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ヨーロッパ文化教養講座(1959年アメリカ映画「ベン・ハー」鑑賞記)

2024/04/16
若いときに見たときは、途中で挫折した。
キリスト教徒となった今、改めて鑑賞すると、大変な名作だと思う。

ルー・ウォーレスによる同名ベストセラー小説の3度目の映画化。西暦1世紀の初め、ローマ帝国支配下のエルサレムに生まれたユダヤ人貴族の息子ベン・ハーの波乱に富んだ半生を、イエス・キリストの生涯と絡ませて描いた歴史スペクタクル大作。

監督は「ミニヴァー夫人」「我等の生涯の最良の年」の巨匠ウィリアム・ワイラー。
タイトルロールにチャールトン・ヘストン。59年度のアカデミー賞では作品賞、監督賞を含む史上最多の11部門を受賞した。

1959年製作/222分/G/アメリカ
原題:Ben-Hur
劇場公開日:1960年4月1日

映画.com

コメントと感想:
1.主要登場人物は、
1)身分の高いイスラエル在住ユダヤ人、主人公ベン・ハー(演 チャールストン・ヘストン)、ベン・ハーの母ミリアムと妹ティルザ、ベン・ハー家の家宰の娘(ベン・ハーの恋人)エスター

2)ベン・ハーの幼なじみだが、ユダヤ人を支配しているローマ人の司令官メッサラ(演 スティーヴン・ボイド)

3)ベン・ハーに助けられて、ベン・ハーを養子にし、家督を譲ろうとする、ローマ海軍の総司令官アリウス

4)後は、史実の人。
当時の第二代ローマ皇帝ティベリウス
イエス・キリストを磔にする決定を下したため、今でもキリスト教徒側から批判を浴びている、ローマ人のポンテオ・ピラト第5代ユダヤ属州総督
当然、イエス・キリストも登場するが、顔は最後まで映さないという演出。

2.主要イベント
ベン・ハーと母ミリアム妹ティルザは、無実の罪を、幼なじみメッサラに着せられ、ベン・ハーは、通常1年しか命が持たないとされているガレー船の漕ぎ手にされ、母と妹は、地下牢に送られる。
ベン・ハーは、ガレー船が敵襲で沈没するときに、ローマ海軍の総司令官アリウスの命を助け、皇帝ティベリウスから罪を許され、アリウスの養子となる。

ベン・ハーは、母と妹を助けるために、イスラエルへ戻るが、エスターから母と妹が獄死したという話を聞いて、メッサラ+ローマに復讐を誓う。
(実は、母と妹は、業病(ハンセン病)に掛かっており、エスターは、ベン・ハーにそのことを伝えないように言われていた)

ベン・ハーは、ローマからイスラエルへ帰国する途中で知り合った、アラブ人富豪から、4頭立ての戦車競走の騎手を依頼され、そのレースに、憎むべきエスターも参加することを聞き、復讐の良い機会だとレースへ参加。

有名な迫力満点のレースのシーンで、メッサラは落馬し死亡する。
虫の息のメッサラから、ベン・ハーは、母と妹が、業病に罹患して死の谷にいることを聞き、絶望する。

->普通の映画だと、メッサラをレースで打ち破るところが、クライマックスシーンにすると思うが、この映画は、これからの展開が感動的。

3.その後、ベン・ハーは、母妹を(結果的にエスターと共に)死の谷へ迎えて、イスラエルへ帰るとイエス・キリストが磔になる寸前であった。

イエス・キリストが磔になり、死を迎えたときに、晴天があっという間に、嵐になる。イエス・キリストが息絶えた頃、母と妹に奇跡が起きて病が癒やされる。

また、ベン・ハーは、イエス・キリストが息を引き取る寸前に、「父よ。彼らをお赦しください。彼らは、何をしているのか自分でわからないのです」という祈りを聞き感動し癒やされる。

4.これでもかというくらい、お金をかけて、ローマ帝国初期をスペクタクルに描いた叙事詩的映画ではあるが、
イエス・キリストの誕生と死(そして明確には描かれなかったが復活)の主要な聖書のエピソードで、ベン・ハーの復讐劇を包むことにより、
人間の罪深さと、イエス・キリストの愛を表現した、感動的な映画であったと思う。

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