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【ダブエス】フェリクスにとって黒川燈ってなんなの……?

 noteでは二度目まして、しいたけです。

 ここ最近の日常サイクルはInto the 繁忙期と戦いつつ毎日iPadでダブエスの動画を収めパソコンに移してはフェリさんと燈の絵を遅筆ながらちまちま描き続けることです。やっとこさ仕事も落ち着いたとはいえ弊社に年末年始長期休暇はないのでどこまでダブエスを動画に残せるかは時間との戦いです。イプ次推しなのにエリア会話全然回収できてないせいでかなちゃん鞍馬烏丸の5章読めてないし烏丸に至っては4章すら読めてない。詰む。

 ダブエス終わらないで……
 あわよくば新アプリも今の絵柄引き継いで……
 あとヒストリーは絶対に入れて……(頭痛)

 そんな毎日ですがどうしてもこのnoteをしたためずにはいられませんでした。この一年間ダブくんが魅せてくれた二人の運命と軌跡に感謝を示す意味でも、全力でこの記事を書かせていただきます。
 ダブエスくんの思い出、及び直近で公開されたストーリーやヒストリーについて他にも語りたいことは山ほどありますが、今記事はダブエスで描写された『フェリクスと燈の運命』についてのみフォーカスを絞っていきます。また私が以前執筆したnoteを前提とした語りもするため、もしお時間がありましたらこちらの記事にも目を通していただけると幸いです。

ダブエスのフェリクスと黒川燈のもっと知られるべき関係性https://note.com/see_take_n05n05/n/n884a269d9e59

[フェリクスと燈の運命がオタクの想像を超え過ぎていた]

 闇雲に語っていても霧がないのでまずは時系列でまとめます。

<フェリクスと燈の出会いから今年で20周年>

 サ終を前に大量の爆弾を投下しやがっtしてくれた、メインストーリー7章8章、キャラスト4・5章公開と同時に明かされた、今まで伏せられていた全キャラヒストリーの一挙公開。この項目はシナリオの進行度に関係なく読め、メインスト7章までを読んでいなくても見られます。メインスト8章公開時点ではバグで開いていなかった一部のヒストリーもメンテを経て今はすべて読めるようになっています。個人的に白石が農業高校ながら簿記2級取っていた(黒川も持ってるけど黒川の代より今の問題ずっと難しくなってるから黒川の簿記2級と白石の簿記2級じゃ全然破壊力違う)こととか燈が受験勉強で視力落ちて眼鏡かけたこととか里塚とヅカママのあれこれとかフウライとか、語りたいことは山ほどあるのだけど。
 一番の爆弾ヒストリーお前が持ってくるとか聞いてない黒川燈。

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小学2年 出会い
父と言った美術館で外国人の少年と出会う。
顔は覚えていないが、吸血鬼に興味を持つ

 ここで前回の記事にも掲載した、ファントム4章公開時点のフェリクスのヒストリーを読み返してみましょう。

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26歳 新たなバンドの構想
燈との再会から、テーマを「吸血鬼」にする。
大門、虎春を新たなバンドに誘う

 そして、先日メンテを経て公開されたフェリクスのヒストリー、
 『運命の出会い』。

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10歳 運命の出会い
父の仕事で日本に訪れる。そこで黒川燈と
出会い、燈の何気ない言葉で救われる

 いつ、どんな形で出会ったのか(主に私のTLで)毎日のように議論がされ尽くされてきたフェリクスと燈の出会い。
 結論としてフェリクスが10歳、燈が8歳のとき、美術館で会ったことが確定しました。7章公開時点ではフェリクスのあれは伏せられていたのでまだ吸血鬼にゆかりのあるフェリクスに似た異国の少年という別人の可能性もゼロではありませんでしたが、このフェリクスのヒストリーを経て今度こそ確定しました。

 正直ね。私半年以上前からフォロワーと幼少期に会った説を叫び続けていたけど、実際心の中ではそこまで期待してなかった。フェリ側は幼少期は吸血鬼の子問題もあるし、そっちは楠パパやジルベールが主に干渉して心を開き始めてたってスタンスだったし(僕が音楽に救われたように~)。幼少期に会った説の主な根拠って燈側が覚えていないことと『燈との再会からテーマを吸血鬼に』くらいしかなかったし、燈は今も昔もフランス語からっきしだろうし。それも燈は大学時代のバンドの件もあるから、本人が知らないうちにフェリと関わっていて、フェリのバンド観に出会いの着想の吸血鬼と自身の過去がたまたま結びついたものじゃないかって、薄々思ってた。日々幼少期のふぇりくん(私の中で『フェリ』は現在の彼、『ふぇりくん』は幼少期の彼を指すものとして明確に呼び分けています)とともゅ(私の中で以下略)の出会いを妄想こそすれ、実際にそれと公式が完全にリンクするとか正直都合の良い妄想だと思ってた。

 そのはずだったのに。私の頭の中で考えていた『ふぇりくんとともゅの出会い』は幻覚でも妄想でもなくて。今でも夢なんじゃないかって思うくらい怖くて不安になる。よくしいたけさんの考察すごいとか言われるけどこのnoteで書いていることも私というより私のフォロワーたちと一緒に会話して膨れ上がった妄想を書き留めているだけだし、ただキャラクターのこともっと知りたいから舞台裏でこんなことあったらいいなって色々考えているだけに過ぎないから、自分で考察とか変に大層なこと振りかざすの好きじゃない。ソシャゲの次のストーリー来るまでのスパンが長すぎるから自分の中でキャラのイメージを確立するために日々妄想や自分のキャラ観を吐き散らしてるだけで、それを公式に肯定してほしいわけじゃないし。まるきり違かったらそれはそれで新たな可能性が見えるから楽しいってスタンスのつもり。
 でもファントム4章が公開されてから現在に至るまで日々真剣に推しのこと考えてたからそれが合致してたらやっぱり一番嬉しいし、もっと推しのこと知りたいって夢中になるもので。
 そして、今まで点と点で散らばっていた文脈がやっと線で繋がった。推しのこと愛してて本当に良かったって思えた。

