見出し画像

無意識に、視野が狭くなる現象

ネット社会で、検索すればいつでも簡単に情報にアクセスできるようになりました。でもその反面、全知全能の感じに陥ることも多く、知らずに視野が狭くなっていたり、考え方が偏ったりしている傾向があるんじゃないかっていうお話。

1、ネットは「同じ」でつながっている

検索結果はどうやってでてきますか?これまでの履歴や検索パターン、お気に入りなど、個人のパーソナルデータに基づいて、最適化された結果が検索として出てきます。

その精度は、AIに基づいて、どんどん高度に、より高い精度で出せるようになってきており、まさに「かゆいところに手が届く」な如く、ピタリの場面での提案を出してきたりします。

そうやって、パーソナライズ化された情報と触れ合っていくと、異なるものや、意外性、これまでにない可能性などは排除され、知らないうちに「同じ」考えや価値観に似通ったところに触れ合うこととなります。

SNSのコミュニティーやフォローの関係も同じ。関連性やお互いに見ている人がツイートや投稿に現れ、そして、心地よいところに落ち着いていこうとするのです。

でも、世界は違います。価値観や考え方も違えば、異なる意見を持つ人もいます。批判や非難をする人に、無理に付き合う必要はありませんが、一定の「違った見方」に触れることは、過ちや失敗をする人間にとって、大切な「客観的」視点をもたらしてくれるのです。

叱られたくない、怒られたくない、否定されたくない、断られたくない…

そうやって、自分に向かう嫌なことを全て断ち切ってしまうと、見たくない世界は見えなくなり、見える世界だけが全てであると勘違いしてしまう。それが一番恐ろしいことであろうと思うのです。

2、本は「自分との対話」をするツール

では、どうやって、そんな他者の視点や客観的な見方を持つようにすればいいのか。その1つのツールとして有効なのは「本」です。

本は、作者がいて、考えをまとめて、文章にし、それを物理的なカタチとして「本」にしています。そこに選ばれたコトバや文章にふれることで、自分にはない考え方や見方を知ることができ、それは読み進めながら常に自分との比較や共通性を見出すことができます。

誰かの人と会うことも、大切な「客観視」の手段ではありますが、会う自体は準備や手間、あるいはタイミングも調整せねばならず、また、対面することで「感情的」に向き合ってしまうこともあるため、「考え方」だけに特化する意味では、「本」に軍配があるといえるでしょう。

最近、本に触れ合ったことはありますか?

図書館にいきましたか?本屋にいきましたか?

Amazonで検索すればあっという間に候補が現れ、購入すれば最短翌日で来る。でも、それは「利便性」であり、「パーソナライズ化」されて本の候補が出ている時点で、既にフィルターが掛かったものと言えるかもしれません。

オンラインではなく、リアルに本と触れ合ってみる。目に入る自分が創造を超えるような、あるいは考え方も異なるような本に偶然出会う。そういう場面や時間を増やすことが、多様な考え方を受け入れる点で大切な時間であるのだろうと思います。

バーチャルは「必然」、リアルは「偶然」

出会いの理由にはそういうフィルターがあると考えてみると、その両方を行き来するように、考え方と人生という時間を過ごしていくことが、視野が勝手に狭くなってしまうことを避けるために、必要な心がけのような気がしています。

3、「読後感」に本音がでる

本を読む。それは情報をインプットすること。たくさんの知識や知恵を身につけることは、あらゆる場面の「選択肢」を増やすことになるでしょう。

一方で、読んだ後、自分なりに「考えること」「感じること」もきっとあるはず。関連性を見出すことや共通性を発見すること。あるいは、問題の原因を見つけられることがあるかもしれないし、今すぐにつながる「効率化」や「無駄」を発見できるかも…。

そういうアイデアやひらめきこそが、インプットによって得られる「価値」そのもの。それを頭の中に置いておくのではなく、行動に移すことができるようにするには、アウトプットすることが必要です。

簡単なメモでも構いません。たいそうな文章を作ることも必要ありません。ちょっと「書いておく」だけでいい。箇条書きでもいいです。それが、インプットして、アウトプットする。つまり「自分ごと化」なのです。

「読んだあとに感じたこと」それが、あなたが、異なる考えや見方を交わり、その上に昇華した「自分なりの知恵」です。

すべての物事は、過去の蓄積の上に成立つ。その謙虚な姿勢での学びこそが、あなたをさらに一歩、ひとつ上に進ませてくれるものと思います。


日本と世界を飛び回った各地域の経験と、小論文全国1位の言語化力を活かし、デジタル社会への一歩を踏み出す人を応援します!