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【寄稿】2019年のお気に入り作品(1017 Muney)

 あけましておめでとうございます。仙台でDJやデザインをしている1017 Muneyことムニです。ScopeVox主宰のひとり、6969こと宮下さんからお誘いいただきまして、2019年のお気に入りアルバム/EPを紹介することになりました。最後にこういうものを書いたのは2016年末のことなので、3年ぶりの挑戦…!あまり好みが変わっておらず笑えます。とりあえず以下、順不同です。曲数と長さも合わせてどうぞ。

Santi - Mandy & the Jungle(16曲・46分)

 ナイジェリアのシンガー?ラッパー?によるデビュー作。近しいアーティストであるOdunsiの曲をYouTubeのサジェストで知ったのが最初だったと思います。いわゆる「アフロポップ」とは絶妙な距離感がありつつも、アフリカ以外の土地では生まれえなかっただろうと思わされる音楽です(「オルテ」というムーブメント?サブジャンル?にくくられることもあるそう)。さまざまなジャンルからの影響を感じられますが、特にR&Bがお好きな方にはぜひ聞いてほしい!ただライブの動画を見るとワイニーしてる人がいたり、軽くモッシュが起きるような煽り方をしていたり、ダンスホール/ラップ的な楽しさもあって最高です。

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Juls - Colour(10曲・32分)

 イギリス在住、ガーナのプロデューサーによるアルバム。もともとは2017年にリルプリさんのツイートを通じて知った人です。オーガニックでありながらクラブミュージックとしての強度も十二分にあるバランス感にやられます。そしてゲストボーカリストが全員かっこよすぎる。。ナイジェリアからKida Kudzや盟友のMr Eazi、ジャマイカからAssassinことAgent Sasco、イギリスからKojey RadicalやMs Banks、さらに先述のSantiも参加。グローバル!

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Eric.B.jr - 悪我鬼(4曲・10分)

 大阪のラッパーによるデビューEP。YouTubeからヒットした”悪我鬼”は日本のラップがある程度好きな方なら一度はサジェストされているはず。コメント欄ではよくも悪くもANARCHYだのYZERRだのと言われていますが、自分の好きなヒップホップってこれだ~~と、ど真ん中でやられました。DJマスタード/ベイエリアなファンクを感じるベースと硬い808のドラムは意外とアメリカでも聞かないバランス感のあるビートで、クラブ鳴りも半端ないです。この手のビートだと普通もっとキックが丸くてスネアじゃなくてクラップを使ってたり、もしくは今だったらベースとハットを増してバウンシーな雰囲気にしちゃいそうなものですが。。タイプビートでしょうけどプロデューサー知りたいです。キャッチーなフック、フックまで盛り上がっていくバースも込みで楽曲としての完成度、オリジナリティが高すぎます。他3曲もおおむね良い感じで2020年が楽しみすぎる一人。

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TEXTASY - TEXAS TERRORTECH VOL.1(8曲・35分)

 Tidalさんのツイートで知ったベルリン在住のプロデューサーによるエディット集ぽさのある1枚。ジャングル/エレクトロ/ゲットーテックなトラックにSadeやMichael Jacksonなどの歌モノや、Paul WallやSlim Thug、Pimp C等のテキサスラップの大ネタが悪魔合体させられたような1枚。そもそもジャングルやブレイクビーツってサンプリングありきな音楽であるはずなのに、この人の手にかかるとどうしてこう特別な聞こえ方がするのだろうか。。コンセプトはオタクっぽいけど音はストリートだと思います。ちなみに、名前はジョークなのかと思っていたら実際にテキサスで生まれ育ったらしいです。マイアミベースで音楽に目覚め、テキサスはダラスのエレクトロシーンに鍛えられながら、UKのレイヴシーンやIDMに興味をもつようになっていったとか。。自身が主催するレーベル、FTPからのリリースも好調な彼には2020年も引き続き要注目です!

