見出し画像

マイワードローブを作る

9月も終わるけれど、夏休みの自分へ課題を課した。
それは「自分のワードローブを製図から縫製までを一貫して作ること」。

課題、というと大げさに聞こえるけれど、理由は服飾専門学生から服作りを学び、服のデザインやパターンに携わる仕事を経て、自分の服を作ることがめったになくなってしまったからだ。

そうそうそれから、年齢を重ねるごとに欲しい服のテイストが少しずつ変わってきた。
今まで好んで着ていた服を少しずつ着なくなったり(または着られないような気がしたり)してきたのもある。自分の好きなものは一生好きだと思ってきた自分でさえ。
そういう風になっていくものなんですね。

作りたいものはたくさんある。
たとえば少し厚めのリネンでアトリエコートのようなさっと羽織れるアイテム。
たとえばタックがたくさん入った長めのブラウス。
たとえばくたっと柔らかな起毛がかかったフランネルでリラックスしてはけるパンツ…
などなど頭の中で流れ星のようにひゅんひゅんと流れる。
でも思っているだけではいつまでたっても作れないと思い、「課題」というやや大げさなワードを頭に貼り付けたらきっと自分なら作るだろう、と思ったのだ。

さて何を作ろうかな、と考えるか考えないかぐらいで「セットアップ」という声が自分の中で聞こえる。
セットアップというのは上下お揃いの服のことで、要するにトップスとボトムスの2着を作る、ということ。

こうなると少し「課題」っぽくなってきた。
そうだねボトムスはしばらく作っていないから勉強も兼ねてなるべくシンプルで機能的なポケットなんかもつけよう。ポケットの縫製なんて本当にしていないからはじめから学ぶ勢いで。

トップスは短めでフリルをつけたいな。
私は身長が150㎝と小柄なので「短め」の服にはめったに出会えない。
でもボトムスをハイウエストにしてトップスを短めに合わせるのはすごく今したいスタイルだなと思っていたからちょうどいい。

メインに使う生地は夏から秋口まで着られるリネンがいい。私はリネンのしゃりっとした質感とさらっとした着心地が好きで、夏はベッドシーツもリネンと決めている。

部分使いにはひとめぼれして買ったインドファブリックを使おう。いや、もはやこのインドファブリックを使うために服を作ろうと思ったのが、本来の理由だと思う。

そんな風に考えながら今の自分の欲しいものと、作れる技量を照らし合わせながら作った。

そんな行程は料理のようだと思う。

自分のための、自分による、自分の服。

100%自分のためだけならきっときちんとは作らないと思う。

「課題」というワードの中で作るというのが私の中でポイントだったのかも。

自分の足りない技術を改めて知るきっかけになるし、より良いものを作るためにはどんな技術やどんな情報が必要か。
そういうものも含めてできた今回の「セットアップ」は課題の点数をつけるなら68点くらいかな(細かい)。

もっとこうすればよかったなぁ、がたくさんあった。

でもそれは次また作りたいきっかけのひとつにもなった。そんな風に「今」を「次」に繋げる、それこそがわたしが作る原動力だな。反省や気づきはいつでも自分の味方なのだととてもポジティブに思えた良き夏休みの思い出となったマイワードローブ製作でした。
さて次は何を作ろうか。その時間が実は1番楽しい。