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SDGs目標8「働きがいも経済成長も」解説!|日本の事例やターゲットまとめ

今回はSDGs目標8「働きがいも経済成長も」について解説します。

目標8は、女性の社会進出や同一労働同一賃金といった日本でも話題の内容が詰まっている、働く世代にとって注目すべき目標のひとつです。

目標8が定められた背景にはどのような理由があるのでしょうか?

■2030年を期限とした国際目標「SDGs」

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SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標、エスディージーズ)は、2015年の国連「持続可能な開発サミット」にて全会一致で採択された「2030アジェンダ」の要となる、2030年を期限とした国際目標です。

「誰一人取り残さない」という宣誓のもと定められた17の目標と169のターゲットで構成されています。

以下にSDGsの目標をまとめました!

【SDGs17目標一覧】
・目標1「貧困をなくそう
・目標2「飢餓をゼロに
・目標3「すべての人に健康と福祉を
・目標4「質の高い教育をみんなに 
・目標5「ジェンダー平等を実現しよう」
・目標6「安全な水とトイレを世界中に」 
・目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」
・目標8「働きがいも経済成長も」
・目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」
・目標10「人や国の不平等をなくそう」
・目標11「住み続けられるまちづくりを」
・目標12「つくる責任 つかう責任」
・目標13「気候変動に具体的な対策を」
・目標14「海の豊かさを守ろう」
・目標15「陸の豊かさも守ろう」
・目標16「平和と公正をすべての人に」
・目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」

ターゲットは目標毎に設定されている項目です。該当する目標を達成するために、「どんな問題を解決しなければならないのか」、「未来のために何を実現すべきなのか」がまとめられています。

たばこ規制や教育無償化など、私たちの生活にも影響を与えることがたくさん明記されているので、一度目を通しておくのがオススメ★

▼ターゲット一覧はこちら!
ノハム|SDGsの目標とターゲットまとめ!ロゴと共に紹介します

SDGsが私たちの生活に与えた主な影響は以下にまとまっています。

■SDGs目標8「働きがいも経済成長も」概要とターゲット一覧|ディーセントワークとは?

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目標8は、”包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する”ことを目的に設定されました。

【ディーセント・ワークとは】
1. 安定して働く機会がある。

2. 収入は十分(生活し、今後に備えて貯蓄ができる賃金)である。

3. 仕事とプライベート(家庭生活)のバランスが取れている(長時間労働に苦しんでいない)。

4. 雇用保険、医療・年金制度に加入している。

5. 仕事で性別 (女性だから、男性だから)、性的指向・性自認による不当な扱いを感じることはない。

6. 仕事で身体的、精神的危険を感じることはない。

7. 働く人の権利が保障されていて(組合に入れる、作れる、会社と交渉できる)、職場での相談先がある。

8. 自己の成長、働きがいを感じることができる。

(参照:日本労働組合総連合会|ディーセント・ワークの実現

目標8は、ディーセントワークを実現することが、結果的に経済成長に繋がっていくということを伝えていると捉えることができますね。

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目標8では、ディーセントワークと経済成長において、何を実現し、何を解決しなければならないと考えているのでしょうか?

まずはターゲットをご覧ください。

【目標8達成に向けた12個のターゲット一覧】
8.1) 各国の状況に応じて、一人当たり経済成長率を持続させる。特に後発開発途上国は少なくとも年率7%の成長率を保つ。

8.2) 高付加価値セクターや労働集約型セクターに重点を置くことなどにより、多様化、技術向上及びイノベーションを通じた高いレベルの経済生産性を達成する。

8.3)
 生産活動や適切な雇用創出、起業、創造性及びイノベーションを支援する開発重視型の政策を促進するとともに、金融サービスへのアクセス改善などを通じて中小零細企業の設立や成長を奨励する。

8.4)
 2030年までに、世界の消費と生産における資源効率を漸進的に改善させ、先進国主導の下、持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組みに従い、経済成長と環境悪化の分断を図る。

