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科学雑誌を素人が読む[485]

『サイエンス』2021-10-21号書評ページでは、鳥の進化に関する新刊が紹介されている。鳥類進化を説明する決定版とうたわれているようだ。鳥好きとして大いに気になる。

タイトルは『鳥類はいかに進化するか』(How Birds Evolve)――現在形には何か含みがあるのだろうか? 副題は「科学が解き明かす鳥類の起源、生活、そして多様性」(What Science Reveals about Their Origin, Lives, and Diversity)。著者は著名な鳥類学者で版元は大学出版局。だからといって、必ずしも専門的な文体ではないもよう。記事には「各章は会話形式で構成されており……」(the chapters are composed in well-written conversational prose...)と書かれており、一般人も読者として想定されているようだ。[出版社のサイト

なぜ決定版が今日こんにち出るのか? と言えば、鳥の系統樹がゲノム研究の知見によって書き換えられる作業が2014年に終了したからという背景があるらしい。従来は、個体の形状などから種の位置づけが行われていたものが、DNAの配列から種の相互関係をはっきりさせたということだろう。

「生物の進化」などと大枠で言われるととあまりの種の多さにとりとめのなさを感じてしまうが、鳥類に限定されているならば素人でもついていけそうな気がする。鳥たちはどんなルートでこの地球上で進化してきたのか? どんな形質/表現型が残ってきたのか? に注目して、そのコンテクストをあれこれ想像しながら読むのは楽しそうだ。さらに言えば、「来し方」を押さえることで「行く末」を想像することもできるかもしれぬ。

320頁のハードカバー。専門のこまかい話はまずはどうでもいい。大づかみに鳥の進化の図を知りたい。日本語版が刊行されるとウレシイ。■

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