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減災防災のデザイン -Design for Disaster Risk Reduction-

【YouTube Social Design online】
減災防災のデザイン -Design for Disaster Risk Reduction-

今回のテーマは、日本が世界に誇れるソーシャルデザインと言っても過言ではない「減災防災のデザイン」です。日本には、1995年 阪神淡路大震災、2011年 東日本大震災、2016年 熊本地震の教訓を活かしながら、進化してきた減災防災のデザインが沢山あります。4つの領域(情報グラフィックデザイン、プロダクトデザイン、空間建築、教育サービスデザイン)から、それぞれ代表的な減災防災デザインをご紹介しながら、講義動画をお伝えします。

まずはこのnoteで、4つの領域から減災防災デザインをチラ見せいたしますので、それぞれのデザインが生まれた背景や特徴は、講義動画の解説をご覧ください。

▼ 情報グラフィックデザインからは「できますゼッケン」と「OLIVE」

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▼ プロダクトデザインからは「防災ブーツ」と「パラコードミサンガ」

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▼ 空間建築からは、紙を活用した建築「紙の大聖堂」と「簡易間仕切りシステム」

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▼ 教育サービスデザインからは「カエルキャラバン」と「人と防災未来センター」

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講義動画では、減災防災デザイン事例の紹介が中心となっていますが、実は「災害を生き抜く、被害を最小限にする」という減災防災の基本原理から生まれる、重要なデザインのポイントも終盤でお伝えしていますので、このnoteで詳しく記しておきたいと思います。以下の図は、デザイン学者のリチャード・ブキャナン教授が提示した「デザインの対象領域|4つのオーダー(次元)」です。

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20世紀までは、第1(グラフィックのデザイン)→ 第2(プロダクトのデザイン)→ 第3(インターフェースのデザイン)が、基本的なデザインの対象領域でした。21世紀は、第1〜第3を含む生活・遊び・仕事・教育・組織・政府のための複雑なシステムや環境をデザインする、第4オーダー(次元)がデザイン領域となっています。

私たちを取り巻く社会の課題は、複雑化しています。災害ひとつ取っても、大地震だけでなく、気候変動からもたらされる水害や増水、避難所でリスクが高まる新型コロナ感染など、密接に絡み合った環境が広がっています。今回紹介している減災防災デザイン事例も、「災害を生き抜く環境」が考えられた、第4オーダー(次元)のデザインです。

第4オーダー(次元)のデザインでは、2つのポイントが求められるとブキャナン教授は語っています。1つ目は、複雑に要素が絡み合う課題背景から、システムがデザインできるレベルの重要な「関係」に気づける直感です。建築家の坂茂氏が、簡易間仕切りシステムで「紙で建築をつくり、災害に役立てる」と気づいた直感が、それに当たります。

2つ目は、プリンシパル=基本原理があることです。減災防災デザインには共通して「災害を生き抜く、被害を最小限にする」という明確な基本原理が存在しています。何が正解か?何がソーシャルグッドか?そもそも何でデザインするのか?基本原理を握っていれば、何をデザインでなされるべきかにつながります。

社会課題解決のためのデザイン考える際、複雑な課題背景から「関係」を発見する直感と、事業・政策・プロダクト・経験に統合力を与える基本原理という2つのポイントから考えてみると、前進するヒントが得られるのではないでしょうか。ぜひ講義動画も合わせて、ご覧ください。

VisualNOTE_減災防災

次回予告|ドローンによる海上人命救助
講義動画公開日|2020年11月11日(水)
YouTubeチャンネル|Social Design online

【参照コーナー】
講義動画で紹介している減災防災デザインの事例は、こちらから詳細をご確認いただけます。

▼ 人と防災未来センター公式サイト
https://www.dri.ne.jp/

▼ リチャード・ブキャナン教授の「デザインの対象領域|4つのオーダー(次元)」に関するリンクです。

▼ 経産省資料「デザイン政策の概要」にも、ブキャナン教授の「4つのオーダー(次元)」が引用されています。

「デザイン学者のリチャード・ブキャナンは、デザインの領域を4つの次元、すなわち、「①記号的、視覚的なコミュニケーション、②有形物、③活動、組織化されたサービス、④生活環境、複雑なシステム」で捉えています。このようなデザイン領域の広がりは、印刷物や製品などの目に見えるものから、体験やビジネスモデルといった目に見えないものへの広がり、そして扱う対象自体の問題の複雑性の変化として捉えることができるでしょう。」

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