 さて、感傷に浸りつつも今回はこの話を主題として記事を書いて参ります。ここでまた一度、新たに公開されたフェリクスのヒストリーを読み返しましょう。

吸血鬼の子

5歳 孤独な幼少期
搾取的な父のふるまいで周りから遠巻きにされ、
吸血鬼の子と揶揄される

運命

7歳 差別を知る
吸血鬼の子という呼び名が「搾取的な貴族の子」
という意味の蔑称であると知る

 あまりTwitterで今のアカウントを立ち上げてからはこの話はしなくなりましたが、彼の『吸血鬼の子』の真意がこれに由来することはリリース前というかSOLの直後から察していました。
 というのもこれはダブエス独自のオリジナル解釈・キャラ付けではなく、『吸血鬼』という言葉がそもそもそういった隠語でもあるからです。キリスト文化が浸透している欧州では特に吸血鬼文化や思想も根強く、庶民の血税を吸って裕福な暮らしをしている富裕層の貴族たちは『吸血鬼』と揶揄されていたそうです。
 最も、モンドール一家が古くからそういった家系として扱われている以上長男で跡継ぎ候補の筆頭だったジルベール(父の逝去後も跡を継がず叔父の経営にも携わらず日本に来ている以上彼も父親には思うところがあった?)も同じく『吸血鬼の子』と呼ばれていたはずです。しかし当のジルベールが特段気にした素振りがなく、ふぇりくんだけがああも内向的な子に育ってしまったのは彼が自分の誕生そのものが母の死の一因になり、自らもまた奪う側の人間であると思い悩んでしまったからでしょう。それについては実際にヒストリーで記述されている通りです。

7歳 母の死の真実を知る
自分の誕生こそが母の死の原因であると知る。
自らもまた奪う側の人間であると思い傷心する

 更に運が悪いことに、楠のヒストリーを見て分かるように兄のジルベール以外で唯一(パパドール逝去以降は叔父が親バカなまでに面倒を見てくれたようですが)親身なってに接してくれていた楠父はフェリクスが10歳のとき亡くなっています。

 少し脱線しますがこちらで私が気にかかっているのはダブエス内イベント『Janus』にて示唆された『呪いのヴァイオリン』。こちらはヴァイオリンを奏でる人間の心を引き出し、本当を自分を曝け出させると『曰く』の理由を作中で言及されています。実際楠はそれで御劔との過去の棘からくる燻りを演奏に変えて、自分の心を曝け出した演奏をしました。楠父の教え子であり、当時吸血鬼の子と忌み嫌われ心を閉ざしていたフェリクスは「普通の音になってしまう」と楠父からはヴァイオリンを弾くことを促されてはいなかったようですが。
 しかし実際、このヴァイオリンの『曰く』の理由は本当にそれだけでしょうか。
 このヴァイオリンを代々引き継いできた楠一家の特徴として、楠祖父の死は年齢上致し方ないことでもあり、この事象そのものが『曰くの案件』とするのは聊か難儀です。彼の死の一件から楠と御劔はお互い心に棘を抱えたまま10年以上の時を共に歩んでいるので、ヴァイオリンが引き出す『曰く』が事実とすれば、実際の案件はこちらに由来するものでしょう。
 次に楠の父ですが、フェリクスが10歳、つまり楠が12歳のときに亡くなったとすると、楠父が逝去した際の年齢は果たして幾つだったでしょうか。早くて30代、順当に考えれば40代前半、ないし後半。あまりにも人生の幕引きを迎えるには早すぎる歳です。出張で海外を転々とする仕事をしていたなら重い持病を抱えていた可能性は低い。楠のヒストリーにて『出張先で亡くなった』とされる彼がどこで息を引き取ったのか。現時点で公開されている情報のみを信じるならばフランスでなんらかの事故に見舞われたか、突然重い病気を発したと考えるのが妥当でしょう。楠祖父も楠父も、最終的に楠自身の遺恨として帰結するなら『曰くつきのヴァイオリン』の『曰く』も、そういう側面も含めた上でのものだし、それを楠本人に弾かせたフェリクス自身がヴァイオリンの効力を為さないのも『壊れた世界の花』で示唆された『見せているのは裏側だけかもしれないよ』に帰結するからかもしれません。
 まあ、実際には作中で「曰く」の理由を演奏者の心の内を曝け出すと言及していますし、あくまでこれは妄想の範囲内なので悪しからず。

 さて、話が逸れましたが上記の楠父の逝去がフェリクスの周辺で起きた事案だったとしたら、フェリクスもまた酷く胸を痛め、心を閉ざしていたことでしょう。例のヒストリーの『救われる』といった記述からして彼の死を受けてまた自らが『奪う側』になってしまったことに完全に塞ぎ込んでしまっていたかもしれない。

 しかし、しかしですよ。
 『出会い』、そして『運命の再会』、ファントム4章で公開された『新たなバンドの構想』を照らし合わせてください。

 こんなことってある……?

