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【Covid Quarantine Birding <タマシギ>】

先日久しぶりにタマシギ(Greater Painted Snipe)のメスとオスを観察しました。
タマシギは、NHKの「ダーウィンが来た」でも特集を組んでいたので、その生態はご存知の方も多いはず。
鳥類では珍しく、オスよりメスの方が派手な模様をしてる(写真)。そしてメスがオスに対して求愛ディスプレイを行います。「ねぇ、私を選んでよ」とメスがアピールするのです。
あのくっきりとした魅力的な瞳で!
それはタマシギが「一妻多夫(ポリアンドリー)」という生存戦略をとっている生物だから。
鳥類ではタマシギの他にアカエリヒレアシシギが一妻多夫です。
一夫一婦(モノガミー)や一夫多妻(ポリジニー)の鳥類は多いけど、一妻多夫は珍しく、鳥類全体の約0.4%が一妻多夫だそうです。

メスの魅力に魅了されたオスはつがいになり、メスは産卵します。そしてそれ以降の抱卵から子育てまでをそのオスに任せてメスは別のオスを探す旅に出かけます。そして新しいオスとつがいになり産卵し、、、というのを続けていきます。

実は最近の研究で、一妻多夫制をとって生まれた子どもの生存率は、一夫一婦制に比べて約3倍高いということが明らかになりました。種の繁栄という意味では一妻多夫の方が有利らしい。
これは精子の高受精率を誇るオスほど、生命力が強い子供を残すからなのだそうです。(オーストラリア国立大学の研究による)

さて、タマシギの仲間は世界に3種類います。
・タマシギ(アフリカからアジアまで生息)
・オーストラリアタマシギ(豪州に生息)
・ナンベイタマシギ(南米に生息)

ナンベイタマシギは、チリとアルゼンチンで狩猟対象の鳥で、日本のタマシギみたいにオスとメスの模様の差異がはっきりしていません。しかし個体数は安定しているそうです。
僕らが日本で観察できるタマシギは、日本では湿田や沼地の減少により、個体数の減少が懸念されています。だけどアフリカからアジア一帯にかけて広く生息していてとりあえず安心。
一番やばいのは、オーストラリアタマシギ。全個体数が数百から数千しかいない。これは生息地である沼地が放牧地に転換されたり、河川管理の結果、水の塩類化が進んでしまったためと言われています。
オーストラリア環境省は、この鳥の保護のために法律による規制等いくつかの施策を実施しているそうです。

いくら一妻多夫制の方が生存戦略に有利だからって、そもそもの生息地を人間が破壊してしまっては元も子もない。
タマシギの個体数の減少は、環境破壊を続ける人間に警告を与えているようです。

#野鳥  #バードウォッチング #タマシギ

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