エンジンコントロール1/基本電気系統

今回は、超診塾SuperDiagLesson ver1.1.1
エンジンコントロール1/基本電気系統を解説します。

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電気系統の基本原理

電気系統の基本原理に対する知識は、エンジンコントロールユニット(ECM)回路のオペレーションを理解するために必要不可欠です。
これから、いくつかの概念について復習しましょう。
ここに示されている回路は、バッテリに接続されている単純な直列回路です。

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図のように、スイッチが開き、電流が流れていない状態です。
バルブが装着されていますが、点灯はしていません。
電流が流れていないときには電位差が発生しないので、バルブのアース側(2番)の電圧は12Vとなります。

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スイッチが閉じると、電流が流れます。
このときバルブのアース側(2番)電圧は0Vとなり、バルブが点灯されます。

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では、次にスイッチを可変抵抗器に交換した状態で見てみましょう。
可変抵抗器の抵抗が低いと、2番での電圧は0Vに近い状態で、バルブが明るく点灯します。

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可変抵抗器の抵抗を増やすと、2番での電圧も増え、バルブが徐々に暗くなります。

つづいてふたつの状態のインプット回路

ツーステートインプット回路

を解説します。

これらのコンセプトをECUのツー・ステート・インプット回路に当てはめてみましょう。
ECUには12Vの基準電圧と内部プルアップ抵抗があります。
ECUセンサの基準電圧は、通常12Vまたは5Vです。
この図は、スイッチが開いている状態を示しています。

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ECU電圧計回路は、2番での電圧を見ています。
回路が開いているとき、ECUは高電圧を検出します。

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この図は、ツー・ステート・インプット回路スイッチが閉じている状態を示しています。
この回路が閉じている状態のとき、ECUは0Vを検出します。

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この図は、ECUがエンジン水温(ECT)センサをモニタしている状態を示しています。
このセンサは、負の温度係数(NCT)サーミスタです。
この例では、センサの基準電圧が5Vとして設定されていることを覚えておいてください。
ECTはNTCセンサなので、温度の上昇に伴ってセンサ抵抗が減少します。
センサ抵抗が減少すると、信号電圧も低下します。
このセンサは、温度変化に伴って連続的に変化するアナログ信号を供給します。

ECUは、センサ電圧信号をモニタし、異常な状態が発生するとDTCをセットします。
ECUが認識することができる不具合は、次の3種類です。
1、アース側へのショート
2、オープン回路
3、ポジティブ側(+側)へのショート

アース(-)へのショート

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この図は、センサ回路がアースへショートしている状態を示しています。
このときのECUセンサ信号電圧は0vで、ECUがこの電圧を不具合として認識します。
ECUは「DTC P0117-ECT センサー・サーキット・ロー」を保存し、チェック・エンジン・ランプを点灯します。

オープン回路

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この図は、センサ回路が開いている(断線している)状態を示しています。
このときのECUセンサ信号電圧は最大基準電圧である5Vで、ECUはこの電圧を不具合として認識します。
ECUは「DTC P0118-ECT センサー・サーキット・ハイ」を保存し、チェックエンジンランプを点灯します。

ポジティブ(+)へショート

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この図は、センサ回路の中で、ポジティブ(+)へショートしている状態を示しています。
ECUセンサ信号電圧は再び5Vとなり、ECUがこの電圧を不具合として認識します。
ECUは「DTC P0118-ECT センサー・サーキット・ハイ」を保存し、チェックエンジンランプを点灯します。
お気付きでしょうか?オープン回路またはポジティブ(+)へのショート状態とは、同じDTCを発生することに留意してください。

以上、超診塾、SuperDiagLesson ver1.1.1、エンジンコントロール1の基本電気系統をお届けしました。

ここで、ご紹介した事柄は電装の基本です。

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