言を受けながら文様の情報を蓄積すること約3年で、データベースが機能する段階に至りました。
 
 その後、コレクション所蔵者である株式会社キョーテックの佐野聡伸社長から「型紙の解説を書いてみませんか」というお話をいただき、2013年から毎月一本の解説文を書くことが習慣になったのです。

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 毎月解説文を執筆していくようになると、同じ題材の型紙であっても彫刻技法や構成を変えただけでまったく別のデザインとなることがわかり、それが型紙の特色の一つであると実感しました。
《竹に横縞》はおもに突彫(小刀のような彫刻刀を使って直線や曲線を彫刻する技法)を使っていてややシャープな感じに、《竹に松》の竹は道具彫(彫刻する形に刃先が整えられている彫刻刀を押し当てて彫り抜く技法)によるため、すこし柔らかい雰囲気に感じられませんか? 
先人の工夫と試行錯誤の積み重ねにより、表現の幅が広げられてきたのです。


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また、表紙で使用した《青海波に亀》のように青海波という規則正しい文様の中にひょっこりと亀が現れるようなかわいらしいものもたくさんあり、型紙には遊び心に溢れた色褪せないデザインがたくさんあることに気づくこともできました。

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「三升に蝙蝠」

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一方、型紙には絵画や着物とも数多く共通点があります。なかでも《三升に蝙蝠》のように歌舞伎役者と関わりのあるものが数多く見いだされ、型紙を起点として芸能や服飾、美術工芸へと視野を広げるきっかけにもなりました。

「継続は力なり」とはまったくその通りで、こつこつ書きためた解説文は60本を超えるものになり、書籍として発信しようという話から今回の出版へと至ったのです。

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冒頭でも書いたように、型紙の本来の色は茶褐色です。しかし、書籍化にあたり装丁家である矢萩多聞さんが彩色して、がらりと雰囲気を変えてくれました。校正の段階で彩り豊かに生まれ変わった型紙を見て、感激するとともに、新たな可能性を感じてわくわくしたことを覚えています。

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型紙はそれ自体が製品ではないため目にする機会は少ないのですが、文様に対するこだわりや「見て楽しいものを作ろう」という気概がひしひしと伝わってきます。本書はそれを知る入口に過ぎませんが、みなさんも型紙の豊かな世界をちょっと覗いてみませんか?


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