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『ぼくの絵本美術館』 堀内誠一

著:堀内誠一
出版社:マガジンハウス
発行年:2016年(新装版)
価格:3,565円
「絵本ナビ」より

 本日(2022年01月04日)より大丸ミュージアム〈京都〉で「堀内誠一 絵の世界」展が開催される。堀内誠一は1932年東京に生まれ、アートディレクター、デザイナー、旅人、そして絵本作家として戦後日本をリードした人物だ。
 『ぼくの絵本美術館』は、堀内誠一が遺したエッセイ、対談、評論を一冊にまとめた絵本論集成である。同書は、「偏愛的個人美術館」と紹介されるように彼の偏愛に満ちた解説に魅力がある。ラスコーの壁画、ベッティーナ、ボッシュ、シャガールなど絵画作品を辿って絵本の絵に考えを巡らせ、世界の古典絵本から現代絵本、そして長新太作品、自作絵本が、堀内の広い視野と豊かな経験、知性、感性をもって語られる。また、カラープリントされた図版が多数収録されており、ガイド・資料集としても優れた一冊になるだろう。
 「絵本とは何か」という抽象的対象への思索は、一般的な正しさへ向かうのではなく、個人的な結びつきによる信念へと向かうべきだ。彼が絵本をどのように愛したのか、彼が絵本とどのように向き合ったのかを読むことは、私が絵本をどのように愛するのか、私が絵本とどのように向き合うのかを探す手がかりとなる。

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