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ヨーロッパ文化教養講座(2023年イタリア映画「まだ明日がある」)

2024/05/08
イタリア映画祭2024で鑑賞
時代を第二次大戦直後、まだ連合軍が進駐している荒廃したローマが舞台
そのことを映像で表現するためか、全編モノクロの映画
主人公デリア(演 パオラ・コルッテージ)、DV亭主イヴァーノと寝たきりのその父、間もなく婚約する美人の娘、悪ガキ2人の1家6人は、半地下で暮らす貧しい家庭。その描写もモノクロで良く表現されている。

DV亭主から虐げられても、娘の幸せを生きがいにして真面目に働くデリアだが、遂に幼なじみと駆け落ちをしようとするが、その日に義父が急死してしまう。
しかし、数日前に届いた謎の手紙のおかげで、彼女(たち)には「まだ明日がある」のであった。

監督兼主役のパオラ・コルテッレージのおかしみのあるシリアスな演技が素晴らしく、
暴力亭主からの「解放」を訴える社会的な深刻なテーマをシニカルな笑いに包んで、重くならず、鑑賞後感がスッキリする、名作だと思った。

H.まだ明日がある

[2023/118分]原題:C'è ancora domani
監督:パオラ・コルテッレージ Paola Cortellesi
出演:パオラ・コルテッレージ、 ヴァレリオ・マスタンドレア
人気コメディエンヌのパオラ・コルテッレージの監督デビュー作。取りあげたテーマは、家庭内虐待と女性の権利で、戦後のローマで夫からの虐待に苦しむ主婦を本人が演じている。デリアは、イヴァーノの妻で3児の母。イヴァーノは、時には辛辣な言葉で、時には暴力で一家の大黒柱が誰なのかを皆に思い知らせていた。娘の幸せだけを願うデリアに謎めいた手紙が届き、彼女の人生が変わる。本国ではハリウッドの並み居る大作を押しのけて、2023年の興行収入ランキングNo.1になる大ヒットを記録した。

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