8.5)
 2030年までに、若者や障害者を含む全ての男性及び女性の、完全かつ生産的な雇用及び働きがいのある人間らしい仕事、並びに同一労働同一賃金を達成する。

8.6)
 2020年までに、就労、就学及び職業訓練のいずれも行っていない若者の割合を大幅に減らす。

8.7)
 強制労働を根絶し、現代の奴隷制、人身売買を終らせるための緊急かつ効果的な措置の実施、最悪な形態の児童労働の禁止及び撲滅を確保する。2025年までに児童兵士の募集と使用を含むあらゆる形態の児童労働を撲滅する。

8.8)
 移住労働者、特に女性の移住労働者や不安定な雇用状態にある労働者など、全ての労働者の権利を保護し、安全・安心な労働環境を促進する。

8.9)
 2030年までに、雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業を促進するための政策を立案し実施する。

8.10)
 国内の金融機関の能力を強化し、全ての人々の銀行取引、保険及び金融サービスへのアクセスを促進・拡大する。

8.a)
 後発開発途上国への貿易関連技術支援のための拡大統合フレームワーク(EIF)などを通じた支援を含む、開発途上国、特に後発開発途上国に対する貿易のための援助を拡大する。

8.b)
 2020年までに、若年雇用のための世界的戦略及び国際労働機関(ILO)の仕事に関する世界協定の実施を展開・運用化する。

目標8のポイントは4つ!

1. 労働条件や労働環境の改善
2. 労働者の権利を保護する
3. 就業や労働に対する将来への不安を無くす
4.途上国の問題解消

ターゲットを見てみると、途上国における労働に関する問題の解消と、先進国でも進められている同一労働同一賃金・ジェンダー平等の実現のほか、ターゲット8.6のように教育に関することもあるようです。

このように、目標8は他の目標の達成にも貢献するものと言えるでしょう。

続いて、目標8が必要とされている主な理由をご紹介します。

■目標8が必要な理由①「ワーキングプア」

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ワーキングプアとは、「働く貧困者」とも呼ばれるように、仕事に就いているにも関わらず貧困から抜け出せないことを指します。

ILOの年次報告書「世界の雇用および社会の見通し(World Employment and Social Outlook)」によると、ワーキングプアは世界に7億人いると公表。

7億人もの人々が、国際貧困ラインで定められている1日1.90ドル(=約200円)に近い、1日3.2ドル(=約320円)での生活を強いられています。

【国際貧困ラインとは】
世界銀行が定めた貧困を定義付けるボーダーラインのこと。

正規雇用と非正規雇用での労働条件の大きな違いもワーキングプアを増加させるひとつの原因とされています。

ところで、貧困は2種類のカテゴリーが存在するのをご存知ですか?

【絶対的貧困】
人として最低限の生活が維持できない状態のこと。

【相対的貧困】
世帯の所得が、国の平均的な所得の半分に満たない状態のこと。

主に途上国は絶対的貧困が多く、先進国は相対的貧困が多いとされていて、日本でも貧困問題が深刻化しています。

▼ノハム|SDGsの目標1とは?意味や事例について解説します

総務省「労働調査」によると、日本における役員を除く雇用者に占める非正規の職員・従業員の割合は37.2%(2093万人)。さまざまな業種で派遣やアルバイトが多くを占めているほか、シングルマザーがワーキングプアであることも問題となっています。

相対的貧困は、見た目からは分からないのが特徴です。また、相対的貧困となる原因も国によってさまざまありますが、労働条件の差による所得格差の拡大も相対的貧困の原因とされています。

■目標8が必要な理由②「雇用の不足」

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人口は年々増え続けており、現在約77億人の世界人口は、2050年には97億人に達するとの予測も出されました。そのなかで注目するのは生産年齢です。