『燈との再会』そのものに目が行きがちですが重要なのはそのあと、『燈との再会からテーマを吸血鬼にする』という文脈。
 少なくとも現在公開されている情報の中で燈がフランス語を話せるといった情報はありません。以前書いた記事の中で燈が以前フランスに行ったことがある物的証拠はあっても、そこで彼が現地民と言語を通したコミュニケーションを取ることはできないものとされていました。
 しかし、美術館という環境下であればお互いの意思疎通を絵画を通して表現することが可能になります。ふぇりくんは楠先生との交流を通して日本語も難しいものでなければ感覚的には分かるような勉強をしていたことがヒストリーから読み取れますし、そもそもああいった年頃の子供たちが言語を通さない非言語コミュニケーションで意思疎通を取ることは現実的にあります。
 その上でですよ。フェリクスが『燈との再会からテーマを吸血鬼にする』となるほどのコミュニケーションがそこで行われていたとしたら。吸血鬼の子と忌み嫌われていた彼が燈との出会いを通し、前向きに生きられるようになったのなら。
『棺の中のセラヴィ』で「名前も生まれもなんだっていいの」と家柄や出自に関係ない、自らの過去と歌詞がリンクしていることを踏まえたら。
 突然燈をバンドに誘う強引さを咎める御劔に『思いつきじゃないさ。これは……運命だよ』と答えるフェリクスの胸中と心中を考えたら。

 やはりブロマンスでも見せつけられてるのでは……?

 あまりにも大きすぎる文脈にカップリングで圧縮してすべてを外面だけで見た方が楽という腐女子の嘆きはともかくとして。ここからの物語は次の項目から。

<燈の考えを絶対に否定しないフェリクス>

 一部のフォロワーたちの間で(燈限定)全肯定フェリ太郎と名高い彼ではありますが、そもそもの発端はファントムバンドストーリー1章5話。

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理解できないと許容しないはイコールじゃない。
僕はトモルの考えを否定しない。絶対にね

 そもそも全肯定と弄ってはいれどフェリクスも燈の考えすべてに共感しているわけじゃなくて。生きるために仕事は必要なことは分かっていても、辛くて大変で理不尽なことばかりの今の燈の働きぶりを見た上で『夢も諦めたくないし仕事も捨てたくない』と言う燈のことは理解できない。
 それでも、『でも、実にトモルらしい考えだ』と上記の画像の言葉を続けます。

 これ、その場の出任せの言葉じゃなくて。実際にフェリクスは現在に至るまでのストーリーで燈が本気で考えた上で出した結論を一切否定していないんですよ。なんでもかんでも燈に同調するわけじゃないし、言いたいことは割かしハッキリ言っている(燈相手じゃなけりゃRoot of Loveの御劔に対する『いらないよそれ、捨てちゃえば?』がそう)。それでも、燈の考えに思うことはあれ、燈の考えを真っ向から否定して持論を押し付けるといったことは一切してないんですよこの男。
 これは前回も語ったのですがこれを更に印象付けるのが同じくファ1-5の燈の独白。

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 苦難の連続で生き続けて、ただ前に向かって走り続けるしかない燈だけど。優しくて自分にも他人にも真剣で、仲間思いな彼だからこそ、この純粋でまっすぐな言葉がただただ眩しい。そんな燈が、夢を叶えるための大一番に直面していながらも、夢も諦めたくないし仕事も捨てたくないと葛藤している。もしあの一幕がなければ最初から上京を選んだところで燈の心に『それでいいのか?』の声が反響することは今でも止まらなかったはずです。
 そんな夢と仕事で板挟みになる燈に対して、フェリクスは彼と二人きりの状況で相談に乗った。燈の考えに思うところはあるし、言うことは言う。それでも、燈の考えを否定することは決してなかった。
 それは当然、今でも。

<いつも悩める燈に寄り添うフェリクス>

 ここでイプシ楽曲スト『End of Reason』にて一人で(色々と妙な方向で)悩める鞍馬を目に、燈が心の中である独白をしました。

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 ここで繰り返します。フェリクスは燈の考えを絶対に否定しません。自分の意見を伝えた上で、真剣に悩み抜いた末の燈の考えを何より尊重しています。
 これは何も東京に来てからのことではなく、名古屋時代の4年間、ずっとそうだったのでしょう。だからこそ燈も日々振り回され続ける彼に思うことはあれど決して嫌がってはいないし、あの社畜生活で限られた貴重な休日でもフェリクスとの買い物に楽しそうに付き合っている。

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 燈自身、『夢を諦めたくはないし仕事も捨てたくない』とする自分の考えが『おかしいかもしれない』とは思ってるんです。理解できないとフェリクスに言われ『はは……ですよね』と相槌を打ってもいるし、そんな自分のダブスタの姿勢を心のどこかで少し後ろめたく感じていたはずなんです。
 それでも、そんな自分の考えを理解できないとした上で、『実にトモルらしい考えだ』とした上で。『僕はトモルの考えを否定しない、絶対にね』なんて尊敬する彼に自分の在り方を尊重されていて。『やっぱりトモルはLIGHTだね』『(LIGHTの生き様が)トモルそのものじゃないか』とまで肯定され、尊重してくれるんですよ。
 あまりにも。あまりにも黒川燈の生き様を知り尽くしてるんですよこの自称吸血鬼。そりゃあ、『困ったときにはいつもフェリさんに助けて貰ってる』なんて自覚するほど彼の中でフェリクスがとてつもなく大きく、頼りになる存在になるのは当然じゃない。

