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議員の資質は品行方正が第一か?

前項で、丸山議員の戦争発言について触れたが、未だにワイドショー等では、彼の過去の発言を取り上げて「議員は品行方正であるべき」等とあまりにも本質からずれた議論が行われているので、今回はそこに焦点を当てて改めて寄稿した。
言うまでもなく国会議員は我々国民の代表である。
では議員を選ぶ我々国民は品行方正だろうか?
改めて自身に問い直せば、疑問が浮かぶ方もおられるだろう。
かく言う私も自信がない。
もちろん、法律は守っているが、それと人としての立ち振舞いは別の話である。

議員を選ぶ我々自身がクリーンではないのに、どうしてその代表の議員に「人としての完全性」を求められると言えようか?
議員の質は「人として」などと言う抽象的なものではなく、仕事が出来るかどうか、そして他の議員よりマシか否かと言う基準で評価すべきだ。
そこは、馴れ合いが生じやすい民間よりもシビアに評価を下すべきだろう。

それでも「人としての資質も重要だ」と思う人は、こう考えては如何だろうか?
例えば、あなたが勤める会社の社長が、品行方正でも経営が下手で利益も出せず、給与もろくに払えなかったらどう思うだろうか?
そこは議員も同じなのだ。素行が良くても海外の政治家にやられっぱなしだったり、スパイと通じていたりすれば話にならない。
それに、過去に酒を飲まない菜食主義の独裁者がいたではないか。
要するに、品行方正とは政治家の第一条件ではないのだ。
もちろん、素行不良ならばハニートラップにかかる恐れはあるが、そこはあくまで『人として』ではなく『議員として』仕事が出来るかという評価基準で冷徹に見るべきだ。
言うまでもなく、ハニートラップにかかって機密を漏らすような事があれば「議員として仕事が出来ない」と言う評価が下されても仕方がない。
そこで初めて議員失格と言える。
逆に、遊び回っていても甘い罠に引っ掛からず、仕事もきちんと出来るのならば、何も問題はない。むしろ、格好良いとすら思う。
ちなみに、これを今回の丸山議員に当てはめて分解してみよう。
(1)酒の席とはいえ、公務中にコップで机を叩く行為は問題。
(2)泥酔した状態で外に出ようとし、ロシアに施政権がある事を内外に示しかねない行動をとった事は、議員として不適切。
(3)過去のプライベートでの失言や行動は法律や国益に照らして見るべきで、無条件に批判できるものではない。当然プライベートでもスパイに情報を漏らせば、国益を損ねたと言う事になり、「仕事が出来ない」と言う判断を下すべき。
(4)団長への質問自体は議論を展開していく上で必要な『問い』であり、ここは問題視されるべきではない。
つまり、議員として仕事が出来るか否かは、国益を背負っていると言う特殊な立場に照らして考えるべきで、プライベートで何をしようが法律と国益に反して国民の生命財産を脅かさなければ良いとなる。
今回非難出来るのは(1)と(2)で、そのうち重大なのは(2)のみであろう。

では議員の仕事は何であろう?
言うまでもなく、政策を考え立案して国会で通す事だが、もうひとつ重要な事がある。
それは世の中へ問題提起を行う事。
そう言う点で、丸山議員は立派な仕事をした。
何しろ「一度取られた領土は戦争でもしなければ返って来ないのでは?」と言う現実を世に問うたのだ。それだけでも充分。
こんな事、自民党議員ですら口には出せないだろう。
一見荒唐無稽に思える意見にも耳を傾けてみるべきだ。そこには本質をついているものもあるかも知れない。
どのような意見にも聞く耳を持って万機公論に決し、より良い議員を選んで豊かな国づくりに貢献して行きたいものである。

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