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ヘッドライトの点灯が燃費に影響するか?

【実験の目的】

乗用車の燃費の測り方は、「軽・中量車排出ガスの測定方法」で決まっていて、所定の条件で走行させます。
モード走行(所定の車速パターンに沿って走行)したときに排出されるCO₂排出量から求めた燃料消費量と走行距離から、燃料1Lあたりの走行距離を算出してモード燃費(燃費)を評価します。
モード燃費の評価には、高い再現性や公平性が要求される。
装備品によって実燃費は左右されますが、モード走行中は、エアコンやヘッドライトは使用していませんでした。

この研究の、題材になっているヘッドライトについては、高効率なLEDが採用されることによって、従来のハロゲンランプと比較して消費電力の削減が期待されますが、ヘッドライトは主に夕方から夜間に使用されるので、ヘッドライトの使用頻度を考慮して評価をする必要があります。
例えば、エアコンを使用しているときに、アイドルストップ機能が無効になるとかの、ある装置または機能が働いているときに燃費向上機能が無効にされるケースがあるので、車両制御も考慮に入れなければなりません。

この研究は、モード燃費の評価に使用されない、ヘッドライトがモード走行時に燃費影響を、補機バッテリーの充電制御や燃料カットなどの車両制御に注目して評価するとともに、ヘッドライトの使用頻度の代表値を推定して、ヘッドライトの点灯が実燃費にどう影響するかを試算します。

【排ガス試験】

排ガス試験は、主にJATA(日本自動車輸送技術協会)とVIA(日本車両検査協会)という2つの組織で行われています。
それぞれの機関は、排ガス試験以外にも、自動車に関係する公的検査を行っています。
JATAは、社外マフラーなどの騒音対策性能試験、電気自動車やハイブリッド車の試験、新燃料を使用した車両の試験、タイヤの燃費評価試験、自動車灯火試験、ナンバープレートの品質基準適合確認試験、自動車用品の保安基準適合試験などを行っています。
VIAは、自転車、ヘルメット、自動車用ガラス、自動車用ランプや道路標識などの反射板、自動車用部品の環境試験、ベビーカーの製品安全試験、アルミホイール試験を行っています。

【試験装置】

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排ガス試験装置は、公的試験機関以外にも、自動車メーカー各社でも所有していて、関連の機関も所有しています。
主な装置は、シャシダイナモと排ガス分析装置です。
この研究では、電力消費量の計測も実施するので、電圧計や、OBD診断機も使用して行っています。
OBD診断機は、制御システム内部の作動状況と充電量、車速などをモニタするために使用したようです。

【試験車両】

試験車両はメーカー不明で、平成30年度排ガス規制をクリアしていて、ハイブリッドではない過給機付きガソリンエンジンの乗用車で、アイドリングストップや充電制御などの燃費対策された、平成27年度燃費基準を達成している車両です。
燃料は、市販されているハイオクガソリンを使用しました。
補機バッテリーは新車時から搭載されている鉛蓄電池で1年9か月経過しています。
エンジンは過給機付き直列4気筒の2.0LでGDI&VVT、アイドルストップ機能付きの、後輪駆動車で車両重量は1700kg、27800km走行していた車両を使用しました。
ちなみに、この試験で判明したのですが、使用過程にあるこの車両は、新型車両としての審査を受けた状態と、変化がないことが分かったようです。
つまり、審査を受けていた時と、同党の排ガス浄化性能があったようです。

【試験条件】

試験の条件は、JC08モードとWLTCモードに従って、モード走行を実施して、排ガスの成分と燃費を測定します。

燃費測定モードについて 国土交通省HPより

グラフの通りに、時間内に設定された速度まで上昇させ、時間内に停止させる工程を繰り返すことで、一般道での走行条件にできる限り近づけています。
試験の時は、暖気された状態でのモード走行を行った後、6~36時間にわたって車両を放置しておき、放置後に、冷間時からモード走行を実施という流れになります。
通常と違うのは、放置している間に、補機バッテリーを故意に放電させ電圧を故意に低下させている点です、

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