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【Covid Quarantine Birding <チュウシャクシギ>】

東京も緊急事態宣言が解除されましたが(何回目?-笑)、最初の緊急事態宣言の時、友だちと「遠くに出歩かけずに地元(東京都湾岸の某区)だけでどんな鳥が見つけられるか」という活動をしてたことがあります。
そんな中、2人で荒川沿いを歩いていて見つけたのがチュウシャクシギの群れ。
都市部であっても、餌となるカニが生息する干潟があればチュウシャクシギは来てくれるんだなぁと、とても嬉しくなったものです。
東京では渡りの規制に多摩川、荒川、江戸川あたりの干潟で採餌している姿を見かけることがあります。

僕らが見かけるチュウシャクシギ(Eurasian Whimbrel)は、オーストラリアで越冬し、シベリアで子育てします。その渡りの途中で日本にも立ち寄ってくれるます。
ちなみにWhimbrel(ウィンブロウ)という英語名は、チュウシャクシギの鳴き声が由来となっています。バードウォッチングをテーマにしたコメディ映画「The Big Year」(邦題:ビッグ・ボーイズ しあわせの鳥を探して)で、主人公のお気に入りの女の子が皆の前で「この鳴き声分かる?」と鳴き真似して、「ああ、Whimbrelだね」とやり取りするシーンがあります。

この鳥の渡りの特徴は、「一番最初に日本にやってきてくれる」こと。春の渡りの季節に真っ先に飛来してきてくれるのがチュウシャクシギ。
地味な鳥なので、野鳥写真の品評会には全く不向き。バーダーの皆さんは春先にとりあえずチュウシャクシギの写真を撮ってから、他の渡り鳥がやって来るのを待つって感じ。
シベリアで子育てが終わったら、これまた一番最初に戻ってきてくれるのもチュウシャクシギ。
ちょうど今頃(6月中旬)は、母なる大地ロシアで子育ての真っ最中だと思います。

チュウシャクシギは以前はユーラシア大陸のと北米大陸のをまとめてWhimbrelと呼んでいましたが、最近「こいつら別種じゃん!」というのが分かり、Eurasian Whimbrel(ユーラシアのチュウシャクシギ) とHudsonian Whimbrel(ハドソン川のチュウシャクシギ)の2種に分類されました。
生物学的な分類では、学名Numenius・英語名Curlew(ダイシャクシギ)の仲間は、このチュウシャクシギ2種を含めて世界で9種類が確認されています。

チュウシャクシギ(Eurasian Whimbrel)
チュウシャクシギ-北米(Hudsonian Whimbrel)
シロハラチュウシャクシギ(Slender-billed Curlew)
ダイシャクシギ(Eurasian Curlew)
アメリカダイシャクシギ(Long-billed Curlew)
ホウロクシギ(Far Eastern Curlew)
コシャクシギ(Little Curlew)
エスキモーコシャクシギ(Eskimo Curlew)
ハリモモチュウシャク(Bristle-thighed Curlew)

この分類を見たら分かるようにCurlew(英語名としてのダイシャクシギ)とWhimbrel(チュウシャクシギ)を合わせて、Curlewと分類します。
エスキモーコシャクシギは近年見つかっておらず、おそらく1960年代前半に絶滅してしまったのではないかと考えられています。(残念)

チュウシャクシギは、19世紀には狩猟のため激減してしまいましたが、その後個体数を回復しました。そして注目すべきは、人間の農耕地開拓の影響でチュウシャクシギの生息域が過去100年で大きく変化していること。
人間が埋立地を整備したり、荒地を耕作したことでチュウシャクシギの生息域が広がった一方、スカンジナビア地方では植林によって生息域が減少しています。

今はベイエリアの野鳥観察としてはデッドシーズンであまり見る鳥はいないのですが、秋の足音が聞こえる頃、今度は子どもを連れて「ウィンブロウ!」と鳴きながら、チュウシャクシギが戻ってきてくれることでしょう。

#野鳥  #バードウォッチング #チュウシャクシギ

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