 あまりにもスパダリムーブすぎて人生2周目かと疑いたくなるけれど。どうしてここまでフェリクスが燈に対して一途というか、彼に対して明らかに他と扱いが違うのか、時々恐怖を覚えるほどでした。しかしヒストリーですべてが語られた今、これも幼少期の彼との出会いに帰結することかもしれないと推察することができます。
 まず前提としてフェリクスを孤独から救ったのは音楽です。それを歌やヴァイオリンで彼を導いたジルベールや楠パパがいなければ、フェリクスが音楽と出会い、今のFantôme Irisを築き上げるには至らなかったでしょう。
 しかし、当時のフェリクスの「孤独」が音楽に救われても、彼が『吸血鬼の子』と忌み嫌われていた内向的な自分をも変えきることはできたでしょうか。ダブエス内イベント『星空パレード』にてジルベールに『大人になって色々なことが見えてきた(意訳)』と話すフェリクスの言葉からして、吸血鬼の子としての自分と世間の目に折り合いをつけきれたのはもう少し先のことのように思えます(ジルベールがどのタイミングで家を出て来日し、フランス大使館に勤務するようになったのかも関わってくるでしょうが)。そしてその状態でフェリクスが楠先生の死に目に立ち会っていたとなると、また、自分が奪う側だったと傷つき、心を痛めていたはず。

 そんな折、彼は運命と出会った。彼の何気ない一言に救われて、16年後、自らを吸血鬼の王と名乗れるまでの人間へと姿を変えた。
僕らがそうだったように君も変われる』と他人に激励を送れるまでに。

 ここで本題に戻りますが、言葉の選び方にあれほど慎重な(Ex4章にてバンドが解散しないか肯定してほしい洲崎の思いを察した上で軽はずみに未来を肯定できないからこそ『今は何も言えない』と言うしかなかった)フェリクスが燈に対して『僕はトモルの考えを否定しない、絶対にね』とまで言えるのは──あの幼少期に言われた燈の言葉に救われたことも、一因として関わってくるのではないでしょうか。
 先日の解禁されたヒストリーでパパドールが宇治川父のように厳格で搾取的な人間だったことが明らかとなったことから、フェリクス自身「生きるために仕事は必要さ」とは言っていても、過度になればそれがどうなるかは幼い頃から目の当たりにしてきたはず。だからこそ、本当はやりがい搾取に近い燈の労働環境にも思うところばかりだろうし、実際フェリクスは燈の考えを理解できない。
 それでもフェリクスはそんな夢も諦めたくないし仕事も捨てたくないと葛藤する燈の考えを絶対に否定しなかったし、本当に困ったら僕たちに相談することとした上で『トモルのやりたいようにやればいい』と背中を押している。


 それを踏まえた上でフォーカスを当てたいのがファントム5章、そしてそれに繋がる4章。2章の喧嘩の和解がここで描かれています。建前上は。
 というのも、ここまでストーリーべた褒めしておいてアレですが実のところ私はファントム5章(というより5章の洲崎)に対してあまり完全に納得がいっていません。キャラの嗜好とかそういうの抜きに、純粋に脚本の流れとして大好きなダブエスのストーリーの中でもここ関係はどうしても気に食わないんですよ。

(ここからしばらく記事の本腰とは直接関係のないシナリオ批判がありますので見たくないという方は画面に流れ星が出るまでスクロールしてください)



