トビタテの事後研修に参加してきました

こんにちは、品川です。あまり記事を書くための時間がとれず、間が空いてしまいましたが、先日トビタテの事後研修(9/21, 22@京都)に参加して学んだこと・考えたことなどをここに書いておこうと思います。(大部分は下書きとして塩漬けにしてあったので、鮮度はそこそこ保てている・・・はず)

事後研修でやったこと

トビタテの事後研修では、留学から帰ってきたトビタテ生を対象に、留学で何を学んだか、これからどう生かしていくかといったことを個人ワーク、グループワークを通して見出していく作業をします。

私が参加した研修@京都では、トビタテ6期から10期生の計94名(記憶では)が参加していました。学部生から博士後期課程までの幅広い層の学生で構成されており、誰と会話しても新鮮でした。2日間ギチギチにスケジュールが詰まってて体力的にはきつかったですが、これからの方は楽しみにしておくと良いと思います。

全体を通しての感想とか

いっぱいあるので、だ・である調で箇条書きにします。
・自分よりずっと若い人たちばかりだったのでエネルギーに満ちていた。自分もそれに引っ張られて気持ち10歳くらい若返った気分だった。普通に過ごしていたらまず関わらない分野の人と話す機会という意味で貴重な機会だったと思う。
・留学中トラブルなどで計画が思ったようにうまくいかなかったという人も結構いた(私も最初に設定した目標には到達できてなかった)が、留学中こんなことがあった、こんなことを考えていたみたいな話を共有することで、私も含め皆自分の中でこの留学の位置づけを再整理できた。こういうフォローは普通の研究留学だとまずないので、最初は忙しいのもあって気が進まなかったが、終わってみればありがたく感じた。
・研修中は自分の思考の整理術とかを個人ワークやグループワークを通して学べたのも良かった(私はこういうのが大好きなので)
・人工知能関連の留学ネタの人は意外と少なかった
・SDGsについて議論するセッションで、私は教育のグループにいたのだが、日本人の英語教育や移民を受け入れたらどうなるか、みたいな話ができて面白かった。個人的には日本人が英語使えないのは教育の問題というよりは環境の問題だと思っていて、これまでの日本がそれだけ英語に依存しなくてもやっていけてたのが逆にすごいなというお気持ちを改めて得た。自分も留学して英語が格段にマシになったのを実感してるので、教育がどうというよりは意識的に英語を使う環境に身を置く機会を普段から増やすのが大事なんではと思う。
・自分は留学から帰ってから筋トレをそこそこ頑張っていたつもりだったが、事後研修には私を遥かに上回るマッスルたちがいて惚れ惚れした。負けたと思った。悔しかったので私もあれくらいになれるように今後も頑張りたい。
・トビタテの運営の人たちは面白い経歴の人が多かった。時間があったら会話してみる価値高いと思う。相談にも乗っていただけてありがたかった。

その他、学んだ技術的なことを(自分の頭の整理のためにも)少しまとめて書いとこうと思います。

学んだ技術:自分と対話して無意識に気づく技術、他者との対話を利用して考えを練る技術

自分と対話することで、自分が無意識に思っていることを言語化する方法、他者との対話を通して、自身の価値観を相対化するなど、対話をうまく利用する方法論について学べたことが私の中で大きな収穫でした。

 自分と対話して、自身の無意識を顕在化させる具体的な方法としては、インサイトマップというツールの研修がありました。講師の方はこのインサイトマップの開発者である生田さんという方で、ご本人もユニークな面白い方だったのでこれから事後研修を予定しているトビタテ生の方は楽しみにしておくと良いと思います。インサイトマップでは、ある主題に対してこう行動をすると起きうるポジティブなこと、ネガティブなことを実際に言語化していくことで、「こうしたい、こうしなきゃいけないのになんかやる気がでない」などのような、"意思と行動(やる気)の不一致"を解決する方法です。行動が伴っていない場合には、無意識の思考が隠れているというのが生田さんの仮説で、これを段階的に言語化することで自身の無意識に自覚的になれるという仕組みとのことでした。私の場合は「大学で働くのを目指すか」「企業で働くのを目指すか」ということを主題にしてみましたが、これらの選択肢で実際に自分がどういう可能性を恐れているのかが具体的になり、不安が払拭できて良かったです。

他者との対話という面では、各グループワークを通して「自分の伝えたいことを自身から引き出す技術」「相手に伝えるための技術」について学べました。代表的なものを3つ挙げたいと思います。

実際に声に出して説明してみる:いわゆるラバーダッキング(人形を相手に話かけて思考を整理するテクニック)です。人間を相手にしても、私も研究のアイデアを出す時とかプレゼンの練習をする時は割と意識せずに使ってました。どうやら欧米では「私のsounding boardになってよ」と声をかけるようです。人は他人を通して自分と対話している・・・

伝える内容を構造化して絞る:内容を構造化するというのは論文を書く時にも重要です。一つの結論(伝えたいメッセージ)に対して3つの根拠を書き出す(いっぱい書いてもいいけど、あえて3つくらいに絞る方が良い)トップダウンのプロセスと、複数のメッセージを一つにまとめるボトムアップのプロセスで作ると良いとのこと。今まで適当にやってたのでなるほどなあという感じでした。研究生活でも意識していきたいところです。

制限時間を設ける:「伝える内容を構造化して絞る」と同じように、意識的に制約を設けるのが重要とのことでした。例えば「留学どうだった?」と曖昧に聞かれると何を話したものかとつい話が長くなりがちになりますが、最初に例えば「30秒にまとめる」と時間を限定する意識を持っておくと、時間という制約の目標値が定まるので、何を話すかを時間に応じて厳選できるようになりました。グループワークでは、これを異なる相手を想定して30秒でやったり、60秒でやったりしました。最初の30秒から時間を延ばすと、最初の話題を軸にして具体的なエピソードをつけ足したりができるので、より活き活きとしたプレゼンができました。最初に骨子を明確にしてあとから付け足していく、という点では論文を書くのと似たようなものなのかなと思いました。

まとめ

事後研修のキーワードを一言で表すなら「相対化は重要」ということなのかなと思います。その点で他者の存在というのは重要で、トビタテでは異なる価値観、異なる分野で頑張ってる学生と相対化する機会を得られる点が魅力的だと思いました。

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