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ヨーロッパ文化教養講座(2022年11月3日 反田恭平+JNO)

2022/11/04
昨日、下関市民会館で反田恭平+JNOのコンサートを聴いた。反田恭平は、現在小生の一推しピアニストである。
新幹線で小倉経由、下関へ出かけて2時間余りのコンサートを聴く。興味の無い人から見れば何と馬鹿馬鹿しいと思うかも知れない。あらためて好きなことがあることに感謝したい。

会場の市民会館は、JR下関駅から徒歩7分、重苦しい2階席もなく(調べると1,469人収容)天井もまあまあ高くて、落ち着いて観賞できた。公演ポスターには、当然のように、「SOLD OUT」のシールが貼られていた。
席も19列目の中央やや左でオーケストラ全体が見渡せた。

さて、コンサートは、ベートーヴェンのレオノーレ序曲3番で始まった。コンサートマスターは、岡本誠司ではなかった。岡本君も売れっ子なので忙しいのだろう。岡本君のスケジュール表をみたら、ロンドンにいるようで、11月9日の福島のツアーから参加するようだ。

7月1日に埼玉会館で小林愛美のショパンコンクールの協奏曲1番を聞いたときに、鈴木優人指揮日本フィルでこの曲を初めて(たぶん、そうではないかもしれないが、この曲だと意識してという意味では初めて)聴いた。
そのときは、意識しなかったのだが、この曲は、特に、管楽器のソロパート(短くても)が多くちりばめられいて、小さなミスでも大きく響き、リズムも取りにくく、大変難しい曲だと思う。(演奏家や指揮者に質問してみたい。)
途中ファンファーレのトランペットが舞台の裏で吹いているような音で届いた、どうやって出しているのだろうか?

この曲を反田君(注:あまりにもファンなので「君呼び」で許して下さい。)が、体全体を使った情熱的な指揮で作り上げていた。文字通り、ラジオ体操でもするように、身をかがめたり、すっと立って手を(指揮棒なしだった)振り下ろしたり、15分くらいの曲だが相当カロリーを消費したんじゃないかと余計なことを考えた。

レオノーレ3番は、この演奏のおかげて、小生の好きなオーケストラ曲に仲間入りすることになった。

次は、開演前に調律師(中年男性)によって念入りな調律が為されていた、ピアノを移動して、ベートーヴェンピアノ協奏曲第4番だと、身構えていたら、反田君があっさりと指揮台に立って、モーツアルトの交響曲第38番ニ長調K.504(プラハ)が始まった。
多分、ピアノを移動して、オーケストラの位置を決めるのに手間と時間がかかるので、オーケストラ曲を前半にまとめ、休憩中にピアノを移動するという構成に変えたのだろう。(後で、客席に入るドアに、曲順の変更のお知らせが貼ってあるのに気がついた。)

モーツアルトのこの曲は多分生演奏は初めてで、CDでもあまり聴かないので新鮮だった。出だしが「ドン・ジョバンニ」だなとか、途中で「フィガロの結婚」だなとか、いろいろ似た旋律を感じて楽しかった。
反田君は、レオノーレに劣らず情熱的な指揮、若いJNO(ジャパンナショナルオーケストラ)のメンバーも反田君に信頼を寄せて必死に(本当は余裕かもしれないが)音を合わせている。
若い人たちが一つのこと(良い音楽を作り上げる)を成し遂げるため心を合わせて一生懸命になることを目撃できることは、人生が3分の2以上終わった小生にとっては、何よりも嬉しく楽しいことだ。

観ていて力が入った良い演奏だったと思うが、あっけないくらい、フィナーレの後の会場内の拍手は淡泊で、休憩になった。

休憩後、ピアノは前半指揮台のあったところに、蓋を外した状態で設置された。(弾き降りの定位置)
指揮者兼ピアニストは完全に客席にお尻を向けた状態なので、弾いているときの表情は見えない。かえって音だけに集中できると思った。
ベートーヴェンピアノ協奏曲第4番は、出だしがピアノソロという当時としては珍しい始まり方なので、いきなり、反田君のあの音(力強く、でも繊細な音)が流れてウルッときた。その後は、立ち上がって指揮をしたり、座ってピアノを弾いたりと八面六臂の活躍だが、これは、弾き降りの宿命。

反田君のテクニックとあの音+JNOのいきのいい若者達なので、良い演奏に決まっているが、小生の独断と偏見で、ちょっと気になったのは、
1.蓋を外した状態で弾いているせいか、会場のせいかわからないが、音のアーティキュレーションが明確でないところが数カ所あったこと。
2.それから、速いパッセージを弾いているときに、パッセージの終わりに向かってちょっと速くなりすぎたような感じがしたこと。
だった。

前半の指揮で体力をかなり使った反動が来ているのかもしれないと思った。
できれば、やはり、順番通り、レオノーレ3番->ベートーベン4番 休憩してプラハというほうが、諸事情があったにせよ、良かったのではないかと思った。

フィナーレの後の拍手(喝采はコロナ渦でなし)は前半と違ってそれこそ割れるようなものであり、アンコールの反田君の十八番、英雄ポロネーズの後も、鳴り止まず、オーケストラが退場して、会場が明るくなったあと、反田君が再度登場するというおまけもついた。

本当に、お疲れ様でした。JNOとのコンサートツアーは今後も小生が元気な限り何度でも、何処へでも行きたいと思った。



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