 元々洲崎がファ1-5のフェリクスと燈の話に立ち会っていないとはいえ、洲崎は燈の『夢も諦めたくないし仕事も捨てたくない』という考えをフェリクスを通して事前に聞いている。その燈に対して(燈を気遣う意図としてとはいえ)転職を促したり燈にとって一番大切なのは夢(バンド)じゃ、と説いた洲崎に燈が腹を立てた理由を洲崎はまったく考えてない。洲崎が燈を心配するのも、転職を促したい気持ちも分からなくはないし私もファ1-5と4章を咀嚼し返さなければ彼と同じこと言い続けてた自信しかない。でも結果的にそれは燈の思想とは相反する。そこまでは構わない。それでも洲崎がどうして燈の地雷を踏んだのか何もプロセスを理解しないまま、『先に謝られちゃいました……』で彼の中であれが解決したことになっていることがどうしても納得できない。幾ら洲崎が一年営業で苦しみ続けた過去があっても、今『自分が楽しいこと』でゲーマーとして食べている洲崎に『今の仕事は自分の夢ではないけど捨ててしまっていいものとは思えない』と悩み苦しむ燈の仕事観を否定されたら、当然燈も腹が立つし『何を言っているか分からない』のに。ただでさえ燈はその直前全肯定フェリ太郎に『トモルのやりたいように』と背中を押された直後なのだから猶更。洲崎の言う『燈はすげーんだ』も事実燈の良いところなことに違いないけれど、それは今夢と仕事で板挟みになっていた燈が欲しい言葉やフォローじゃない。自分を救ってくれた大学時代の燈に対して洲崎の中で思い出補正が強すぎる、それ自体はフェリも同じだけど洲崎の場合今の燈と当時の彼を重ね合わせるあまり、今の燈が何に悩んでいるのか、そのプロセスを全く直視できていない。そんな彼が自分の言動のどこに非があったのか何も自覚できていないから、言い過ぎたと謝る燈に対して洲崎側は自分の言葉で謝ってすらいない。そんな洲崎の描写に対してはどうしてもモヤモヤが尽きないんですよ私の中では。職の有無とか、不幸で苦しんでるとか、そういうキャラ付け抜きに。そもそも洲崎が一番好きなのは〝今の〟燈の音楽で、燈誕生日限定会話で『燈の良いところ(ファ2-3で語った燈のすげーところ)は(大学時代から)ずっと変わらないね』と話している以上バンドと仕事が『音楽がやりたかった』に直結している燈の仕事観を否定する資格なんてないし洲崎だってそんな燈が一番好きなんだから答えなんて考えなくても分かるじゃない。
 まず前提として作中での彼の問題は無職なことでも不幸に見舞われる事実そのものでもなくて、自分を不幸だダメな奴だと自虐して自ら自分の価値を貶めていること。前の記事にも書きましたが(私が勝手に思ってる)ファントムのストーリーにおけるサブテーマはファ1-5のフェリクスの言う『理解しないと許容しないはイコールじゃない』。だからこそ洲崎がキャラクターとして乗り越えるべき壁って再就職することでも不幸をなくすことでもなくてさ。ひとつは価値観の相違に関わらず燈の価値観を認め、尊重すること(これに関しては燈側にもある程度は言えること)。もうひとつがSHNイベで経験した不幸を回避する努力と向き直り、『不幸』を言い訳にして現実から逃げないことだと、私は思っている。だから折角Ex4章を通してやっと自分やバンドと向き直りだしたんだと感心していたからこそ、ファ5章とすはなストに裏切られた思いは今でも捨てきれない。すはなストでの経験から自分で不幸を回避する努力をこれからもしていく決心をするのかと思いきや、それらの描写はその後のイベスト本編でもカードストでも一切なかった。あの経験を通して不幸を回避する手段だって提示されていて、周囲に変化を促されているにも関わらず本人は一向にその気は起きていないし次の話に向けた決起表明すらしていない。今の時点でも周囲が見やすくなるよう髪を切ったり転んでもケガを避けられるよう萌え袖をやめたり、日頃からやれることは幾らでもある(キャラデザの根本に関わることだから少なくとも一番最初はメタ的に無茶なのは承知の上)。大学生に介護されてる社会人の自らの醜態を恥じてる場合じゃないんだってば。この前公開された洲崎キャラスト4話で少しは独り立ちしだしたのかと安心したけどEx4章からのファ5章とすはなの落差があるからどうしても手放しに喜べる状況ではないし。せめて24時間家にいるんだから自分の服ぐらい洗濯機に入れるくらいしてほしいし個室とはいえシェアハウス暮らしで何日も自室に脱ぎ捨てた服溜め込んでるのはちょっと擁護できない。そんなとこまで不幸不幸で擁護してたらなんにもできないしいつまで経っても成長できないでしょうが。日頃忙しい燈がわざわざ回収して洗ってくれたのに(前後の文脈から仕方ないといえど)それを不幸扱いは辞めてよ本気で。28になって服溜め込んだ上洗濯機に入れられないとか赤ちゃんじゃないでしょ。成人式何年前よ。キャラが好かないとかそういうのじゃなくて私自身キャラ厨以前にストーリー厨だからどんな推しでも過度な不憫萌えでキャラをよちよちなんて絶対したくないしそういうことでキャラを可哀想とか同情寄せたくないから洲崎二条兄七星推しとは本当に信頼できる人間じゃないと積極的に繋がりたくないし別に洲崎を特別推してるわけでもない私がここ最近の彼のキャラ描写に頭抱えてるのに当の洲崎推しがこの件(5章の和解文脈とSHN)に疑問抱いてるの見たことないしそんな洲崎推しが遵くんかわいいかわいいしか言わないせいで公式が感化されて洲崎遵の本質から目を逸らして「かわいい遵くん」を描くことに全力シフトされるのが一番困るし現にそれの前兆が見え隠れしてるのが雨イベとすはな洲崎のカードとファ5章とすはなスト……(ブツブツ)



☆彡 ☆彡 ☆彡

 長々とお目汚し失礼しました。
 色々言いたい放題ではありましたが、私も推し萌えオタク以前にストーリー厨なのでファ2章の燈に対して何も思ってないわけじゃないんですよ。燈が洲崎との口論を引っ張って2Days初日の演奏に私情を持ち込んだことは決して褒められるべきじゃない。疲労で頭がいっぱいだったのはあるけれど、燈を気遣って一般論として転職やら仕事の軽減を勧めた洲崎に仕事を辞めろっていうのか、とムキになって極論で反論したことも騒動の引き金だとは自覚しているし、そこはよろしくないことだとは私も思ってる。
 それでも燈に洲崎のような脚本上の祖語による不満を抱かないのは推し贔屓でもなんでもなくて(むしろ推しでそういった案件踏む方がメンタルしぬ)、純粋に燈の問題解決に至るまでのプロセスが綺麗すぎるほどまとまってるからなんですよね。
 以前の記事でも話したように、燈の譲れないことって夢(バンド)でも仕事でもなくて、『夢も諦めたくないし仕事も捨てたくない』に則っている。基本は。
 洲崎との衝突や入院を経て夢でフェリクスとの再会(本人は覚えてないけれど)とバンドを始めた経緯を思い出して、『音楽がやりたかった』ことを再度自覚しても、その二律背反のスタンスは変えていない。
 だって、辞めるって選択肢がそもそもないんですよ燈は。ファ1-5で燈は今の仕事の経験がバンドの音楽に通じていることを告白している。以前の記事ではこれが燈の完全なる志かのように書きましたが『夢も諦めたくないし仕事も捨てたくない』のスタンス自体は2-3章の経験を通じて彼の中で少し解釈は変わっていて、『絶対曲げてはならない信念』から『夢を果たすためのひとつのプロセス』になっている。ファ4-4以降、燈が最も優先する事柄は決定的に『音楽』にはなったけれど、だからって仕事を捨てるつもりもまったくない。バンド(音楽)を形作るプロセスに燈の仕事が根付いているからこそ、その上で東京支社の業務のみに絞って仕事を継続して頑張る彼の姿勢は『音楽がやりたい』の最優先事項へと仕事へのスタンスが直結してるんです。
 洲崎に謝る一幕も燈自身そこまであの件を深刻に考えてたわけじゃなくて、色々思うことはあったとはいえ洲崎に言い過ぎたことを謝る頃合いを伺っていただけに過ぎないんですよ。望んで現在の立場にいる両者ではお互いの仕事観を尊重こそすれ理解共感は絶対できない。それは(私の中の)ファントムサブテーマの『理解しないと許容しないはイコールじゃない』にも繋がっていることだし、燈の『その人が考えて出した答えを否定する権利なんて誰にもあるはずがない』は当然燈自身にも適用されている。だから燈自身謝ってはいるけれど洲崎に言われたことへの回答は一切していないし、自分のスタンスを曲げるつもりもない。
 でも、その燈のスタンスがシナリオとして納得できるのも、フェリクスとの出会いから『音楽をやりたかった』ことを思い出したからなんです。

