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夏の記憶に触れる

夏が、あっという間に終わってしまう。毎日毎日猛暑だったのに気づけば秋のにおいがする。秋のはじまりはいつでもちょっと切ない気持ちになる。嫌いじゃないけど忘れぬうちに、大好きな夏の記憶を書いておこうと思う。

1年の季節の中でもとりわけ夏が好きな私は、6月の下旬くらいからすでにそわそわし始める。
植物の緑色がどんどん濃ゆくなって、空の青も雲の白もきりっとし始めて、シュワっとさわやかなサワー、色とりどりの果物、ヨーグルトに季節の果物で作ったジャム(今年はルバーブ)を混ぜたりパンにのっけたりするのが楽しくなる。
南国気分な定番の花柄ワンピースで、お風呂上がりに夕暮れ時にかもがわさんぽもお気に入り。

それから毎年のように自分の中でよみがえる、夏の記憶の数々。
心が揺さぶられる思い出がたくさんある。

たとえば1番に残る記憶は、ほぼ日の塾の課題「私の好きなもの」でも書いた、小学生の時に初めて見た、珊瑚の色が混じるピンクとオレンジの海の色。

たとえばハワイで見た、ムラサキピンクが混じったサンセットブルーな空や、視力が1.0くらい良くなったように感じる、ハワイの色濃い植物やカラフルなお魚が周りでたゆたう姿。

毎年飽きることなく何十年も記憶を思い返しては新鮮な気持ちで夏をむかえている。特にどこへ旅行に行くでもなかったとしても。

そういえば今年の夏はSEEMORE!アイテムの貝がらバレッタシリーズのシューティングをした時、カメラ越しから見た風景が昔の記憶とつながって驚いた。

25年以上前の、お気に入りだった場所のこと。

16才くらいまで住んでいた家は海の近くにあって、小さなころ、たぶん小学生くらいまでは毎年夏の季節になると家族みんなで海の公園(と私たちは呼んでいた)へ、お弁当やバドミントンやローラースケートやフリスビーなんかを持ってピクニックするのが大好きだった。
海の公園には、パステルカラーの貝がらやタコの形のトンネルやすべり台があって、私もお姉ちゃんも、タコのすべり台が大好きで飽きることなく何度もすべった。お母さんが作ってくれるタコさんウインナーや唐揚げやおにぎりも、普段は食べることに興味が持てなかった子供な私でも格段においしく感じてみんなで取り合いしながら楽しく食べた。
夏が大好きになるきっかけとなった1番最初の記憶。

シューティングでのカメラ越しの風景は、海の公園で何度もすべったすべり台のこと思い出す。
風景の中には、珊瑚のようなグラデーションの洋服に、貝の髪かざり。

その記憶を意識して作ったわけではなかったのに、実はつながっていたのかも。という嬉しい発見をした。
そんな、「記憶に触れるものづくり」がSEEMORE!のコンセプトなのだった。
忘れたくない、でもいつかは忘れてしまうようにできている。それでもしぶとく残る記憶をアクセサリーとして作り続けたい。そしてできればそれらは誰かの元へ届けたい、これからも。

そんな夏のことを書いている今日はとっても涼しくて、まるで秋の気配。
ふわふわモヘヤのニットやあたたかなカフェオレや読書の季節の誘惑。わくわくするような、さびしいような複雑な気持ち。
家の近くのサルスベリの花が満開で美しくて、できればもう少し夏終わらないで、と思う。

今年の夏は毎日夕日がすばらしくきれいで、あのピンクとブルーの空の色や、ブルーとうすいオレンジのグラデーションや、雲ひとつない淡いパープルの空を、また夏が来る頃に作品として形にしよう。それは来年の楽しみにとっておこう。

ここで紹介した貝がらバレッタをworksにアップしています。