中村哲医師の訃報に接して(コメント)

2019年12月4日
社会民主党党首 又市征治

 アフガニスタンやパキスタンで支援活動を行うNGOで、長年にわたる医療支援や灌漑事業などの活動を行ってこられた「ペシャワール会」現地代表の中村哲医師が本日、亡くなったと報じられています。当初、命に別状はないとされていただけに、本当に信じられないし、残念な思いで一杯です。中村さんの命を奪った暴力を決して許すことはできません。中村さんの活動と功績に深甚なる敬意を表しますとともに、心からご冥福をお祈り申し上げます。

 1984年からパキスタン北部のペシャワルで医療活動に従事。隣接するアフガニスタンにも活動領域を広げ、2002年からは農村復活事業「緑の大地計画」に取り組み、7年かけて全長25.5kmの農業用水路を完成させ、農地を蘇らせてきました。そうした中村さんには、社民党としても、自衛隊の海外派遣が進められようとする中、議員の勉強会や国会の活動などで大変お世話になりました。現地で活動している中村さんの思いや経験がいかに大きなものだったのかと感じており、今も中村さんが熱く語る姿を思い出します。

 「武器など絶対に使用しないで、平和を具現化する。それが具体的な形として存在しているのが日本という国の平和憲法、9条ですよ」、「9条があるから、海外ではこれまで絶対に銃を撃たなかった日本。それが、ほんとうの日本の強味なんですよ」、「危険だと言われる地域で活動していると、その9条のありがたさをつくづく感じるんです。日本は、その9条にのっとった行動をしてきた。だから、アフガンでも中東でも、いまでも親近感を持たれている。これを外交の基礎にするべきだと、僕は強く思います」、「対立は仕方なくとも、平和的手段で克服し、協力して人間全体がいかに生き延びていくかという道を探るべきです。戦争はゲームではない。平和を追求していくためには、まず日本自身が平和的になることです。だからこそ、戦力・交戦権の否認と戦争放棄を定めた憲法第9条は大切で、9条がなくなれば日本らしさもなくなる」。9条をバックボーンに、武装勢力が出没する危険な地域で体を張って活動を続けてこられた中村哲さんの言葉を重くかみしめ、しっかり受け継いでいきます。安らかにお眠り下さい。

以上

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