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Special Request - Bedroom Tapes(8曲・50分)

 UK のプロデューサー、Paul Woolfordによるレイヴ/ジャングル名義の未発表曲集です。彼を知ったのは去年か一昨年くらいで、一緒にパーティーをやってるIoliteという仲間のDJにこのアルバムを教えてもらったのがきっかけ。2019年にリリースされた4作のうち2枚目にあたる作品で、正直4つとも死ぬほどカッコよかったので選びにくかった。。速い!強い!みたいな“レイヴ”ではなく、陶酔感というのかユーフォリックというのか、ある種のダンスミュージックに特有の時間を忘れるような魅力があるこちらを。これからも折に触れて楽しめそう。

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Novelist - Reload King(5曲・12分)

 イギリスは南ロンドン出身、22歳(20年1月1日現在)のグライムMC/プロデューサーによるEP。今年のグライムだとP MoneyとJMEも最高でしたが、あまり目立ってなかったこの人を何度も聞いてしまいました。スキットを除いた4曲すべてが剥き出しのバンガーです。最初に書いたように、昨年は年間ベスト的なものを選ばなかったのですが、もし選ぶとしたらデビューアルバムの「Novelist Guy」は確実に入っていただろうと思います。20日にはまた新たなEPも出るようなので楽しみです。とにかく推してます。
 ※いま見たらbandcampで£1(1ポンド・150円くらい)で買えるようになってたのでとりあえず手に入れておきましょう!

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Basic Rhythm - On The Threshold(10曲・51分)

 Imaginary Forcesという名義の方が有名なのでしょうか?自分はここ数年にBasic Rhythmの名前で知ったUKのプロデューサーの3作目。Planet Muから。今年は他にEP、シングルもいくつか出していて全部良いです。グライム/ジャングル/ガラージ/ブレイクスなどなどUKのベースミュージック/ダンスミュージックを貪欲に飲み込んで生まれた音楽…っていうとありきたりに聞こえるかもしれませんが、やはり何かが違う人。(同じようなことばっか言ってる)ところで9曲目「Fi Di Gyal」でサンプルされてる声はVybz Kartelのもの?

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I Jahbar & Friends - Inna Duppy SKRS Soundclash(10曲・43分)

 説明がめんどくさいでおなじみのレーベル/コレクティブ、Duppy GunとBokeh Versionsからの1枚。同じく両レーベルからのコラボリリース、Sikka Rymes - Love Di Peopleも良かったしDJでもかけてましたが、よりフロアフレンドリーなこちらを選びました。タイトルにあるようSeekersinternationalことSKRSとDuppy Gunのサウンドクラッシュ的なコンセプトの作品で、リミックスである10曲目を除く全てがこの両組によるプロデュース。ハイフィーみある8曲目が特にお気に入りです。

 (以下余談)それにしてもジャマイカのアーティスト、特にダンスホールの人はまとまったリリースが少ないのでこういう企画に向かないですね。2018年から勢いはあったようですが、ますます人気のSquashやChronic Law、Teejay、Tommy Lee、Rygin Kingなどなどモンテゴベイの面々はよく聴きました。あとVybz Kartel。Sikka Rymesがカーテルの甥だと知ったときはたまげました。この曲よかったです。

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Power DNA - Ann Tape 2 (5曲・14分)

 長崎のラッパーによる2nd EP。1作目よりダンサブルかつキャッチ―さを感じDJでもよくかけました。全曲AlforiaとShowyRENZOによるプロデュース。際立つビート選びのセンスはもちろん、リリックの視点がきわめてオリジナルで隙ないです。他にシングルやSoundCloudでのリリースも多く、”銀河”は特にお気に入り。売れてほしい。。

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Carns Hill - Hurt Your Parents Feelings(16曲・52分)

 UKドリルのプロデューサーによる自作まとめ集。リズムはタイトでありつつも、Clams Casinoがダークな方向に振ったときのビートやDJ Paul & Juicy Jなどに代表されるメンフィスラップのビートなどを彷彿とさせる、サンプルヘビーかつローファイで不穏なサウンドが魅力。どこか心がざわつきます。5, 7, 15曲目は特に持ち味が出ていてヤバい!

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 以下の作品も好きでした!

Lukid - Drip, Tapes - Hissing Theatricals (再発), Lifted - 2, Pi’erre Bourne - The Life of Pi’erre, Rico Nasty & Kenny Beats - Anger Management, Lil B - The Hunchback of Based God, Chief Keef & Zaytoven - GloToven, Burna Boy - African Giant, DaVido - A Good Time, Kash Doll - Stacked, Ms Banks - The Coldest Winter Ever, Pt. 2, Color Plus - Pure Energyなどなど…

今年も良い音楽とたくさん出会えたら何より嬉しいです!最後まで読んでくれてありがとうございました。


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SoundCloudでは自分の楽曲などを公開しています。 
最新のものはこちらで、Side Bとある方が私のミックスです。

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