ヨーロッパ文化教養講座(エンター・ザ・ミュージック ヴォーン・ウィリアムズ:「田園交響曲」)
2024/07/29
イギリスで修行した藤岡幸夫マエストロお得意のヴォーン・ウィリアムズ(1872年10月12日~1958年8月26日)の「田園交響曲」
自らの第一次世界大戦の従軍体験にインスパイアされた作品とのことで、ベートーヴェンの、のどかな田園風景を描いた交響曲第6番「田園」とは、全く違って厳かな鎮魂のための交響曲。
ショスタコーヴィチの、音に爆発的な悲惨さと暗さを詰め込んでいる諸作品と違い、静かに死者を天国へ送るという感じの優しさが音に込められていて、小生には好ましく聞こえる。
ヴォーン・ウィリアムズが聖公会の牧師の息子であり教会音楽に親しんでいたことも音楽性に影響を与えたと思われる。
ヴォーン・ウィリアムズは、9曲交響曲を作ったとのことだが、日本国内では演奏機会があまりなく、残念に思う。
イギリスでは、エルガーと並んで人気が非常にある作曲家ということだが、
日本でもマーラーやブルックナーだけでなく、ヴォーン・ウィリアムズも取り上げて欲しいなと思った。
藤岡幸夫マエストロと新井鴎子さんが、2回に分けて全4楽章を説明したが、
1番印象的だったのは、4楽章に出演予定のソプラノ歌手が公演前日になって体調不良で出られなくなり、急遽、小林沙羅さんに依頼があった。
小林沙羅さんによると、夜の9時から10時頃「明日の公演に出演して下さい」と電話があった。曲名を聞くと「ヴォーン・ウィリアムズの田園交響曲」という全く知らない曲だった。
とりあえず、楽譜を送ってもらうと、ヴォカリーズ(歌詞が無い曲)だったので、何とかなるかもと、出演OKの返事をして、友人のピアニストの家に11時頃行き、ピアニストの協力のもと、深夜練習をした。
公演当日は、オケとの合わせが一回しかなく、しかも、ほぼアカペラのヴォカリーズ。藤岡幸夫マエストロによると「完璧」だったそうだ。
やはり、プロは凄いなと思った。
ソプラノのヴォカリーズ部分は、
第4楽章の冒頭 26:30
第4楽章のフィナーレ 35:43
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