ラーメン屋で話すようなことば
「それじゃあ届かないよ」
「ラーメン屋で話すようなことばで語らないと」
* * * * * *
尊敬する絵本作家がいる。長谷川集平というにんげんだ。彼が描いた『日曜日の歌』という作品を読んで、ぼくは目が覚める思いをした。
3年前のある日、ぼくは集平さんとはじめて話すことになる。
きっかけは、こんなメールを送ったことから。
「集平さんへ ぼくが虜になった作品をより多くの方に知ってもらいたいので、集平さんの紹介動画を撮らせていただきました。YouTubeにアップロードしたいと考えているのですが、許可をいただけないでしょうか。」(ほんとうはもっと長々したメールだった)
お返事が届いた。
「ありがとう。でも、きみは大事なことが、2つも、3つもわかっていない。今度、インタビューしてもいいから、もっといいものをつくらないか?」
かっこいい人だと思った。それで、ぼくは、集平さんと翌々日にオンラインで話すことになった。
思ったよりもやわらかな表情をしていていたけれど、決して聞き流したり、見て見ぬふりをしない人だった。冒頭に書いたのは、その日、集平さんが贈ってくれたメッセージだ。
ラーメン屋で話すようなことば。それは、だれの日常にもある平易なもので、受け手のミットにパシンっと音が鳴り響くような、そんなことばだと解釈している。
まっすぐに向き合っていないと扱えない。
油断している自分に気がついたら、ラーメン屋で話せているか?と問いかけるようにする。
その後も、いっぱいの言葉をもらって、いろいろあって、ぼくは今ここにいさせてもらっている。
* * * * * *
ゴールデンウィークが明けると、いろんなプロジェクトが走りだす。日々は、ぼくが走るよりもはやいスピードで過ぎ、状況は刻々と移ろいゆくだろう。
くたばるなよ、自分。腰を落として、よく見て、よく聞いて、よく考えてやっていこう。
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