ナンパされていたお姉さんを助けたら、後日、水着姿のクラスのマドンナたちに告白されました。
?1&?2:「ねぇ、○○!! どっちを選ぶの!?」
○:「そ、そんなの選べないよぉ~!!」
何故、こんな状況になったのか・・・
それは、今から遡ること1日前。
○:「はぁ・・・」
溜め息をついたこの男、上大岡○○は今日が金曜日であるにも関わらず、いつも通り気だるげに登校していた。
どこにでもいる根暗陰キャで、前髪は目を余裕で隠せる程長い。そのうえ、彼のクラスの中では存在が薄く、一切目立たないため、唯一彼と仲良くしている張山◇◇からは、「透明人間」なんていう渾名をつけられてしまった。
◇:「なあ、そういえば蓮加ちゃんと珠美ちゃん、お前はどっち推しなの?」
○:「なんでそんな話すんの?」
そう、上大岡○○と張山◇◇のクラスには、校内では名の知れた、岩本蓮加と阪口珠美の2人がいる。
此処で一応、彼女たちの紹介をしておこう。
岩本蓮加は、彼女の父親が社長ということもあり、いわゆるお嬢様という立場の女の子だ。その為、お嬢様学校に通う予定だったのだが、彼女は普通の女の子でいたいと父親に切実に訴えたが為に、一般学校に通っている。
阪口珠美は、元々この地域ではそこそこ名の知れたギャルとして有名な女の子だ。時々、「ギャルは世界を救うんだ!!」という、理解に苦しむワードも時々彼女の口から飛び出すものの、基本的には女の子ウケするセンスを併せ持っている。因みに岩本蓮加をギャルにしたのも、彼女がきっかけなんだとか。
2人共、スクールカーストはトップなのではあるが、彼女たちの普段からのおごらない性格も相まって男女問わず大人気な2人なのだ。
◇:「そりゃあ気になるだろ、みんなどっち推しかっていうのは結構言ってきてるし、唯一○○がどっち推しなのか知らないから、聞いておこうと思って。」
○:「お前に透明人間っていう渾名をつけられている俺が、そんなの言った所で何になるんだ?」
◇:「まあ、確かにそんな渾名は俺がつけたけどさ。」
○:「第一、スクールカーストトップの2人がスクールカーストビリの俺に対して振り向くかって話。」
◇:「・・・なぁ、言ってて悲しくないのか?」
○:「悲しくない。」
◇:「・・・そっか。」
その日の夕方、○○の自宅にて。
○母:「○○? 今から買い出し行ってきてくれないかしら?」
○:「分かった、じゃあちょっと支度してくる。」
そう言って○○は身支度を始めた。身バレしたくないという本人なりの譲れないプライドがある為、普段下ろしている前髪を上げ、マスクをした。
○:「今までこれでバレなかったから、今日も大丈夫だろ。」
そう呟き、本人曰く万全の状態でスーパーに向かった。
そして、そのスーパーからの帰り。
?1&?2:「や、やめてください・・・」
男1:「いいじゃないか、どうせ2人だけなんだろ?」
男2:「おじさんたちと一緒に楽しいことしようよ。」
会話が聞こえてきた為、ふと前を見てみると、街灯が疎らな為見え辛いが、自分と同い年か、1年2年は年上のお姉さん2人組が、明らかにガラの悪い男2人にナンパされていた。
それを見てた○○は
○:「はぁ~、なんでナンパなんかするかなぁ・・・ でも、こんな事態を見過ごす訳にもいかないもんねぇ・・・」
そう呟き、
○:「あのー、すいません。お姉さん2人とも、物凄く嫌な顔をしていますが・・・」
と言って?1と?2の近くに移動した。すると男2人は、
男1:「なんだ、クソガキ。俺たちの邪魔をする気か?」
男2:「邪魔をするのなら、容赦しないぞ?」
と返してきた。○○は冷静に
○:「これ以上騒ぐ様でしたら、警察呼びますよ?」
と言った。こう言われた男2人は、
男1:「チッ、面戸くせぇ・・・」
男2:「俺たちはサツの世話にはなりたくないから逃げるぞ。」
と言って決まりが悪そうにその場を去った。
?1&?2:「あ、あの、有難う御座いました。」
そう言ってお礼してきた2人のお姉さんを見て○○は
○:「(やばっ、顔はあんまり見えなかったけど、岩本さんと阪口さんなのか・・・? でも、もし本当にこの方が岩本さんと阪口さんだったとしたなら、同級生の俺に助けられたのがバレたらマジで面倒なことになるなぁ・・・)」
と、内心焦りつつ、平常心を保った。
○:「いえいえ、大丈夫ですよ。そんなことよりも、お姉さんたちはお怪我は御座いませんか?」
蓮?:「え、えぇ。大丈夫です。」
珠?:「わ、私も大丈夫ですよ。」
○:「よかったです。折角ですので、お姉さんが住んでいるそれぞれの家まで送っていきましょうか?」
蓮?&珠?:「本当ですか!?」
○:「えぇ、もしまたお一人で帰宅されていらっしゃるタイミングで、先程の様なことが起きてしまう可能性も御座いますし。」
蓮?&珠?:「親切に有難う御座います。」
○:「いえいえ、とんでもございません。」
こうして、2人のお姉さんがそれぞれ住んでいる家まで一緒に歩くことにした○○。
