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ヨーロッパ文化教養講座(2024年3月29日 小林愛実リサイタル@アクロス福岡 鑑賞記)

2024/03/30
母親となった小林愛実さんのソロ・リサイタル。
会場の暖かい雰囲気の中でも、張り詰めるような真剣な演奏が繰り広げられた。

日時:2024年3月29日 開場:18時15分 開演:19時
会場:アクロス福岡
ピアノ:小林愛実
プログラム:

1)シューベルト:即興曲集 D935 Op.142
第1曲 アレグロ・モデラート ヘ短調
第2曲 アレグレット 変イ長調
第3曲 アンダンテ 変ロ長調
第4曲 アレグレット・スケルツァンド へ短調

休憩

2)モーツァルト:幻想曲 ニ短調 K.397

3)  シューマン:子供の情景 Op.15
第1曲 見知らぬ国と人々について (Von fremden Ländern und Menschen)ト長調
第2曲 不思議なお話 (Kuriose Geschichte)ニ長調
第3曲 鬼ごっこ (Hasche-Mann)ロ短調
第4曲 おねだり (Bittendes Kind)ニ長調
第5曲 十分に幸せ (Glückes genug)ニ長調
第6曲 重大な出来事 (Wichtige Begebenheit)
第7曲 トロイメライ(夢) (Träumerei)ヘ長調
第8曲 暖炉のそばで (Am Kamin)ヘ長調
第9曲 木馬の騎士 (Ritter vom Steckenpferd)ハ長調
第10曲 むきになって (Fast zu ernst)嬰ト短調
第11曲 怖がらせ (Fürchtenmachen)ホ短調
第12曲 眠りに入る子供 (Kind im Einschlummern)ホ短調
第13曲 詩人は語る (Der Dichter spricht)ト長調

4)ショパン:アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 変ホ長調 Op.22
アンコール:
5) ショパン:24の前奏曲より 第17曲 Op.28-17
6) ショパン:ノクターン 第20番  「遺作」
7) ショパン:幻想即興曲 Op.66

コメントと感想:
1.定刻を1分ほど過ぎると、愛美さんが、下記のビデオ・メッセージと同じドレスを着て中央のスタインウェイへ歩む。
会場はほぼ満席。

2.いつものように、椅子の位置や高さ座る場所などを入念にチェックし、鍵盤に向かい、自分の中のスターターに従うようにおもむろに、弾き始める。
1)のシューベルトは4曲合わせるとかなりの大曲。
それぞれの曲想もヴァリエーションがあり、とても聴き応えのある曲集。
第1曲の出だしはさすがに少し緊張が音に出ていたが、再現部辺りからは曲に没頭してとても深く心に響く演奏だった。
個人的には第4曲が1番好きだが、自分が求めていた音を出してくれて、とても感謝している。

3.休憩後、モーツァルトの2)幻想曲を重々しい出だしからフィナーレの軽快なところまであっさりと仕上げ、3)子供の情景に入る。
愛美さんが生後1年未満の愛児(未だに性別不明)をあやしている姿はWEBで拝見しているので、多分、この曲集の1曲、1曲を自分の子供の姿に重ねながら弾いているのだろうと思ったほど、没入しているようだった。

4.何か一仕事を終えたような3)が終わって、華麗なショパンの4)が始まる。
ショパンに関しては、アンコールの3曲も含め、すでに彼女の中では体の一部になっているのだろう。ショパン独特のキラキラしながらも、重くならない音を楽楽と紡ぎ出していたように思った。

5.今まで、愛美さんの演奏はピアノ協奏曲でしか生演奏を聴いたことがなかった。(ショパン1番を3回、ベートーヴェン3番を1回)
今回ソロ・リサイタルを弾いて、協奏曲でいつも感じていた、フォルティシモが体格の良い男性奏者と比べて弱いのではないかという部分は、ピアニッシモの美しさで十分カバーしていることを確信した。

6.サプライズとして、アンコール前にマイクで話してくれたこと。
小生は知らなかったが、アクロス福岡は2007年4月(本人は忘れていたが、会場からの声)にデビューコンサートをした想い出のホールだから喋ることになったようだ。
あまり喋りは得意でない愛美さんの声を聴けたのは、本当にラッキーだった。



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