4/5 記憶喪失

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  記憶喪失になる夢を見た。わたしは両隣の人と手を繋いでバスの一番後ろの席に座っている。2人は全く知らない人だけれど、何故かわたしにとても優しい。このバスは3人の思い出の場所に向かっているのだという。きっとその場所へ行くことで、わたしの記憶が蘇ることを期待しているのだろうなとわかった。でも、わたしに心当たりはない。
  目的地に着いたのか、2人に手を引かれてバスから降りる。そこは砂利石の敷きつめられた駐車場のような広場だった。石の隙間から短くて青い草が伸びている。広場の奥には大きな鉄塔のようなものが見える。2人が期待の籠った目でわたしを見つめるけれど、わたしが何も思い出さず何の感動も得ていないようすを見て、怒りはじめた。なんで思い出さないんだ、薄情者、ここまで連れてきてやったのに、と。だけどわたしに心当たりはない。今となっては2人の顔も思い出せない。

  駅のホームで見知らぬお兄さんに絡まれた。後ろから肩を叩かれて、話しかけられて、髪を触られて、何度も「チョップ!」と言いながらはたかれた。気持ちがびっくりして、人に助けを求める方法が思い浮かばなかった。彼はきっと精神的な障害を患っている。そうだと思わなければ恐ろしくて眠れそうにない。そういえば最近、道行く人に絡まれる以外で男性と話していない。少し、それってどうなの?と思う自分がいる。

  ゼミのオリエンテーションで顔合わせをした。なんと同じサークルだった子、わたしが辞めたけど、がトロンボーンを背負ってやって来ていた。彼女は世間的な言葉で形容するならギャルの部類に入る人で、今日も長い足の8割を晒していた。近年鬱になっていた自己紹介は、今日に限ってなんだか落ち着いて話せた。彼女は「好きな決まった画家ぁ?とかはまだいないんですけどっ!」という感じで話していた。ラフな話し方を見習いたいなと思った。

  ゼミが終わって帰路に着く。15時を過ぎたけれど、昨日に引き続いて今日もまだお昼ご飯を食べていない。3限から行く日はお昼ご飯を食べるタイミングを掴めない。またバイトまで少し時間があるなぁと思っていたところ、学生課から呼び出しがあったので学校に戻ることにした。ついでにセブンイレブンでハムのサンドイッチと無糖のカフェオレを買った。実は恥ずかしいことにカフェオレとカフェラテの違いがわからない。でも、謎は謎のままで価値があると思うので、自分から調べることはしない。

今日は思っていたよりも暑い。と思っていたら、夜は寒い。服選びが難しい。

帰りのバスにマックの匂いが充満している。誰ですか、けしからん。

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