 そしてやっと本題に戻ります。ここで燈が『音楽がやりたかった』を思い出したのは夢に見たフェリクスとの再会(燈は覚えてないけれど)。そして洲崎に対して先に謝ったあの一幕。あのときの燈の中に仕事を否定された憤りはもう残っていなくて、ただ『音楽がやりたかった』という想いが燈の何よりもの原動力になっている。LRフェス1stRoundのあのステージでLIGHTとして、ZACKと共に演奏して、よりそれを確信できた。そのため早く洲崎との一件を片付ける必要があった。だからこそ当時はあんなに荒れた燈も。何も迷うことなく彼に頭を下げられたし、悪かったの一言が言えた。
 その後、LRフェス1stRoundにて土壇場の仕事で名古屋に向かった燈の話を楠から聞いたフェリクスもまた、『トモルが考えて決めたことなんだろう?』と尋ねます。『僕はトモルの考えを否定しない、絶対にね』にも繋がることですが、とにかくこの男『トモルが考えて決めたこと』を何よりも尊重しているんです。そして、『トモルのやりたいようにやってみるといい』。
 もう、本当にさ。
 お前は燈の何なの……?


[小話、その他余談と推察と妄想まとめ、えとせとら]

 他にも大きな枠を取って語りたいことが山ほどありますが分量の問題と以前まとめたnoteの延長線上となってしまうところが否めないため、前回記載していなかった内容以外で新たに追加された話を中心にまとめていきたいと思います。カプ厨としての人格は抑え込んだ上で話題を選んだつもりなので悪しからず。

【ヒストリーの『運命の出会い』の扱い】

 余談として、今日ヒストリー改めて見返して恐れ慄いたのが『運命の出会い』に括られるのが七星-五稜-的場、 フェリ→燈で、相手の名前がない『出会い』が早坂・若草→朔太郎、フェリ←燈のみとなっています。七星五稜的場はアニゴナの通りだし、早坂若草が朔太郎との~と表記がないのも彼が25人のメインキャラとして含まれていないからだと大体察しがつきます。燈も当時出会ったのは『吸血鬼』に興味を抱かせた外国の少年であって今もなおそれがフェリクスとイコールで結びついているわけではないので、これも分かります。
 だけど、ヒストリーで決定的に『運命の出会い』って描写されてるのアニゴナの七星五稜的場以外だとフェリクス→燈だけなんですよ。多分バンドごとでヒストリー書いたスタッフ違うのはありそうなんですけど、私もこのヒストリー公開されるまではここの項目追加されるとしても『黒川燈との出会い』になると思ってた。異国の少年とふぇりくんがイコールで結びついていない燈にとっては24歳で『フェリクスとの出会い』だけどフェリ側には他3人がそれぞれ名前で明記されてあっても『黒川燈との出会い』はどこにもなかったから。
 それなのに、『運命の出会い』ですよ。一方的どころかそもそも1on1の対面で『運命の出会い』が決定的に記されてるのフェリ→燈だけなのに。
 それなのに、あの自称吸血鬼、未だ幼少期の出会いのこと話してないんですよ。

 だから初恋募らせおじさん(30)とか弄られるんだよぉ……。

【燈の厨二病はフェリ由来?】

 正確には燈(13)が創作物にのめり込み、漫画やアニメを好きになり始めた理由にフェリくん(私の中で以下略)との接触があったら、という話です。あくまで妄想の範囲なので笑って見てくれると嬉しいです。
 美術館で対面した2人がどうやって出会い、どのような会話をしたのかは現状妄想の域を出ることはできない。断言できることは、たった一度会っただけの「トモル」の名をフェリクスが16年間覚えていたこと、絵画にしろ会話にしろ「吸血鬼」が話の文脈にあったこと、その「何気ない言葉」に幼きフェリくん少年が救われたことの3つ。そして『顔も名前も覚えていないけれど吸血鬼に所以のある異国の少年と出会ったことを覚えている燈』に対し『「トモル」を16~20年間ずっと覚えていたフェリ』の対比項目。会話の内容まではハッキリとは断定できないものの、吸血鬼の子と忌み嫌われていたフェリくんに対してともゅが『吸血鬼? かっこいい!』みたいなニュアンスのことを言ったのだとは思います。
 ここからはいよいよ妄想の域に入りますが、もし燈があの少年との出会いから『吸血鬼』に興味を持ち、創作を転々としながらサブカル作品が好きになっていった可能性はありえなくはないかとは思っています。まあサブカルコンテンツへの没入はホビアニや特撮から少年漫画、ゴールデン、深夜と推移していくパターンが大半かと思うので(夕方帯アニメ枠の大幅な減少にテレビ離れ、YouTube等で活躍する歌い手の支持、ネトフリ等の配信媒体で某鬼退治アニメを観る子どもたちやファミリー層があれほどあったことから現在の仕組みは当時から変貌しているとは思いますが少なくとも燈の時代はそれが主流だったはずですしどちらにせよ流れとしてはあまり大差ない)決して一概には言えませんし、吸血鬼を尊敬の眼差しで見ていたのだとしたら元々アニメ等は好きだったと考えるのが妥当ですが、そこで他の趣味に傾倒せず厨二病を発症するまでにのめり込むほどになったとしたら、幼少期に出会った吸血鬼を名乗る少年に何か感化されたのかもしれません。
 今まで特に重要な設定とも思っていなかったし、あっても世界観構築のための発想力とフェリクスの言語の翻訳に役立っているんだな、としか思わなかった彼の厨二病設定がどうしてここに来て、というと、先日公開されたヒストリーで燈が妄想ノートを晒されたことで厨二病を辞めたことが描写されているからです。

