「2020年度人事院勧告・報告」について(談話)

2020年10月28日
社会民主党幹事長 吉田 忠智

1.2020年度人事院勧告・報告について、人事院は、10月7日に、一時金の支給月数を0.05月引き下げる給与勧告と公務員人事管理に関する報告を行っているが、本日、国家公務員の月例給の改定を行わないとする報告を行った。

2.一時金について、2010年以来10年ぶりの引き下げとなった。新型コロナウイルス感染症や頻発する大規模災害をはじめ、国民の命と暮らしを守るために奮闘している公務労働者の努力や心情を鑑みれば、きわめて残念である。

3.月例給与について、官民較差は公務員が上回ったが、△0.04%(△164円)と極めて小さいことから、2013年度以来7年ぶりの据え置きとなった。今年4月時点の調査に基づくものであることや、2020春闘や各種統計調査の結果などを踏まえれば、やむをえないものであると受け止める。

4.新型コロナウイルス感染症に対する不安の中、文字通り身を挺して公務・公共サービスの維持に全力で努力している、公務労働者の処遇改善を図っていく必要がある。長時間労働や過密労働、メンタル問題の是正、過労死の防止、職場の勤務環境の改善、臨時・非常勤職員の均等待遇、公務分野の実効あるパワハラ対策等について、積極的に進めていくよう求めていく。また、良質な公共サービスを提供するとともに、人間らしい働き方を取り戻すためにも、政府の定員管理政策を改めさせ、必要な要員の確保をはかっていかなければならない。

5.国家公務員給与の改定は、地方公務員や独立行政法人職員、政府関係法人職員、地場の中小企業労働者などにも影響が及ぶ。月例給及び一時金について、民間給与の調査を踏まえた内容として受け止め、勧告・報告通りの実施を求めるとともに、給与法改正案の会期中の成立に全力を挙げる。

6.公務においても、雇用と年金の連携を図り、職員が高齢期の生活に不安を覚えることなく、職務に専念できる環境を整備することが重要な課題であるが、政府・与党は、公務員の定年延長のための国家公務員法改正案の再提出を見送った。国家公務員・地方公務員の定年延長のスケジュールが遅れる可能性も生じている。黒川弘務・元東京高検検事長の定年延長を「後付け」で正当化するなど、恣意的な検察庁法改正案の問題部分を削除し、早急に定年延長法案の提出・成立を図るよう求めていく。

7.社民党は、公務員の労働基本権問題は、すべての働く者の尊厳に関わる問題であるとともに、より質の高い公共サービスに資するものであり、公務員の労働基本権の回復と自律的労使関係制度の確立をはじめとする、民主的な公務員制度改革の実現をめざし取り組みを一層強化していく。

以上

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