ラインケーキ

長さ40センチほどだろうか、まばらに糖衣が掛かった指2本ほどの直径の平べったいパンが懐かしみのある何故かパリのエッフェル塔のイラストの入ったパッケージに3本入っていて。「ラインケーキ」とエッフェル塔の胴部分に書かれているにもかかわらず、何故か塔の上方に「ORIGINAL Jumbo Cake」とも書き入れられている
。そしてエッフェルの足元には「ハチミツ入」と主張もしているのだった。

ふわふわでもカチカチでもなく、すぐに折れてしまうような心配はない絶妙な固さであり。パンと言うには密度が頼りなく、ケーキというには甘さも足りない。

しかし、このすべてにぼんやりと主張無い中に、唯一これをパリジェンヌのように小脇に抱えて持ち運びして欲しい愛知県名古屋市にあるこちらの製造元である企業の意思をはっきりと感じる。

エッフェル塔のイラスト、またこのパン?ケーキ?の長さ、固さにそれを見るのだ。

そう、これは名古屋市のバケットなのだと言ってしまってもいい。

ナゴジェンヌ達はすでに小脇に抱えているに違いない。

そして、食感だ。パサパサという形容ではなにか足りない。ポソポソ、ポソソン、パソパソ、パスパス、パかポで形容されることが一番似合うと思う。

たまたま地元の食料品店で見つけ興味尽きぬまま1つ買って帰ったのだが、まだ積まれて売っているので人にも進呈するつもりで3袋を持ちレジに並んでいると、他の列に並んでいる奥さんAが「それはパン?美味しいの?3つも持っているのね」と話しかけられ、自分の前に並んだ別の奥さんBも振り返りざま「私も気になっていたのよ」と。

美味しいと断言出来ず「ちょっと珍しくて、人にも上げようかなと思って」と狼狽していると「私も買ってみる」と奥さんAが。

決定的に美味しいと言うわけでもなく、それでいて美味しくないというわけでもない。

ただ1つ自信を持って言えることは必ずお好きな飲み物を供して召し上がる事をおすすめする。自分に言えることはこれだけであり、このラインケーキが近場で今後も売られるのであれば週に1度は必ず買うであろうと断言する。

人としての在り方の啓示を得たような気もするけれども多分気のせいかもしれない。


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