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 一見ネタのように書かれていますが、これを読んでいるほどの皆さんならわかるでしょう。教科書やノートの隅っこに描いた落書き、ちょっと浮かび上がった創作設定を書き留めた紙切れ、それらすべてをクラスメイトに晒される人生終わった感。そのクラスメイトや友人に悪意があったのか否かとか、実は周囲から遠巻きにされて間接的な苛めを受けていたのではないかとか。ここまで伏せられてきたヒストリーの重要性からして様々なことを考えてしまうわけですが。ここで重要なのは『燈が妄想ノートを晒されたショックで厨二病を辞めた』ことそのもの。
 そしてここから更に起爆剤となるのが、2020年、ダブエスリリース前に様々な漫画家様を通してTwitterで連載された『ダブエス生活』にて、毛魂一直線先生が執筆されたあの例の回でございます。

まんが『 #ダブエス 生活』8
https://twitter.com/AAside_INFO/status/1278267102395281414?s=20

『ダブエス生活』は外部の漫画家様による執筆、そしてゲームリリース前の話ということもあり、今読むと幾らか矛盾している設定(もしくはアプリリリースまでに変更されたと思わしき箇所)もあるにはあります。ですが基本は今のアニメやアプリに繋がる設定や他バンドとの交流をピックアップして描かれている話が多いように感じます。その中でも毛魂一直線先生の描かれた回は特にギャグ方面のウケが強く、ダブエス生活でもバンドの枠を問わず特に人気のあった作品が多いように感じます。元本家のバンドリ!でも「ばんどりっ! Happy Party♪」にてこれまたクセの強い漫画を執筆していたこともあってバンドリーマーからのウケも良かったのもあるのでしょうが。
 そして、その中でもファントム回はあの燈の厨二病節炸裂とインスタノート晒し事件で色々な面で話題になったのは記憶に新しいです。いつもの如くアクの強い回なことに間違いありませんが、これを見ている皆さんならこのときの燈の心情がどれほど痛いことか嫌というほど分かることかと思います。
 そして、この回の終盤で洲崎の口から燈がこれを受けて泣いていると言及されているわけですが。このときの燈、当時のノート晒しのトラウマを思い出して泣いてた可能性はないでしょうか。
 当時のクラスメイトたちがどういう心情でノート晒しを行ったかはともかくとして。少なくともフェリはあれを嗤うつもりは一切ないし、心から素晴らしいものと思って故の行動なんですよね。それですら我々側から見れば拷問に等しい行為なのには違いないし、燈がどうして泣いてるのかもフェリには分からないだろうけど。
 だからもし、燈のサブカルオタク入りの引き金がフェリくんとの出会いだったとして。妄想ノート晒しが今なお燈の中で尾を引いていて、似たような展開を本編で今後フェリが燈に対して行うことがあって、それで燈がまたショックを受けるようなことがあったとしたら。そこでやっと、お互いがお互いの幼少期に目を向ける機会になったりするんじゃないかな、って思っています。知らんけど。
 多分このままだとフェリさん幼少期の燈との件墓場まで持っていきそうな勢いだし。燈もすっかり異国の少年かつ吸血鬼の話以外は忘れ切っているし(20年前となればそれが当たり前だし16年ないし20年もの間たった一度会っただけの異国のどこにでもいる黒髪の少年に初こi想いを募らせ続けてたフェリの方がヤバいだけで)。父の仕事の同伴でネグレクト気味だったフェリ連れて来日するくらいだからジルも当然いただろうけど美術館にまで一緒に来ていたとは限らないし。洲崎(とおそらく燈も)がジルを知らないのは当然としてもジルが二人をどこまで知っているかは分からないし、フェリが変わった一因に音楽と同時に燈の存在があったことをジルが知っているかも分からないし。当然他3人がフェリと燈の幼少期の出会いを知ってるはずないし、よほど外部からの大きな衝撃がない限りフェリが燈に当時のことを話す動機できそうにないんですよね。
 本当、なんで16年越しの感動的な再会果たしておいて4年経っても話してないのよぉ……。

【フェリクスにとって燈ってなんなの?】

 バンドメンバーなのも信頼するギタリストなのも運命なのも知ってます。知ってるからこそそれ以外の言葉を用いてほしいんです。冗談抜きでフェリにとって燈が何なのか運命以外の代名詞で説明してほしい。おもしろコンテンツ1号とかも抜きで。