【生産年齢とは】
生産活動(=労働など)の中核を担う15~64歳の人。

内閣府によると、1950年に15.3億人だった世界の生産年齢人口は、2010年には45.2億人と約3倍となっているとのデータを公表。人口爆発とされるように、途上国の経済成長に伴う人口増加もあり、世界では生産年齢人口に対する雇用が4臆7000件以上足りていません。

▼内閣府「世界の労働市場」

仕事に就けないことは、生活の基盤がままならないことを意味しています。

貧困に陥りやすくなるほか、貧困が児童労働や教育問題に発展、最終的には飢餓状態に陥る可能性も。

■企業によるSDGs目標8取り組み事例①「ケイウノ」|オーダーメイド勤務制度でキャリアを継続!

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育児や介護をはじめとするライフスタイルの変化によって、フルタイム勤務が困難となり、非正規雇用に職を変えるケースは珍しくありません。

ケイウノでは、一定の条件を満たした社員を対象とした「オーダーメイド勤務制度」を導入することで、法定の育児短時間勤務よりも長期間の時短勤務ができたり、曜日を限定した働き方ができたりと、変化するライフスタイルに柔軟に対応。

社員に大きなライフスタイルの変化が起きてもキャリアを継続できる制度と言えるでしょう。

ケイウノによると、2019年6月時点で約15%の社員が利用。在宅勤務、男性の利用もあるとのことで、ジェンダー平等にも貢献しているようです。

■企業によるSDGs目標8取り組み事例②「大和ハウス工業」|働くママを応援!業界初のマルチ派遣を導入

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大和ハウス工業は、千葉県流山市に自社最大の延床面積を誇るマルチテナント型物流施設「DPL流山Ⅳ」に着工しました。DPL流山Ⅳは業界初のマルチ派遣を導入したことでも注目されています。

【マルチ派遣とは】
子育てと仕事の両立を実現するために、派遣先と同じエリアにあるママスクエア(保育施設)に子どもを預け、商業施設の複数のテナントで働くことができる派遣制度。ママスクエアが保育と派遣業務を担います。

マルチ派遣によって、テナントは人手が確実に確保できるだけでなく、子育てを理由に働きたくても働けないお母さんもキャリアアップが可能です。また、テナント内のさまざまな業種の経験が積めるのも魅力!

DPL流山Ⅳでは働き方改革として、ママスクエアによる保育施設のほか、従業員専用のコンビニエンスストアを完備、また、住居情報の提供と入居時の諸経費を優遇するなどを実施しています。

■フェアトレードで途上国を支援しよう!

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フェアトレードは公正公平な取引とも称される貿易システムのこと。

主に対先進国との取引において立場が弱くなってしまう途上国の生産者の生活自立を支援するもので、生産者は正当な報酬を受け取ることができ、消費者は適正価格で商品を購入することができます。

生産者の生活基盤が安定することで、貧困や飢餓から脱することができたり、子どもが学校に通えるようになったり。

そういった意味では、目標8以外の目標にも貢献する貿易と言えますね!

ちなみに!

フェアトレードと言えば、カフェやスーパーマーケットで見掛けるコーヒー豆が有名ですが、実は他にもたくさんの商品があります♬

【代表的なフェアトレード商品】
・コーヒー
・ 紅茶
・ カカオ由来の製品
・ 砂糖
・ ハチミツ
・ フルーツ(加工品を含む)
・ ナッツ類
・ ワイン
・ スパイス
・ ハーブ
・ オイルシード
・ 穀物
・ コットン製品
・ 化粧品
(参照:FAIR TRADE JAPAN|国際フェアトレード基準による製品

いつも使っているアイテムの原材料になっていることも!ぜひ、身の回りにフェアトレードのものがあるかチェックしてみてください★

■SDGs目標8は私たちにも身近な目標

今回は目標8「働きがいも経済成長も」について解説しました。日本に暮らす私たちにとっても身近に感じられる目標だったのではないでしょうか?

期限を迎える2030年には、どんな働き方がスタンダードになっているのか楽しみですね!

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