戦後最悪の落ち込みとなった2020年4~6月期のGDPについて(談話)

2020年8月17日
社会民主党幹事長 吉田忠智

1.本日、内閣府は、2020年4~6月期の国内総生産(GDP、季節調整値)の速報値が、物価の変動を除いた実質で前期比7・8%減、年率換算で27・8%減となり、リーマン・ショック後の09年1~3月期の年率17・8%減を上回る戦後最悪のマイナス成長を記録したことを発表した。新型コロナウイルスの感染拡大で個人消費が激減したことだけでなく、アベノミクスの破綻を内外に示すものである。戦後最悪の経済危機にあることを重く受け止め、アベノミクスの検証・総括を行い、新型コロナを踏まえた、実効性ある新たな経済政策に転換すべきである。

2.「経済のアベ」を自認する安倍政権は、「三本の矢」を柱とするアベノミクスによって、「いざなみ景気」を抜き、景気拡大が戦後最長となったと誇り、昨年10月に消費税を増税した。しかし、戦後最長の景気拡大は幻であった上、既に後退局面に入っていたところに消費増税を強行し、そこに新型コロナが追い打ちをかける形となったことを猛省すべきである。日銀の異次元の金融緩和が演出した「円安・株高」を追い風にトリクルダウンを進めたが、経済成長率も年平均1.1%にとどまる「実感のない景気拡大」に終わり、大企業や富裕層の優遇の一方で、格差や貧困の拡大をもたらした。

3.GDPの6割弱を占める個人消費は、民需を中心とした持続的な経済成長の要であるが、感染リスクによって消費は大きく萎縮し、需要消失を招いている。安倍政権は「二兎を追う」というが、経済優先路線の先走りが最近の感染拡大につながっているし、感染への不安を拡大させている。感染症の拡大にある程度の歯止めかからなければ、個人消費の拡大は困難であるし、企業活動も活発化せず、インバウンド需要にも期待できない。個人消費の増加で企業の生産活動なども高まる好循環をもたらすためにも、感染リスクを低下させる政策を重視し、検査体制の大幅な拡充と医療提供体制の確立にこそ優先すべきである。

4.企業倒産による解雇や「派遣切り」、労働条件の一方的引き下げなども進み、雇用についてもリーマンショック以来の雇用危機が危惧される。コロナによる雇用危機を全力で防がなくてはならない。しわ寄せを働く者や弱い立場の者に押しつけるのではなく、すべての人の雇用や生存保障を早急に実現することが不可欠である。

5.国会を閉じて、一連の問題や疑惑の追及から逃れようということは許されない。新型コロナ対策や経済対策、働く者や社会的弱者が安心できる対策を議論するためにも、安倍政権に対し、憲法に基づく臨時国会開会要求に誠実に応えるよう求める。国会も開かず、記者会見も行わず、閉会中審査にも出席せず、最近の感染拡大に無為無策で、戦後最悪の経済の落ち込みを傍観するだけなら、潔く総辞職すべきである。社民党は、新型コロナと戦後最悪の経済危機を乗り越えるためにも、安倍政権に代わるコロナ後の社会像や国家像をしっかりと打ち出し、国民の命と健康、くらしを守るためこの社会のありようを根本的に改めていくため、全力をあげる。

以上

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