 まず前提として、フェリは自分の秘密主義をダクリバ関連である程度顧みて、ファントムや他バンドに自分と紫夕ちゃんの過去を話しています。まあここまで事態が深刻化した以上後には引けないですし、最初の相談相手が口の堅い里塚ならフェリもある程度のことは話せたのだと思います。
 しかし、フェリはここで鞍馬と燈の件に関しては(おそらく現状)里塚に伝えてないんですよ。確かに里塚が聞いて回ったのはイプシの妨害工作の件だし、鞍馬は一人で人間観察フィールドワークしてるだけだからフェスの妨害行為とは無関係なのはフェリは知っていることだけど。それで燈が被害に遭った以上、鞍馬が他バンドにも同じようなことをしない危険性がないわけじゃない。現に神ノ島と早坂はその被害に遭って早坂の過去のタガがどんどん外れて押し潰されそうになっているのに。せめて、あそこでフェリが鞍馬のこと注意勧告として話していれば早坂はあそこまで独りで思い悩むことはなかったかもしれなかった。
 フェスの諸々で自分の秘密主義を顧みて周囲に自分のことを完全に明かすようになったのであれば、里塚や他バンドの面々に鞍馬のことは伝えて問題ないはず。それなのに、フェリは未だ彼のこと話してないんですよ、鞍馬のこと。でも少し気がかりなのは昔馴染みなこともあってある程度気心を置いている御劔には彼の危険性を語っていること。だから今なおあの件を隠すのに何か別の要因がある可能性を考慮すべきなのかもしれない。
 一度燈に免じて引き下がったはずなのに、彼を引き剥がしてまで鞍馬に念押しの忠告に来たフェリの真意が、もし鞍馬以外の別にあるとしたら。
 早坂が風太を守るために一人で思い悩んでいるように、フェリもまた、燈を守るため、彼の耳に鞍馬の話が入らないように、鞍馬の話を意図的に隠しているとしたら?

 正直自分でもばかげた話だと思うけれど、事実フェリが鞍馬のことを口外しない理由を考えたときそれしか思い当たることがないんですよ。大真面目に。分かる人いたら教えてほしい。
 全肯定フェリ太郎にしろ鞍馬にしろ、こと彼の秘密主義が働く時の対燈のフェリって本当にめんどくさい。シンプルに何考えてるか分からないから、推察とか体の良いこと言って自分に都合の良いように頭回して必死に考えるので精一杯。
 そして幼少期の出会いが確定してふと考えたことなのですが……フェリ、とにかく燈の生き様に自分のエゴを持ち込みたくないのでは?
 フェリは何よりも燈の面白さに惹かれていて、自分の想像を遥かに越える燈の破天荒さに特に目を輝かせている。鞍馬はエリア会話で燈を普通の人代表と指していたけど、全然そんなことないし燈だって十分くるんちゅなのよ。周囲に害を与えなくて社会性があって無自覚なだけだけど、まず間違いなく黒川燈がごく普通の平凡サラリーマンはないから。
 またフェリクスは恒常ボイスで『トモルは面白いね。大抵のわがままは受け入れてくれるのに、こうと決めたことは意地でも譲らないんだ』と話している。この『大抵のわがまま』は日頃の振り回しっぷりだったり(味はともかく)自分の料理食べてもらうことだったり様々な事柄が当てはまるけど、『こうと決めたこと』は音楽だったり夢だったり、夢にも仕事にも一生懸命な生き様。そこには決して、自分の影は落としたくないんじゃないかと思うんです。フェリクスですら予測がつかない燈の「面白さ」に自分の言葉が彼の足枷となるような影響を与えてしまえば、燈の面白さは純度100ではなくなってしまうかもしれない。幼少期のことを話していないのも今のフェリクスにとって大切なのは今の燈だからこそ、あえて今過去を語る必要はない。話したところで関係性が変わらずとも、少なくとも燈がフェリクスを見る目は多少なりとも変わってくるかもしれない。
 この、ヒーローに惹かれるファンに見えてオタクに惹かれるオタクみたいな構図。

 もし当時の燈がフェリクスに『吸血鬼? かっこいいー!』というようなことを言ったとしたら。それに心を救われたフェリが『吸血鬼』を誇らしく思うようになったとしたら。
 フェリクススキルアップボイスの『僕はいつでもなりたい自分さ』が、当時の彼に救われたことに対する決意表明だったとしたら。もし『フェリクス』にとっての『なりたい自分』が、吸血鬼の王たる『FELIX』だったとしたら。
 彼が吸血鬼を自称していること自体、在りし日の少年に胸を張って誇れる自分でいようとしているのだとしたら。



 もう、なにもわからない。あまりにも感情重すぎて運命って言葉ですら収まるか分からないしましてやそれ以外の言葉じゃまともな言葉が見つからない。

 恩人なのはそうだけど、じゃあその恩人と16年越しの再会を果たして4年も経ってるのに未だ本人にその事実告げてないのはどうして。
 鞍馬にギタリストとしての身体壊されそうになって、相談してくれって言ってる仲間もいるのに燈と鞍馬の件は意地でも話そうとせず一人で抱え込んでるのはどうして。他のメンバーを車に轢かせてまで後輩くんを救って彼の願いを叶えようとしたのはどうして。
 たとえ自分と相反する考えを持っていても『僕はトモルの考えを否定しない、絶対に』『トモルが決めたことなんだろう?/それを信じようじゃないか』と彼の考えを絶対に否定せず彼の生き様そのものを肯定しているのはどうして。
 『Into the Flame』で『孤独な夜に何もかもが終わればいいと願い涙したことはもう忘れていい』と明らかに燈のことではない、燈と出会ったことで生まれ変わった過去の自分を燈の曲の詞として私的な感情を募らせまくってるのはどうして。
 一日限りしか聴くことのできない黒川燈誕生日限定ボイスで『僕がここにいるのは君の……』と想いを募らせておいて、その先を続けないのはどうして。

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 大真面目に、真剣に、本気で。教えてほしい。運命以外の言葉で。

 フェリクス・ルイ゠クロード・モンドールにとって黒川燈ってなんなんですか……?


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