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ヨーロッパ文化教養講座(車田和寿「音楽に寄せて」日本の音楽家は仕事が少ないのは本当か?固定給が支払われているのは?)

2023/12/08
車田和寿氏の昨日のYOUTUBE番組では、日本のプロ音楽家の現状の話があった。

今回は、オーケストラと合唱団の話だった。
車田さんは、固定給をもらっている音楽家をプロ音楽家と定義し、
ドイツと日本を比較した。

ドイツは、外務省のホームページによると、人口が約8,300万人。GDPは、先日、日本と並んで世界3位である。
日本と経済力は同等、人口は約7割という国であるが、世界一のクラシック音楽大国なので、「歌劇場」が全国で80もあるとのこと。

日本の歌劇場は、新国立劇場の一つだけかと思ったら、新国立劇場は、専属のオケや歌い手がいないので、「歌劇場」ではないのとのこと。

つまり、ドイツの「歌劇場」は、専属のオケ、合唱団、スタッフを抱えており、固定給をもらっているので、プロの音楽家の集団というわけだ。

以上のように、日本では「歌劇場」がないので、車田さんは、公益社団法人日本オーケストラ連盟の正会員が加入条件に、「固定給を出している」という項目があることに注目し、これららの正会員のオーケストラをプロの音楽家の集団と定義した。

ホームページで調べると、現在下記の25のオーケストラがある。
現在のトップの指揮者名も併記した。

1.札幌交響楽団 マティアス・バーメルト(首席)
2.仙台フィルハーモニー管弦楽団 高関健(常任)
3.山形交響楽団 阪哲朗(常任)
4.群馬交響楽団 飯森範親(常任)
5.NHK交響楽団 ファビオ・ルイージ(首席)
6.新日本フィルハーモニー交響楽団 佐渡裕(音楽監督)
7.東京交響楽団 ジョナサン・ノット(音楽監督)
8.東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団 高関健(常任)
9.東京都交響楽団 大野和士(音楽監督)
10.パシフィックフィルハーモニア東京 飯森範親(常任)
11.東京フィルハーモニー交響楽団 チョン・ミョンフン(名誉音楽監督)アンドレア・バッティストーニ(首席)
12.日本フィルハーモニー交響楽団 ピエタリ・インキネン(首席)
13.読売日本交響楽団 セバスティアン・ヴァイグレ(常任)
14.神奈川フィルハーモニー管弦楽団 沼尻竜典(音楽監督)
15.オーケストラ・アンサンブル金沢 広上淳一(アーティステック・リーダー)
16.セントラル愛知交響楽団 角田鋼亮(常任)
17.名古屋フィルハーモニー交響楽団 川瀬賢太郎(音楽監督)
18.京都市交響楽団 沖澤のどか(常任)
19.大阪交響楽団 山下一史(常任)
20.大阪フィルハーモニー交響楽団 尾高忠明(音楽監督)
21.関西フィルハーモニー管弦楽団 オーギュスタン・デュメイ(音楽監督)藤岡幸夫(首席)
22.日本センチュリー交響楽団 飯森範親(首席)
23.兵庫芸術文化センター管弦楽団 佐渡裕(芸術監督)
24.広島交響楽団 下野竜也(音楽総監督)
25.九州交響楽団 小泉和裕(音楽監督)

高等裁判所がある都市がその地方の中心都市なので、プロのオーケストラも集中している。

1.札幌市 1
2.仙台市 2
3.東京 9 +神奈川 1 +群馬 1
4.名古屋 2 + 金沢 1
5.大阪 4  +京都 1
6.広島 1
7.高松 無し
8.福岡 1

車田さんによると、プロオケの数が、ドイツの4分の1というのは、市場からみても決して少ない数ではないが、切符を売るためとはいえ、数少ないスターに頼っているのは、全体のレベルの向上には繋がらないのではないかとのこと。

小生も、同年代の女性の友人が、今までクラシック音楽の話を一切しなかったのに、急に「かてぃーん」こと角野隼斗君の切符を血眼になって求めている状況は、ホールは一杯になっても、あまり望ましいものではないなと思っている。

後で彼女に「角野君は何の曲を弾いたの?」と聞いたときに、「さあ 覚えていない」と言われそうな気がして怖くなる。

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