○:「そういえば、お姉さんお2人のお名前を教えて頂けますでしょうか?」
蓮?:「あっ、はい。私は岩本蓮加って言います。」
珠?:「そして私が阪口珠美って言います。」
それを聞いた○○は
○:「(嘘だろ・・・ 何の確信も無かったけどマジで岩本さんと阪口さんだったんだ・・・ これは助けてくれた人が根暗陰キャの同級生だってことがバレたら色々と終わる・・・)」
と1人、勝手に頭を悩ませていた。
蓮:「そういえば、お兄さんのお名前を教えてくれませんか?」
珠:「私も聞きたいです。」
○:「な、名乗る程の者でも無いので。ただの通りすがりの人ですから。」
名前を聞かれて内心かなり焦ったものの、冷静に返し、
○:「(よし、なんとか最大のピンチは切り抜けたぞ。)」
と、1人勝手に安堵していた。
その後は何事もなく、まずは珠美の家に到着した2人。
珠:「今日は本当に有難う御座いました。」
○:「いえ、とんでもないですよ。それでは失礼致します。」
蓮:「じゃあね~、珠美~!!」
珠:「またねぇ~、蓮加~!!」
そう言って○○は蓮加と一緒に、蓮加の家に向かった。
こちらもその後は何も無く、無事に到着した。
蓮:「今日は本当にどうも有難う御座いました。」
○:「いえ、とんでもないですよ。」
蓮:「もしまたお兄さんと何処かで御会い出来たらいいんですけど・・・」
○:「その際は、今回みたいな感じで出会わないといいですね。」
蓮:「そうですね。」
○:「あ、後先程のお姉さんにも無事に家に着いたということを御連絡して頂きたいです。」
蓮:「分かりました、お兄さん本当に有難う御座いました。」
○:「では、失礼致します。」
そう言って○○はその場を後にし、
○:「(なんとか最後の最後まで根暗陰キャの同級生だってこともバレずに隠し通せたぞ・・・ なんか疲れちゃったなぁ・・・)」
と1人呟き、家を目指して前進した。
その翌日。
○:「母さん、ちょっと散歩してくる。」
○母:「分かったわ、気を付けて行ってきなさいよ。」
○:「了解。」
そう言って○○は身支度を済ませ、散歩に出かけた。
彼が住んでいる家から少し歩くと海水浴場があり、そこで海を眺めボーっとするのが、○○の休みの日の日課になっている。
○:「もう海開きしたから、人で沢山溢れ返るんだろうなぁ。」
そう呟きながらも、目的地の海水浴場に到着した○○。
○:「久し振りに来たけど、やっぱいい所だよなぁ。」
そう思っていると、突然彼の後ろから声を掛けられた。
?1&?2:「あれ・・・? もしかして昨日私たちを助けてくれたお兄さんで合ってますか・・・?」
○○が振り返ると、そこには
水着姿の蓮加と
同じく水着姿の珠美がいた。内心、驚きと正体がバレてしまうかもという不安が襲いつつも、
○:「え、えぇそうです。」
と冷静に返した○○。
蓮:「やっぱり!! 昨日は本当に有難う御座いました。」
珠:「私も本当に感謝してます。」
○:「いえいえ、とんでもないですよ。」
すると、彼女たちから
珠:「そういえば、結局お兄さんのお名前、聞けませんでしたよね・・・?」
蓮:「蓮加も結局聞けなかったです!!」
蓮&珠:「お兄さんのお名前、教えて下さい!!」
と、名前を再度聞かれることになった。
○:「(マジか・・・ 嘘をついても仕方が無いしなぁ・・・ もういいや、堂々と正体を明かして、ガッカリしてもらおう。)」
そう決心した○○は、
○:「○○・・・です。上大岡○○。」
と、自ら正体を明かし、大いにガッカリされる準備をした。しかし、彼女たちから返ってきた反応は、意外なものであった。
蓮&珠:「・・・やっぱり!!」
○:「・・・えっ?」
蓮:「なんか、そんな気がしてたんだよ。」
珠:「声までは流石に分からなかったけど、後ろ姿を見た時に、普段学校で見ている時とそんなに変わらないなぁって、れんたんと話してたの。」
○:「そ、そうだったんだ・・・」
蓮:「でも、たまちゃんも思ってたみたいけど、前髪上げたら超絶イケメンなんだね、○○って。」
○:「そ、そんなこと無いよ。」
珠:「でね、私ね、○○に対して好きって感情が芽生えちゃったの。」
○:「・・・嘘・・・でしょ?」
珠:「ほんとだよ?」
蓮:「ちょ、ちょっとたまちゃん!! 抜け駆けは駄目だよ!! れんだって○○のことが好きになったんだから!!」
○:「・・・えぇ!?」
蓮&珠:「ねぇ、○○!! どっちを選ぶの!?」
○:「そ、そんなの選べないよぉ~!!」
~ あとがき ~
皆様、どうも御無沙汰しております。
祭壇の御餅というものでございます。
今回の妄ツイ作品のヒロインは岩本蓮加ちゃんと
阪口珠美ちゃんのダブルヒロインで書いてみました。
如何でしたでしょうか?
かなり長めの作品になりましたが、
楽しく読んで頂けたなら幸いで御座います。
次回の投稿がいつになるか、
また、次回作のヒロインが誰になるかはまだ決まっておりませんが、
出来るだけ早めに投稿出来る様に頑張ります。
ここまでご覧頂き、誠に有難う御座いました。